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本の感想 東野圭吾『マスカレード・ホテル』『マスカレード・イブ』

 ジャンル:ミステリー、バディもの

東野圭吾氏のマスカレードシリーズ作品、『マスカレード・ホテル』と『マスカレード・イブ』の感想を書き連ねる。

続編を読むための備忘録として書いているため、個人の趣味嗜好がダダ漏れである。

※ネタバレは避けてるつもりです


あらすじ

【ホテル】

都内で起きた不可解な連続殺人事件。容疑者もターゲットも不明。残された暗号から判明したのは、次の犯行現場が一流ホテル・コルテシア東京ということのみ。若き刑事・新田浩介は、ホテルマンに化けて潜入捜査に就くことを命じられる。彼を教育するのは、女性フロントクラークの山岸尚美。次から次へと怪しげな客たちが訪れる中、二人は真相に辿り着けるのか!? いま幕が開く傑作新シリーズ。

東野圭吾『マスカレード・ホテル』集英社文庫,2011年

マスカレードシリーズ第一作目。
連続殺人事件を追っているだなんて、ミステリー好きホイホイではないか。しかも“暗号"だなんて。

【イブ】

ホテル・コルテシア東京のフロントクラークの山岸尚美は、ある客たちの仮面に気づく。一方、東京で発生した殺人事件の操作にあたる新田浩介は、一人の男に目をつけた。事件の夜、男は大阪にいたと主張するが、なぜかホテル名をいわない。殺人の疑いをかけられてでも守りたい秘密とは何なのか。お客さまの仮面を守り抜くのが彼女の仕事なら、犯人の仮面を暴くのが彼の職務。二人が出会う前の、それぞれの物語。

東野圭吾『マスカレード・イブ』集英社文庫,2014年

ホテルの続編、前日譚にあたるマスカレード・イブ。
前作に張られた伏線の回収が実に鮮やか。
新たな人物も加わりテンポよく読み進めることができる。


関連リンク

2024年11月現在、シリーズは4作品出版されている。
ナイトとゲームを読むべくこのnoteを書いているわけだが、おそらく読み直すのは作品のほうだろうな。
この世界に浸るためには、コルテシア東京に泊まるしかない。

感想


 ※バディものが好物です
 ※バディものというだけで基礎点が上がります
つまり贔屓しているわけである。
二人組という素晴らしいスタートから、男女というバトンが渡され、ホテルマン&警察という襷が掛けられて独走している。
供給過多。ありがとうございます。
完全ヒロインでも、完璧ヒーローでもない二人が織りなす独特の空気感。
殺人事件ももちろん関わってくるため、常に張り詰める緊張感。
この融合が実に見事で、読み進める手が止まらない。
 

作品概要


【ダブル主人公】
・山岸尚美
一流ホテルの敏腕フロントクラーク。
腹のうちは口が悪い。
・新田浩介
帰国子女の辣腕刑事。
プライドがなかなか高い。

お互い有能な仕事人なのがたまらない。好きだ。
あくまでビジネスパートナーな点もたまらない。好きだ。

【ホテル】
連続殺人事件の次なる現場(仮)に、ホテルマンとして潜入する新田。
新田の指導係として山岸が選ばれた。
次々と訪れる個性的なお客様に、目を光らせる新田。
そんな彼の不躾な態度の尻拭いをする山岸。
波長の合わない二人だが、事件を防ぐことはできるのだろうか。

訪れるお客様は、皆一癖も二癖もある方々。
彼らは事件に関与しているのか。
なぜ不可解な行動をとっているのか。
犯人を見つけることが目的の新田と、どんな方であれお客様には完璧なサービスを提供する山岸の、対立具合がとても面白い。

【イブ】
山岸と新田が、出会う前の話。
1.山岸視点で描かれる、ホテルでの不思議な出来事。
2.新田視点で描かれる、二転三転する殺人事件。
3.そして二人が遠くで交わる殺人事件。
犯人はもはや明らかなのだが、なぜか解けないこの事件。
新田の新たな(昔の?)パートナー、穂積も事件解決のため奮闘する。
山岸がこの事件にどう関わってくるのか、彼女の敏腕具合が見所か。

穂積さん、東野圭吾作品には珍しい、ただただ愛らしく抜けてるキャラだと思うのだが、どうだろう。好きだ。
前日譚の好きなところ、前作に繋がるシーンが明確に描かれるところ。


星づけ


【ホテル】
読みやすさ:★★★★★
連続殺人ものと括って読み始めると、焦ったさを感じるかもしれない。だがどの章もテンポよく進み、また二人のやりとりも面白いため飽きないこと間違いなし。謎解き要素の手堅さも流石です。
キャラクターの魅力:★★★★★
もうこれは個人の趣味でしかないのだが、有能主人公同士がぶつかり合う状況が大好きだ。お客様も個性豊かでとても愉快。情が揺さぶられるようなかたも。
ホテルの評価:★★★★★★★
美しい夜景とともに素敵な時間を過ごせました。なによりフロントクラークさんの細かな気遣いが、とてもありがたかったです。また利用したいと思います。


【イブ】
読みやすさ:★★★★★
いわゆる短編集のため、読みやすさはバッチリ。展開も早すぎず遅すぎずで世界観にも浸りやすい。前作を読んでいなくても楽しめるだろう。でも読んで。
キャラクターの魅力:★★★★★
新登場の人たちに焦点を当てる。やはり個性豊かである。特に東野氏が書く人妻は、とても魅力的だと感じる。ファンタジーだけどリアル…的な。
ファンサービス:★★★★★★★
前作を読んでいたら楽しい要素がたくさん。あのとき語っていたホワイトデーってこれか!こっから次に繋がるのかー!好き。


最後


斬新なコンビが大活躍のミステリー、『マスカレード・ホテル』
そんな二人が出会う前のお話、『マスカレード・イブ』
読んだことのない人は、ぜひ一度コルテシアに泊まってみてくれ。サービスの質の高さに、感嘆するだろう。
余談、映画を観ようか迷っている。



閲覧ありがとうございました。

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