朝焼

またいつか情緒の波に呑まれた時やもしもの事があった時、その時の為に残したい。


こんな人にはもう二度と出会えないと泣き腫らしていたあの日から約2年。
今は違う男に恋焦がれているのだから笑ってしまう。
良くも悪くも皆代わりの人間がいるのだと、本当にそう思う。
あなたがいなくなったとしても、きっと数年後には私は意外にもけろっとしてまた何食わぬ顔で日々を過ごしているのだろうと思うと安心する。

何の見返りも要らない。
ただあなたが愛されているのだと感じて私の元で安心してくれるのであればそれでいい。
手を繋いでデートする事は出来ない。あなたを独り占めする事は出来ない。あなたに万が一の事があった時私に知らされる事は無い。
どれだけあなたの事を愛しても、高い高いこの見えない壁の向こうには行けない。
その壁の向こうでまた私に対するそれとは違う優しい眼差しを向けるあなたが見える。
一体何をすればあなたはいろんな事を後悔してくれるのだろうと思う。

頭がおかしくなってしまう程嫉妬に狂った日もあったけれど、凪のような緩やかで温かな気持ちでいられる日が多くなったのは何故だろう。
あなたとの終わりの日を考える事は出来ないけれど、あなたは私との終わりの日を考える事はありますか?
その日が来た時にきっと何の躊躇いもなく離されてしまうその手を容易に想像出来るから、きっと私はもう悲しくないのかもしれない。 

続く限り続けようね。
あなたを大切に想う気持ちは本物です。
あなたが元気で幸せでいられるのであればいつでも呼んでね、いつだってどこへだって飛んでいく、本当に。

でももしも何かあった時、その手を離されてしまうと思います。
その時に私の全てが終わってしまわないように、私はいつだって次の誰かを探しています。

あなたが無意識に私を利用するように、私は意図的にあなたを利用して幸せになるね。


きっといつか遠い未来、私からあなたの手を離せるように。
その時にあなたが泣いて後悔しますように。
私がどれだけの想いであなたを一生懸命に愛していたのか、ぽっかりと空いたその愛の穴をじっと見つめて、絶望しながらあなたが生きていく事を望んでいます。



頂いたサポートは書籍など、文章を生む為のインプットに充てさせていただきます。いつも読んでくださりありがとうございます。