「ググれカス」の本当の意味を教えてくれた、中学生時代の恩師の話。
「ググれカス」。
みなさん一度は聞いたことのあるネットスラングかと思います。
「(人に質問する前に)それくらいGoogleで検索しろカス野郎」という意味ですね。
(引用元:https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1272612.html)
「(ググれカスと発言する人は、面倒見が悪く冷たい人だ」と捉えることもできますし、「ちょっとググってわかるくらいのことなら自分で調べて欲しい」と思う人もいるでしょう。
今日はそんな「ググれカス」を肴に、恩師との思い出話を書いていこうと思います。
◆はじめに
こちらの記事は、サイバー大学有志が集うオンライン団体「サイバー大学生がオンライン文化祭やるってよ」のイチ企画「オンやる週刊コラム」の一環として執筆しています。
◆恩師との出会い
中学生時代の恩師…と言っても、学校の先生ではありません。
中学生の頃、音楽スクールで楽器を学んでいたうぽが、そのスクールでひょんなことから出会ったある大人でした。仮にCさんとしておきましょう。
Cさんは音響機器を設計する仕事をしていて、彼が作った音響機器はプロにも認められる超高品質製品でした。
当時うぽは作曲やレコーディングの勉強をしていて、彼が時々話す仕事の話にはとても興味があったので、よく興味津々で会話に首を突っ込んでいたのです。
そうこうしているうちに「もし良ければ音響のこと教えてあげようか?」と提案してもらい、Cさんはうぽのしばしの先生になることになりました。
◆カフェで長時間のスパルタ授業
授業はいつも近所のカフェで。
当然他に生徒はいないので、いつもマンツーマンでした。
中学生であったうぽの経済状況を考慮してか「1回1000円でいいよ」と言われてましたが、実際はカフェでのドリンク代をいつもCさんが奢ってくれていたので実質彼にとってはマイナスでした。今考えたら趣味みたいなものだったのかもなと思います。ともかく、うぽにとってあまりにもありがた過ぎる経験であったことに間違いありません。
授業は毎回3~4時間と長時間におよび、内容は今考えると工学系の大学レベルに匹敵するであろう高度なものばかりでした。
中学生で、更に生粋の文系だったうぽには脳がショートしそうなほど難しい内容で、毎度授業が終わるとヘトヘトに疲れていたのを思い出します。
◆毎回宿題はレポート提出
そんなにも高度な内容だったにもかかわらず、Cさんは授業が終わると毎回、「じゃ、今日の内容、次回までにレポートにまとめてきてね。内容合ってるかチェックするから」と言うのでした。
聞いているだけでも必死なのに、それをレポートにまとめる。中学生でレポートを書いたことさえないし、一体何をどうやって書けば良いのかさえわからず、毎回かなりの時間をかけて試行錯誤していたような気がします。
ちなみに今読者の中で「Cさんは大人…当時うぽちゃんは中学生…しかもむしろお金払って教えてたとか、パ◎活的な怪しいやつでは…」と思っている人もいるかもしれませんが(笑)、全くそんなことはなくカフェで授業を受けるだけの健全な関係でした。
◆レポートにミスがあると、何か質問をすると、まずは「ググれカス」
ここまでの話でCさんがすっかり聖人のように思われているかもしれませんが(笑)、実際は一癖あるちょっと厳しい人。
レポートの内容にミスがあったり、授業内容や音楽のことで質問すると、「それくらいググりなよ」と毎回突き放されました(笑)
最初は「不親切だな、どうせ知ってるんだから教えてくれたって良いじゃん」と思ったりもしたのですが(笑)、あまりにも毎回言われるので、渋々ググるように。
時には一緒にググってくれて、検索ワードの選び方、表示された無数のページから自分の知りたい情報を知る手順を具体的に見せてくれました。
「わからないこと、知りたいことがあるなら、まずはググればいいんだ」
「思ってたよりいろんな情報がネットにはあるみたい」
「”検索ワードを知っている”ということが大事」
「検索ワードがわからないなら、適切な検索ワードを知るための検索をする」
言葉にしてしまえば初歩的で当たり前の内容ばかりですが、これらのことを身にしみて理解したのは、Cさんのおかげ。
当時Cさんが教えてくれた授業内容そのものはかなり忘れてしまいましたが(Cさんごめんなさい)、これらのことは一生の財産としてうぽの中に生きています。
◆侮れない、ググることの本当の意味。
大人になって、自分がむしろ質問されるCさんの立場になると、このことの意味が更にグサグサと刺さるようになりました。
別に不親切なわけじゃない。
むしろ質問してくれる人には親切にしたいし教えてあげられることは教えてあげたい。
でもそのために割ける時間は有限。
だったらせめて、ググってわかる基本的なことだけは理解した上で質問して欲しい。
その方が、検索で出てこないようなもっと深いところまで答えられるし、その人それぞれの状況や環境に合わせたサポートが出来る。
ってことなんですよね。
◆しょっちゅう壁にぶつかっていたDTM。自己解決できるように!
そして質問する側(中学生だった当時のうぽ)にとっても、ググることは結局やっぱり良いことだったんです。
自分で問題解決ができる→他人を頼らなくてもいい→時間がかからない。
更に、調べているうちに周辺分野のことも知ることが出来ます。
ところで少々唐突ですが、「DTM」ってみなさんご存じですか。
「Desk Top Music」の略で、要するにパソコンソフトで曲を作ること。
中学生当時、うぽはこれに挑戦していたわけですが、当時は今ほど普及もしていなければソフトも洗練されておらず、しょっちゅうバグでソフトが強制終了したり、予定通りの挙動をしないこともしばしばで、音楽制作より手前の、ソフトの扱い方の段階で壁にぶちあたりまくっていました。
わからないことがあると、最初はボイトレの先生に質問したり、ソフトのサポートセンターに電話したりしていたのですが、Cさんに出会い、ググることを学び、だんだんと「壁にぶち当たったらググれば良い」ということに気づき……
数年経つと、レッスンに通わずとも独学でほとんどのことを解決できるようになっていました。
誰かに質問して教えてもらえば、たしかにすぐに解決できます。
でも、厳しい言い方をするなら、それはその人の時間を奪っていることになる。レッスンに通えばお金もかかる。
更に、「その質問の答え」しか知ることが出来ず、周辺分野や、なぜそうなるのか?といった考え方の部分は、わからないままになることが多いわけです。
◆ググってわからないなら、本を読む!質問する!
とはいえ、いくら検索スキルを身につけても、全てがわかるわけではありません。
自分がまだ記事の内容を読み解けるほど、その分野の理解が深まっていないのかもしれないし、そもそもどこにも書いていないかもしれません、
そのときになって初めて「誰かに聞く」という選択肢を選べばいいんです。
そうやって質問すれば、質問された人も真摯に答えてくれるし、自分にとっても、本当に有益な情報に出会えます。
いいことずくめです。
質問できる人が周りに居ないなら、本を読むのも良いです。
ググるよりは、わかりやすく正しい情報がまとめてあり、その周辺分野を俯瞰して学ぶことが出来ます。
◆「ググれカス」とは、「自走して学べる人になりなさい」という意味だった
Cさんとのレッスンは、数ヶ月に1回のペースで数年に及び、ほとんどの内容を伝えたということで終わりを告げました。
彼が教えてくれたことは、授業内容そのもの以上に、「自分で自分の疑問に答えてあげられる、学びの自走の仕方」だったんだなと、今になってわかります。
わからないことがあるなら、
知りたいことがあるなら、
今すぐネットの海に飛び込みましょう!
ネットは闇やゴミにもなる一方で、
無限の力を与えてくれる場所でもある。
これを読むあなたにとって、どうかネット世界が、後者のような存在でありますように。