生きて
眠りの世界から意識が戻ってくる。
目をあける。
真っ暗で何にも見えない。
手探りでリモコンをみつけて照明をつける。
ん!眩しっ。
目を細めて枕元の時計を見る。
AM4:04。
布団をはねのけ、ゆっくりと立ち上がる。
暗いリビングを手探りで洗面所に向かう。
1歩1歩確かめるように。
洗面所に辿り着いて顔を洗う。
両手で水を受け止め、顔を寄せていく。
冷たい水が心地いい。
顔をあげて鏡に映った自分を見詰める。
鏡の中の自分が問いかける。
いったい何年生きて来たんだ?
ああ、51年生きたな。
白髪が増えてない?
ああ、生きてるから。
シミもちょっと増えた?
ああ、生きてるからな。
もっと笑ったらどう?
はははっ。
今日も生きてるよ!
笑いじわも増えた。
鏡の自分が言った。
生きててくれて、ありがとう。