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エリート無職の絶望 - インド若者の苦境と経済成長の影裏

インドは世界最速の経済成長を遂げる大国として注目を浴びています。しかし、その華やかな表面の裏側には深刻な課題が潜んでいます。1.4億人以上の若年人口を抱えるインドでは、高学歴でありながら安定した職に就けない「エリート無職」の増加が問題視されています。この状況は、雇用市場の歪みや教育システムの限界が影響しており、インドの未来に影を落としています。本記事では、現状の課題、原因、そして解決策について深掘りし、インドが直面する雇用危機の本質を探ります。

インドの雇用市場は、拡大する若年人口を受け止める力を欠いています。20~24歳の若者の失業率は42%を超え、高学歴であればあるほど職を得にくい現状が浮き彫りになっています。教育制度が提供するスキルが労働市場のニーズに合致せず、多くの若者が非正規労働や低賃金の仕事に甘んじざるを得ないのです。また、女性の労働力参加率が極端に低いことも、GDP成長を妨げる要因の一つです。

雇用不足の背後には、製造業の成長停滞や投資の減速、そして複雑な労働法規制があります。政府は製造業振興や技能訓練プログラムを推進していますが、抜本的な改革には至っていません。例えば、世界的企業を誘致するためのインフラ整備や投資環境の改善が求められています。さらに、女性の社会進出を促進することで、経済成長に大きなブーストをかけることができるとされています。

13億人のトイレ 下から見た経済大国インド


携帯契約12億件以上の成長を遂げる一方、6億人がトイレなし生活を送るインド。その「下から」経済を捉えた驚きの視点が話題です。本書は、トイレ事情を通して都市と農村、カーストと経済格差、さらに清掃労働者や革新的ベンチャーの取り組みまでを網羅的に追跡。過酷な「乾式トイレ」や盗水問題、僧侶の差別論、そしてトイレ建設を掲げるモディ政権の実情を明らかにします。命がけのトイレ事情を描く本書は、経済成長の裏側を知る上で必読の一冊です。

インドが経済大国として持続可能な成長を遂げるには、若者たちの潜在能力を引き出すための包括的な雇用戦略が不可欠です。教育制度の改革、製造業の拡大、労働法の簡素化など、政府と民間の連携が重要な鍵となります。もし雇用問題を解決できれば、インドは世界経済をけん引する存在となるでしょう。しかし、現状のままでは所得格差の拡大や社会的不安の増大を招きかねません。若者たちが夢を実現し、未来を築ける環境を整えることこそ、インドの成長と安定の礎となるのです。


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