小さな空間、所属するクラスを替えられる制度設計


標準的、同調的、というものが時に子どもの心身に強いストレスとなります。集団不適応は、集団と個の相克ストレスから生じます。(中略)日本の教育環境に小さな空間がいくつかあるとどれだけ多くの子どもが救われるかと常に考えます。多様性をもって成長発達する子どもたちのために、学校という建物自体も多様性を守り育てる新たな視点が必要だと感じます。

子どもたちの教育にとってより良い体制を求めて柔軟に変化できる体制が必要でしょう。 例えばですが、しかるべき理由があれば、所属するクラスを替
えられる制度設計
は、この相性問題を解決してくれます。きっちりとしたクラス制御を求める教師には合わなくても、緩やかな方針の教師なら問題行動が激減することはしばしば観察されます。 大声で元気な教師に恐怖を感じても、穏やかで静かな教師なら安心感を抱く子どももいます。何が、あるいは誰が悪いか、ではなく、悩む子どもにより合った環境を提供することが最優先事項であるなら、融通性に富んだ制度設計が求められるところです。

「心」を「脳機能」と言い換えてみると、精神心理的問題が、身体的問題と同レベルで理解できます。 これだと、「行動」の問題も脳機能の問題と理解
され、その子どもの努力ではいかんともしがたい問題だと理解ができるようになります。公平性に邪魔をされて個々の特性への配慮がなされない結果、大きな損失を被っている子どもに接していると、連携の体制的ギャップを痛感します。日本の教育が公平性の呪縛から逃れて、個々の特性を重視できる体制へと変革することを、一小児科医 として願っています。

引用:教育と医学 2022年5・6月号 桃井眞里子「子どもの健康を守る教育と医療の連携」 より

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