夏は塩煮のかぼちゃで
ときどき、急にかぼちゃが食べたくなる。
今日もふとそんな気分になって、かぼちゃの塩煮をつくることにした。
この塩煮は、牧野伊三夫さんのエッセイ、その名も『かぼちゃを塩で煮る』を読んで知ったものだ。
作り方はたいへん簡単。
かぼちゃを一口大に切って、適当な鍋に入れてひたひたの水を入れる。そこに、ちょっとだけ塩をふって落し蓋をし、弱火で煮る。以上。
なんの難しいこともないけれど、これがとてもおいしい。
甘からく煮付けるタイプのものもおいしいのだけれど、この塩煮という調理法を知ってからは、こちらの方法でつくることが多い。塩を入れても塩辛くはならず、残るのはかぼちゃ自体の甘みで、それだけで十分においしい。夏はとくにこのさっぱりとした感じがうれしい。
『かぼちゃを塩で煮る』
これは画家・牧野伊三夫さんの食に関するエッセイをまとめたもの。
世界の料理や変わった食べ物も登場するけれど、グルメ通というのではなくて、つくること、食べることを生活の一部として楽しんでいる、その自然体なさまがとてもいい。
手間をかけるところはかけて、その時間までも味わっている、という感じ。
文章も気取らない親しみやすさがあって、ご本人の挿絵がまた素朴でいい。何度も読み返して味わっているお気に入りの一冊。