本の感想 東野圭吾『マスカレード・ホテル』『マスカレード・イブ』
ジャンル:ミステリー、バディもの
東野圭吾氏のマスカレードシリーズ作品、『マスカレード・ホテル』と『マスカレード・イブ』の感想を書き連ねる。
続編を読むための備忘録として書いているため、個人の趣味嗜好がダダ漏れである。
※ネタバレは避けてるつもりです
あらすじ
【ホテル】
マスカレードシリーズ第一作目。
連続殺人事件を追っているだなんて、ミステリー好きホイホイではないか。しかも“暗号"だなんて。
【イブ】
ホテルの続編、前日譚にあたるマスカレード・イブ。
前作に張られた伏線の回収が実に鮮やか。
新たな人物も加わりテンポよく読み進めることができる。
関連リンク
2024年11月現在、シリーズは4作品出版されている。
ナイトとゲームを読むべくこのnoteを書いているわけだが、おそらく読み直すのは作品のほうだろうな。
この世界に浸るためには、コルテシア東京に泊まるしかない。
感想
※バディものが好物です
※バディものというだけで基礎点が上がります
つまり贔屓しているわけである。
二人組という素晴らしいスタートから、男女というバトンが渡され、ホテルマン&警察という襷が掛けられて独走している。
供給過多。ありがとうございます。
完全ヒロインでも、完璧ヒーローでもない二人が織りなす独特の空気感。
殺人事件ももちろん関わってくるため、常に張り詰める緊張感。
この融合が実に見事で、読み進める手が止まらない。
作品概要
【ダブル主人公】
・山岸尚美
一流ホテルの敏腕フロントクラーク。
腹のうちは口が悪い。
・新田浩介
帰国子女の辣腕刑事。
プライドがなかなか高い。
お互い有能な仕事人なのがたまらない。好きだ。
あくまでビジネスパートナーな点もたまらない。好きだ。
【ホテル】
連続殺人事件の次なる現場(仮)に、ホテルマンとして潜入する新田。
新田の指導係として山岸が選ばれた。
次々と訪れる個性的なお客様に、目を光らせる新田。
そんな彼の不躾な態度の尻拭いをする山岸。
波長の合わない二人だが、事件を防ぐことはできるのだろうか。
訪れるお客様は、皆一癖も二癖もある方々。
彼らは事件に関与しているのか。
なぜ不可解な行動をとっているのか。
犯人を見つけることが目的の新田と、どんな方であれお客様には完璧なサービスを提供する山岸の、対立具合がとても面白い。
【イブ】
山岸と新田が、出会う前の話。
1.山岸視点で描かれる、ホテルでの不思議な出来事。
2.新田視点で描かれる、二転三転する殺人事件。
3.そして二人が遠くで交わる殺人事件。
犯人はもはや明らかなのだが、なぜか解けないこの事件。
新田の新たな(昔の?)パートナー、穂積も事件解決のため奮闘する。
山岸がこの事件にどう関わってくるのか、彼女の敏腕具合が見所か。
穂積さん、東野圭吾作品には珍しい、ただただ愛らしく抜けてるキャラだと思うのだが、どうだろう。好きだ。
前日譚の好きなところ、前作に繋がるシーンが明確に描かれるところ。
星づけ
【ホテル】
読みやすさ:★★★★★
連続殺人ものと括って読み始めると、焦ったさを感じるかもしれない。だがどの章もテンポよく進み、また二人のやりとりも面白いため飽きないこと間違いなし。謎解き要素の手堅さも流石です。
キャラクターの魅力:★★★★★
もうこれは個人の趣味でしかないのだが、有能主人公同士がぶつかり合う状況が大好きだ。お客様も個性豊かでとても愉快。情が揺さぶられるようなかたも。
ホテルの評価:★★★★★★★
美しい夜景とともに素敵な時間を過ごせました。なによりフロントクラークさんの細かな気遣いが、とてもありがたかったです。また利用したいと思います。
【イブ】
読みやすさ:★★★★★
いわゆる短編集のため、読みやすさはバッチリ。展開も早すぎず遅すぎずで世界観にも浸りやすい。前作を読んでいなくても楽しめるだろう。でも読んで。
キャラクターの魅力:★★★★★
新登場の人たちに焦点を当てる。やはり個性豊かである。特に東野氏が書く人妻は、とても魅力的だと感じる。ファンタジーだけどリアル…的な。
ファンサービス:★★★★★★★
前作を読んでいたら楽しい要素がたくさん。あのとき語っていたホワイトデーってこれか!こっから次に繋がるのかー!好き。
最後
斬新なコンビが大活躍のミステリー、『マスカレード・ホテル』
そんな二人が出会う前のお話、『マスカレード・イブ』
読んだことのない人は、ぜひ一度コルテシアに泊まってみてくれ。サービスの質の高さに、感嘆するだろう。
余談、映画を観ようか迷っている。
閲覧ありがとうございました。