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田舎エンジニアの転職記③

スカウト会社からの連絡という形で突然始まった転職活動ですが、おかげで自分のこれからのキャリアについて真剣に考える機会となりました。
職業選択に求める要素は人それぞれありますが、自分にとって重要な要素は何であろうかと、考えはじめました。

要素

職業を評価する項目を挙げると、おおよそ次の6つに集約されるのではないでしょうか。

・給与/待遇
・ネームバリュー
・ライフワークバランス
・社会貢献
・経験
・勤務地

給与/待遇はいわずもがな、ネームバリューやライフワークバランスといったところは誰もが気にするところです。
転職エージェントもそこは押さえているようで、前職より優れた案件ばかり紹介されました。
ライフワークバランスについては本当の部分は分かりませんが、規模が大きい会社ほどコンプライアンスがしっかりしている傾向があると判断できます。

実のところ、これらの項目について前職でもそこまで不満はありませんでした(ゼロではないですが)。
自分にとって大きかったのは、社会への貢献を実感できることと、経験が活かせることでした。

開発部隊に所属していたことから、入社してからの仕事は将来に向けた要素技術の研究でした。
未来への投資ということで毎年多額の予算が下りていましたが、客先から最も離れた上流であるからか、製品への適用を急かすような雰囲気はありませんでした。
それどころか数年単位の納期が設定されていたことから、1ヶ月かけて準備した試作品が破損して評価できなかったときでさえ、全くお咎めなしでした。
年度ごとの目標も息切れしない程度に、定量的な表現を避ける内容が設定されました。

このように、私にとって前職はホワイトすぎる会社でした。
ノルマが緩く、残業も少ない。
はっきり言ってモチベーションを保つことが難しくなっていることに気がつきました。

仕事は自らつくるもの

食堂などで同期と会って話をすると、自分との差に驚きました。
技術営業の同期は客先対応に追われ、残業時間も度々超過していたと言います。
忙しければいいというわけではありませんが、すくなくとも早急に必要な仕事を与えられていました。
贅沢な悩みですが、自分にとっては非常に羨ましく映りました。

仕事は与えられるものではなく、自ら作るものだ
というのは理屈では理解していました。
外的理由で試作品が滞り、月単位で暇な時間を過ごしていたときも言い訳せず、自社の製品とじっくり向き合うのに絶好のタイミングと捉えていました。
過去の検討の歴史を洗い出し、他社製品との違いを徹底的に比較しました。
検討の結果規定されたパラメータには基本的に理由あります。
しかし、その理由の裏付けが不十分なことも少なくないのです。

管理職はおろか、過去の担当者でさえ膨大な数の検討資料を全て把握出来ていません。
それらをすべて洗い出す中で、特に根拠が見つからず、恐らくなんとなくで決められたパラメータが現在まで受け継がれていることを何件も見つけ出しました。
それは過去の担当者が悪いのではなく、当時の要求にはマッチしていたものの、現在の要求に対しては適合出来なくなっている、というだけでした。

このような内容を資料にまとめ、パラメータの最適化検討実験と予想される効果(性能、コスト)について提案しました。
この実験が成功すれば材料費が削減でき、性能の向上が見込まれることから自身は十分でした。

ですが、上司の回答は需要の落ち込みから急いで検討実験するほどではない、というものでした。
既に客先に出回っている製品については信頼性の検証がつきまとうことから、会社としては腰が重いことを後から知りました。





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