玉葱

全てが終わったあと、これをもう最後にしようと言われた。

じゃあいいよ、と言う私にちゃんと話をしたい、そうじゃないと進めない気がするという風な事を言っていた。

いつも終わった後は反省する、けど今回は特に反省してる。

そう言うのはあなたが私を愛の巣にまで連れ込んだからなんだろう。

そういう関係になるか、2人揃ってだめになるかだと思うからもう最後にしようというあの人を私はただじっと見つめていた。

怒る権利はあるよ、最低だったと思う、全部自分が悪いけどそれでも仲良くして欲しい、って何から何まで私任せのあの人に半分呆れていたのかもしれない。

私あなたの半分程しか生きていないのだけど。

きっと最後のチャンスだったけど、今何を考えてる?というあの人に最後の最後まで本当の事は言えなかった。


だからここで言わせて欲しい。

まずどうしようもなかった、って言うのはやめてね。言い訳だから。どうしようもなかったんじゃなくてどうするつもりも無かった、って言ってね。

最後はあなたが言い出してこうやって終わる事は目に見えていたの。それなのに落ちていったのは私の選択であり責任であり失敗です。

でもだからこそ後悔してる。それをあなたに言えた事だけが唯一の反抗だったかもしれない。

後悔してるよ、凄く。馬鹿だったなと思う。

それからね、自分は家庭を持ちながらもこそこそ私という人間で愛を堪能しようとするその姿勢がとてもずるいなあと思っていました。

思い返せばあなたはいつも自分の感情や愛されたいという気持ちに敏感だった。私の寂しいという気持ちを気にかけてくれた事は無かったように思います。

寂しいと言う権利を奪われた私はきっと格好の的だったのだろう。


本当に好きだったしあなたにだけ見せた私の顔がいくつもあったなあと思う。

けれどそれはあなたを心変わりさせる程では無かったし、ただただ本気になってしまった私が馬鹿だった、結局はそれだけの話なんだと思う。

ずるずると引きずるような複雑ではない、もっと単純な破れ方だった。

それに例え望むものを手に入れられたとしても、私の好きな人は自己中で足りないものを満たすためならすぐに心変わりするような信用の置けない人だったのだから、不幸真っしぐらの道の手前で救われて良かったとも思うの。

私の人生にはいつもこうやってよく分からない力が働いて直前に命拾いしたりする。


もう好きになるのはやめる、というのは私の宣言。強がりなんかじゃない。

本当にやめるの、だって私の愛情を注ぐにはあなたはあまりにも勿体ない人だから。


自分の非を認めていながら最後まで人としては好きでいて欲しいというあなたにかける言葉はもうありません。

最後まで自分が愛されたいという言葉ばかりでつくため息ももう底をついた。


もう好きじゃない。優秀かもしれないけれど人としてはあまりにつまらなくて、人として好きでいる事ももう難しいかもしれませんね。


仕事をしていく上ではどうしても避けられないあなただから、きっとその為にずるずると関係は続いていくのだと思う。

けれど人間としては何も学べる所が無い人なのだと私は知ってしまいました。

だからもう好きじゃないし、人としては好きでいられるかという質問にはきっと上手く答えられません。だってそれに答えてしまったら、もうこれから生き延びる術としてあなたと一緒にいる事への辻褄が合わなくなってしまうから。


自分がどれだけ弱いのか気付いて欲しい、それでいて日常に散らばったこそばゆい小さな愛情を思い出しては絶望して苦しんでくれたらいいなと思います。


最後にひとつだけ言わせてね。

あなたは何も特別じゃない。どこにでもいる人と一緒、ただただつまらない人でした。


さようなら、きっといつかずっと先の未来であなたが本当の事に気付いて後悔する事を祈っています。


それから私へ、一皮剥けて強くなれよ、期待しています。

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