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本の感想 青柳碧人『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』
ジャンル:ミステリー
青柳碧人氏の著書『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』を読み終えたため感想を書く。
※ネタバレは極力避けています
あらすじ
クッキーとワインを持って旅に出た赤ずきん。その途中でいろいろな事件に遭遇します。「シンデレラ」「ヘンゼルとグレーテル」「眠り姫」「マッチ売りの少女」を下敷きに、小道具を使ったトリック満載!
こんなミステリがあったのか、と興奮すること間違いなし。全編を通した“大きな謎”も隠されていて、わくわく・ドキドキが止まりません!
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の著者による世界の童話をベースにした連作短編ミステリ!
双葉文庫,2022年
童話の絵本を集めるくらいには好きなわたし、楽しみ。
タイトルがめちゃくちゃ物騒なんですが…。
ここまでドストレートなタイトルだと読みたい欲が強まる。
あらすじにもある『むかしむかしあるところに、死体がありました』はまだ読んだことないです。
関連リンク
続編も出ているんですね!
買おうかな〜。
感想
童話と殺人事件の相性がこれほど良いとは思わなんだ。
童話はあれで完結してるだろ!とか最初は思っていたのだが、ミステリー要素が入るとこうした展開になっていたのかも!と素直に楽しめた。トリックにリアリティがあるからだろうか。
かなりファンシーでかわいい〜感じの世界なのに、鮮血やら死体がガンガン出てくるちぐはぐ具合。
しかし世界観が壊れることはなく、死体があった理由も納得できる不思議な読後感。
赤ずきんを童話のなかの赤ずきんのような少女だと思っていたら、めちゃくちゃカッコよくなっていてビビった。かなり好きだ。
短編集なので読みやすく、それぞれ登場する童話の人物も切り替わり世界観には慣れやすい。ヘンゼルとグレーテルの舞台が一番好き。
正直一気読みすると、後半ダレるかなという感じもする。
事件が起きる→探偵が大活躍する
という金太郎飴的な流れが続くため、章ごとに間を空けて読んだら飽きずに楽しめるのではと思った。
でも一気読みすれば世界観には入り込みやすい。森の住民になりたい。
作品概要
一度は聞いたことのある童話がモチーフになったミステリー。
主人公は赤ずきん、かなりたくましくなってます。
赤ずきんは殺人事件に巻き込まれる立場であり、お馴染みの登場人物たちと関わり、事件を解決していく探偵に!
シンデレラやヘンゼルとグレーテルなど、ファンタジーな世界ながらドス黒い事件が発生する。面白い。
それぞれの童話に出てくる固有のモノがトリックでも大活躍してくれる。めちゃ面白い。
登場キャラはみんな魅力的で、童話に出てはいけないような腹黒いヤツもバンバン出てくる。愉快。
謎解きをしたいというよりも、探偵が活躍するのを見ていたいというひと向け。
星付け
ストーリー:★★★☆☆
それぞれのお話が童話をなぞらえ、しかしオリジナリティある展開に。犯人探しをするというより探偵の活躍を見守る感じ。
読みやすや:★★★★☆
絵本の語り口調のような、とても読みやすい文体。それでいてトリックはしっかり説明してくれる。短編集なので区切りやすいのもありがたい。
登場人物の魅力:★★★★★
見覚えのある人物たちが、非常に大人に…というかダークな性格になっているがなぜだか嫌悪感がない。むしろ好き。赤ずきんがスマートすぎる。好き。
世界観:★★★★★★★
童話の世界観を崩さず、ここまで違和感なくミステリーにできるんだという感動。ファンタジーなのにリアル、リアルなのに“魔法”がかかっても不思議じゃない。すごい。
最後
童話とミステリーの融合、『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』
世界観に入りやすくまた読みやすい、ミステリーを普段読まないひとにも薦めたくなる作品だった。
登場人物が個性豊かなため、お気に入りも見つかる気がする。
映像化もされているようなので見てみようかな…。
閲覧ありがとうございました。