UPSIDERのさらなるAI化を目指して:Data Scienceチームが導く未来
こんにちは!Dev HRのNarisaです。UPSIDERでは先日、AI与信モデルの刷新に関してプレスリリースを出しました。今回はこの与信モデルの改善やUPSIDERにおけるデータ活用を推進するData Scienceチームの取り組みをインタビューします!
データの活用でビジネスインパクトの創出を目指すData Scienceチーム
ーー自己紹介をお願いします。これまでのキャリアや、UPSIDERへの入社動機、UPSIDERで今取り組んでいるお仕事を教えてください。
Sugiyama)Data Scienceチーム共同マネージャーのスギヤマです。私にはテクニカルなバックグラウンドは特段なく、これまで銀行、フィンテック、ベンチャーキャピタルと、金融業界で投融資に携わってきました。UPSIDERには、以前から興味を持っていたオルタナティブデータを用いた与信モデルの開発がしたいと思い入社しました。現在クレジットチームのマネージャーを兼任しており、主に与信モデルの開発に関与しています。Data Scienceチームでは、全体的な方針の決定や、プロジェクトマネジメントを担っています。
Mochizuki) データサイエンティスト兼Data Scienceチーム共同マネージャーの望月です。法人カード「UPSIDER」事業における与信モデルの構築や、社内のファイナンスチーム向けの売上予測モデルなどを作っています。最初は業務委託からUPSIDERに関わりはじめて、しばらく与信モデルを触っているうちに、フルタイムで入ればもっともっとよくできるな、と思い、入社しました。現在は、機械学習モデルや、数理最適化による意思決定のサポートを、主にクレジット(与信審査)チームや、ファイナンスチーム向けに提供しています。今後は、全社に対象を広げていく予定です。
Hara)データエンジニア兼データアナリストの原です。社内のデータアナリティクス領域をリードしています。UPSIDERに入る前はバックエンドエンジニアとしてSaaSを開発しておりました。そのためUPSIDERに入社した際はバックエンドエンジニアとして決済基盤の開発をしていました。ある時、共同代表の水野から「事業課題であるデータ活用を推進しないか」とSlackでDMがきて、もともとデータ領域に興味はあったので手を挙げたことがきっかけです。今はビジネスサイドのメンバーがもつ課題に対してデータ活用を模索しつつ、データ基盤の開発をしています。(データ基盤の開発は今後Data Engineeringチームに引き継ぐ予定です。)
ミッションはUPSIDERのさらなるAI化。データをもとに意思決定しやすい環境をつくる
ーーData Scienceチームのミッションを教えていただけますか?
Sugiyama)Data Scienceチームのミッションは一言で言うと、「UPSIDERのさらなるAI化」です。様々なAIモデルを開発し、モデルの結果をもとに各チームが意思決定しやすい環境を作ることを目指しています。
例えば、与信モデルはその一例です。モデルが算出するスコアを判断材料として、クレジットチームが与信判断をより早く、簡単に行えるようにしています。AIの発展が目覚ましい昨今、企業は「人間がやるべきこと」と「AIやコンピューターに任せるべきこと」を明確に区別し、人間が想像力・創造力を発揮できる環境を構築することが、大きな事業成果を創出するために重要だと考えています。
そのために、Data Scienceチームでは与信モデルだけではなく、社内のオペレーションも対象にAI化と自動化を目指しており、効率的で生産性の高い組織づくりをリードしています。
ーー具体的にData Scienceチームではどのようなデータを扱っていますか?
Mochizuki)私たちが扱うのはUPSIDERで扱っているデータ全てを対象としており、ビジネスサイドメンバーとプロダクト開発メンバーのちょうど中間地点にいながら、どちらのチームとも協働します。
例えば、
お客様の決済データ
お客様の財務データ
ウェブアプリケーションデータ
モバイルアプリケーションデータ
社内オペレーションデータ
収集した公開情報
を扱い、事業目標達成のための成果の最大化を目指しています。
先ほどお話に出たUPSIDERの与信モデルには、財務データだけではなく、オルタナティブデータが取り入れられています。
ーーオルタナティブデータとはなんですか?その可能性とは?
Sugiyama)オルタナティブデータというのは、プロダクトデータや企業の属性データなどの非財務データを指しています。これまでの金融業界では、一般的には与信判断をするために用いられるのは財務諸表などの財務データでした。しかし、法人カードのソフトウェアを自社開発するUPSIDERにおいて、財務データ以外の情報をかけあわせた与信モデルの構築に可能性を感じたことが、私がUPSIDERに入社した理由の一つです。これにより、財務データだけでは与信判断ができないお客様に対して、より多角的な視点で信用力を判断することができ、特により多くの中小企業のお客様へより大きな与信枠をお出しすることが可能となっています。
ーーData Scienceチームが扱うデータをどのように活用できますか?
Mochizuki) UPSIDERのAI化に関しては営業活動の効率化にも焦点を当てています。例を出すと、Salesforceのデータを整備しつつ、お客様の状態をスコア化しています。これによって、例えば、インサイドセールスにおける架電優先度の判断をAIに任せることで、セールスメンバーはよりクリエイティブな営業活動に集中することができるようになります。
データの利活用はまだまだこれから。10年後も変わらない事業価値を創出したい
ーー金融業界、UPSIDERならではのData Scienceチームの面白さ、特徴を教えてください
Sugiyama) 金融プロダクトを複数展開するUPSIDERは、様々な企業にお使いいただいているため、多様なデータを持っています。業種や事業規模など、それぞれのカテゴリーごとに異なる種類のデータが存在するため、多角的な視点でデータの利活用に取り組むことができます。
Hara) ”扱うデータの種類が豊富なため利活用の幅が広い”という観点でさきほども挙がりましたが、決済データや財務データだけでなくウェブアプリケーションデータなどのオルタナティブデータを扱うことができる点はデータサイエンティストとしてとても興味深いです。
データの特性上、センシティブなデータが多いため、扱いには気をつけないといけませんが、Data Scienceチームは立ち上げたばかりであるため、その仕組みづくりから携わることができ、データ領域で活躍したい方にとっては貴重な経験ができると思っています。
Mochizuki)私たちの業務は事業の収益性を直接に左右するところが、面白さの一つです。与信モデルの開発はUPSIDERのカード事業の重要なコアなノウハウ部分であり、常に技術的な投資の対象になります。また、与信モデルが社内のオペレーションのいたるところで参照されているのもやりがいになります。
現在もデータの利活用が進み、事業成果へのインパクトが社内外で認められていますが、それでも、UPSIDERのプロダクトをお客様に利用していただく過程で蓄積されるデータは現状活かしきれないほど多様で、活用の余地がまだまだあります。
ーーデータの利活用を推進することで、どんなメリットを世の中に届けることができますか?
Mochizuki) 与信モデルの精度を向上させることで、これまでの審査方法では支援することが難しかった企業に対して、より大きな与信枠を出すことができます。与信モデルにインプットするデータを多様にもつことで、真面目に支払いや事業活動を行なうお客様により多くの与信枠を早く付与することができます。
Sugiyama)Amazon創業者のジェフ・ベゾスは、ある登壇で10年後のビジョンを聞かれた際に「何が10年後に変わっているかよりも、何が10年後も変わらないかの方が重要だ」と話していました。私はこの言葉が好きで、UPSIDERとして届けられる10年後も変わらない価値とは何かを常に意識しています。
それは「大きい与信枠が出る」や「早く審査が完了する」といった、分かりやすいサービス提供だけではなく、「不正利用の心配をしなくていい、安心して使えるサービス」であったり、「様々な金融サービスの活用方法やリスクをUPSIDERがレコメンドしてくれる」というような状態の実現であり、それが達成できれば、10年後もお客様は価値を感じてくださると考えています。
正解はないし、制約もあるービジネスとエンジニアリングの両観点から求められる意思決定
ーーミッションから逆算して現状どんな課題があるか教えてください。
Sugiyama)Data Scienceチームのミッションの”正解”は誰も分かっていません。扱うデータ量が膨大で、”どのようなデータをどのように利用できるか”の正解がないため日々試行錯誤していますし、我々自身の選択や意思決定を”正解”にしていく必要があります。扱うべきビジネストピックスもたくさんあるのですが、そのための人員も足りていません(そのために採用を強化したいと考えています)。
Mochizuki) Data Scienceチームはビジネスサイドメンバーとプロダクト開発メンバーのちょうど中間地点にいるとお話しましたが、データサイエンティストにもビジネス観点とエンジニアリング観点の両方での判断が求められます。
例えば事業成果を求めるために、トレードオフとなる意思決定を迫られる場面も少なくありません。与信枠を多く出すことは喜ばれますが、それが不正取引や貸し倒れにつながってしまうと私たちの事業継続が難しくなり、ひいてはお客様への支援継続が難しくなってしまいます。
そういった意思決定のバランス感覚が求められるほか、社内メンバーとのコミュニケーションにおいても、同様のバランス感覚は求められます。やってほしいと要望されることがたくさんある(そして、事業成果に対するインパクトの説明が難しいものも多い)ので、すべての依頼に言われた通りに応えるのではなく、プロとして効果を見積り、時に優先順位を明確に下げるためのコミュニケーションをとりつつ、周囲との期待値調整をしながら業務を推進していくバランス感覚も私たちの責務だと考えています。
Hara)高品質な機械学習モデルを開発するためのデータは質も量も、更に改善できると考えています。
例えば、現状を正直にお伝えすると、
データレイクにデータが蓄積されているが、データが未整理のままであり、ノイズや重複が多い
データモデリングが十分に行われていないため、モデルが効率的に学習できない
(現状の課題というより今後直面する課題として)機械学習モデルを継続的かつ効率的に開発するためのインフラが不足している
データディクショナリの不足
データレイク・ウェアハウス・マートに対してのデータディクショナリが整備段階であるため、データの構造や内容を把握するのが困難な状態
欲しいデータを取得するのが難しくなり、必要なデータにアクセスするまでに時間がかかり、データ分析やモデル開発の効率が妨げられる
などデータ基盤まわりの課題も多く存在しています。こういった課題には、Data Engineeringチームがあるので、協力していきたいですね。
ーーData ScienceチームとData Engineeringチームは別とのことですが、どのような役割分担があるのでしょうか?
Mochizuki)Data Engineeringチームは、データ基盤など、データサイエンス、データアナリティクスの足場となる土台をしっかり固めてくれています。
Data Scienceチームの活動指標としてビジネスインパクトを重視して動いているので、小さな技術的課題を素早く解決する必要がある場合は自力で解決する場合が多いです。一方で、ある程度の大きさの課題、しかも、技術的に深い考慮が必要だったり、セキュリティ(機密性、完全性、可用性)が高い水準で求められたりする課題の場合は、Data Engineeringチームからの支援を受けることが多いです。
私たちはデータの集約場所としてBigQueryを使っているのですが、最近だと、アプリケーションデータベースからのデータ収集がリアルタイムになりました。機密性の高いカラムもしっかりマスクされています。データサイエンティストが活動しやすい環境へと整備が進んでいます。
「UPSIDERのさらなるAI化」を目指して、挑戦し続けられる方へ
ーー今後組織拡大をしていきますが、どのようなチームにしたいですか?
Hara)事業に対する直接的な成果を出しながら、技術的にも魅力的で、自律的に動けるチームにしていきたいです。
UPSIDERのData Scienceチームは、事業の根幹に関わる与信やリスク管理において重要な役割を担っています。データの力を最大限に活かして、与信モデルの改善を図ったり新しいモデルを生み出したりしながら事業のパフォーマンスを高めたいですね。そのために各メンバーが出す成果が、即座に会社全体のビジネス結果に反映されるという環境を作り、データサイエンスの真価を事業へ提供できるチームを目指したいです。
データの収集からモデル開発、ビジネスサイドへの提案まで、一気通貫で取り組むことができ幅広い業務に関われるため、自律性が尊重され自分のアイデアを試す余地が大きいですが、一方で“正解がない”環境であり、なんなら”制約もある”環境です。そんな環境を楽しめるメンバーを集めたいです。
Sugiyama)ビジネスインパクトを追求する分、チームとして解くべき問いが正しいかどうか、その分析が必要かに関しては、「なぜ」を繰り返し、その妥当性を検証するスタンスを大切にしています。
「常識」にとらわれないで新しいアイデアを発信し、行動に繋げられるチームをつくるために、自身の考えをしっかりと周りに伝えて、相互理解を得つつ議論ができるチームをつくっていきたいです。Data Scienceチームには、主体的に挑戦する姿勢が強く求められます。
Mochizuki)チームとしては壮大な目標を見つめつつも、そのアプローチは多様であって良いと思っています。コツコツ仕組みや精度改善する方も、はずれることもあるけど斬新なアイデアで非連続的成果を上げられる方も、どちらも歓迎したいです。
最新の技術やツールに触れつつ、現場の課題を能動的にキャッチアップし、その課題解決のために自らの技術を活用できる方には良い環境だと思います。
ーー直近で入社する方にお任せしたいミッションや課題はありますか?なぜ今UPSIDERに入社すべきなのか理由があれば教えてください!
Mochizuki)「UPSIDERのさらなるAI化」を進めるために必要な技術的課題がたくさんあります。大きな絵を描く人も必要ですし、個別の課題を鋭く解決する人も必要です。多様なデータを活用して、ビジネスインパクトを出すためなら使う技術は何でもありです。教師アリ・なし学習、強化学習、自然言語処理、LLM、何でも使って、課題を解決してほしいと考えていますし、そういったことがやりたい方は大きな裁量を持って働くことができる環境だと思います!
Sugiyama)AIを活用したプロダクトは増えてきていますが、「企業全体のAI化」が進むのはこれからではないでしょうか。テクノロジーによって効率的で生産性の高い組織を作ることが競争力を維持することに繋がると私たちは信じています。金融業界という巨大市場の中で、この志をもって事業を運営しているUPSIDERは、データ人材にとってとても魅力的な環境だと思います。
ご興味をもってくださった方は、ぜひカジュアル面談にご応募ください!