平均年齢70歳、男の楽園『僕らが恋をしたのは』
ゆっくり読めるときにと思ってあたためていたオノ・ナツメ作『僕らが恋をしたのは①』を読んだ。
オノ・ナツメ作品の登場人物は年齢層高めなことが多いけれど、今回はいつにも増して妙齢も妙齢、平均年齢70歳の男4人がメインのお話。
山奥でお互いをあだ名で呼びながら自由気ままに暮らす彼らの、曰く〈じじいの園〉に謎めいた美女がやってきたことから少しずつその凪いだ生活にさざ波が立ってくる、というもの。
今連載中のもうひとつの作品『BADON』も男4人がメインのお話だけれど、あのハードボイルドなストーリー展開とは対を成すように連載しているのが面白い。
しかしオノ・ナツメ作品の妙齢のキャラクターというのは本当に魅力的で思わずはああ、とため息が出てしまう。
とくに、シンプルな絵柄なのに雄弁なまなざしが堪らない。
ふと目を遣るしぐさなど、言葉に表れない描写に唸ってしまう。
これもまた続きがたのしみだ。
『BADON』もそろそろ単行本が出るようなので待ち遠しい。