【わかりやすく解説】『ATT』がFacebook広告に与える影響とは?
こんにちは、神宮寺です。
今日はATTについて解説してみようと思います。
「知ってはいるけどイマイチよくわかってないんですよね」「知ってる感出してるけど実は全然わかってないです」みたいな人も多いのではないでしょうか?
小難しい記事が多くて、なかなか理解するのが難しいですよね。
この記事では、Facebook広告にどういう影響があるのか?という部分にフォーカスしてできる限りわかりやすく書いていこうと思いますのでぜひ読んでみてください!
❏ATTとはどういうもの?
・ユーザーに「トラッキングしていい?」という許可を取ること
ATTは、App Tracking Transparencyの頭文字をとったものですが、簡単に言うと別のアプリやwebサイトでもトラッキングしてOKかNGかをユーザー自身が決めることができるようにする機能です。
2021年4月27日にリリースされたiOS14.5からATTの実装が義務付けられていますが、色んなアプリやwebサイトでこのようなポップアップが出現して回答を求められることが増えたのではないでしょうか?
皆さんは、どんな回答をしてますか?
「あなたのアクティビティを追跡」なんて言われるとなんか怖いので、[トラッキングしないように要求]を押す人も多いのではないでしょうか?それが普通だと思います。
では実際どのくらいのユーザーがトラッキングを拒否しているのか?
米国ではなんと96%のユーザーがトラッキングを拒否したそうです。
なんとなく広告が嫌がられていたのはわかってましたが、これは驚異的な数字ですよね。。そんなに嫌だったんだ。。って感じですね。
広告を出す側は「ビッグデータを活用して最適な広告を出せます」とか言いつつ、実際ユーザー側は最適だとは全く感じていなかったというのが現実です。
これは誰が悪いとかではなく、web広告全体の潮流が「広告効果を高めること」を重視しすぎてしまったことが要因かもしれません。
リターゲティングはたしかに費用対効果の高い手法ですが、ユーザー視点だと半永久的に同じ広告に追跡されるのはうんざりしますし、これはどう考えても上質な広告体験とはいえません。
とはいえ、リタゲをフルパワーで出し続けるのは「広告業界の常識」でもあったので、ATTによってこれが覆され、もう少し本質的な広告のあり方を考えるきっかけになればいいなと個人的には思っています。
❏Facebook広告にどんな影響が起きる?
では本題に入ります。
FacebookはAppleのトラッキング規制に対して猛反発をしているのですが、実際にどのような影響があるのか、主要なものを4つピックアップして話したいと思います。
①コンバージョン計測精度の低下
商品の購入などの「コンバージョン」はサイトを横断して(Facebookアプリ→広告主のページ)行わないといけないので、トラッキングを拒否されると理論上は計測ができなくなります。
しかしここに関しては、直近マストで設定しなければいけなくなった「ドメイン認証&合算コンバージョン」によって計測自体はできています。
合算コンバージョンはユーザーを特定しない形でコンバージョンを計測する仕組みを使っているそうで、計測自体はできているのですが、「このユーザーがこんな商品を購入したんだな。」という紐付けはできないので、Facebook側としてはユーザー単位に紐付くコンバージョンデータを失った形になります。
②ターゲティング精度の低下
トラッキングを拒否されると、webサイト上のFacebookピクセルで取得したデータ等をFacebookユーザーに紐付けられなくなってしまいます。webサイト上では詳細マッチングなどを使ってイベントを取得できていたとしても、それをFacebookユーザーと照合できなくなってしまったので、当然ターゲティングにも活用できなくなりました。
Facebook社が自社アプリ上(FacebookやInstagramなど)で取得している情報はもちろんターゲティングに使うことができます。
しかし、FacebookやInstagram上で取得できるデータのみでその人の趣味趣向などを定義するのに比べ、それらのデータに加えて数え切れないほどのwebサイト上でのデータが紐付けられていたほうが、ターゲティングの精度が高いのは明らかです。
Facebookピクセルのシグナルが使用できなくなってしまうのは、大きな影響があるのではないかと考えられます。
③Audience NetworkでFacebookのデータを使用できなくなる
Audience NetworkはFacebookと提携しているアプリに、Facebookのデータを使って広告が配信できるアドネットワークですが、当然これにも大きな影響があります。
上記の図の通り、Facebookの持つデータを各アプリに連携することができなくなってしまうため、Audience Networkは最大の強みを失う形になります。Facebookのデータが連携できないAudience Networkは、言ってしまえばただのアドネットワークです。
④最適化精度の低下
Facebook広告の最大の特徴は、最適化の精度の高さです。
しかし、上述の通り、webサイトやアプリから仕入れていた情報の多くを失ってしまうかたちになるので、Facebookがこれまで定義してきたユーザー1人1人の解像度が落ちてしまうのは間違いありません。
自社のデータがあるとは言っても、広告の最適化に必要なwebサイト上でのイベント(カート追加や購入など)を失ってしまうため、下記のような状態になってしまいます。
商品を買ってくれそうなこの人に広告を出してみる
↓
その後どういうアクションがなされたのか追跡できない
↓
最適化の精度が上がらない
❏これらはFacebook広告に限った話ではない
今回、具体的にイメージしやすいようにFacebook広告を題材にATTの影響を書いてきましたが、当然これは世の中の全ての広告媒体に共通して影響があります。
なので、あらゆる広告のターゲティングや最適化の精度が落ちていくはずです。(計測を代替する仕組みができない限りは。)
Facebookは自社データを豊富に持っている企業なのでまだマシなほうで、自社でデータをほとんど取得していない広告媒体はターゲティング機能をほぼ失ってしまう可能性すらあります。
❏神宮寺的 今後の予測
・IDを大量に持つプラットフォームの強さが増す
webサイトやアプリを横断してデータが使えないとなるとどこで差が生まれるのか?
それは自社データ(ID)です。IDをもとにしたターゲティング配信はwebサイトを横断していないので可能です。
運用型広告が破竹の勢いでここまで拡大してきたのはターゲティングの精度が高く、マス広告や純広告に比べて圧倒的に費用対効果が高かったからです。
つまり、詳細なターゲティングができる媒体のほうがニーズがあるということです。
大量のIDを持つ企業といえば、FacebookやGoogle、Amazon、楽天、Yahoo!などが挙げられますが、これらのプラットフォーマーの力がどんどん強くなっていくと思います。
ただ、すでにこれらのプラットフォーマーの寡占化はめちゃくちゃ進んでいるので、今とあまり変わらない感じかなと思います。
・購買データの重要性が高まる
IDだけではなく、購買データを持つこともかなり重要になってくると考えられます。
Facebook広告 → 広告主のLP → 広告主のサイト上で購入
という導線だと、広告主のサイト上で購入が発生するので、Facebookは「購入」という貴重なデータを受け取ることができません。
しかし、Facebookショップなど自社プラットフォーム内で購入まで完結させることによって、Facebookはユーザーの購買データを持つことができるようになります。
購買データを持つことによって「こういう商品を買っている人には、こういう広告を出すいいかもなぁ」というターゲティングが可能になり、広告の成果も高まります。
実際FacebookはFacebookやInstagramのショップ機能を強化しており、今後も加速していくことが予想されます。
・Audience Networkはコンテクストターゲティングを追加予定
Facebookのデータでターゲティングすることが難しくなったことを受け、時間帯やアプリの内容などを考慮した「コンテクスト広告」を掲載する機能を追加するとのことです。
<参照記事>
❏まとめ
いかがだったでしょうか?
連日ATTに関する記事を見かけますが、今後も色んな動きがあると思われます。
Google ChromeのサードパーティーCookie廃止が2023年まで延期され、ホッとしている人もいるかもしれませんが、いずれ廃止されるのは間違いないです。
現状維持では確実に置いていかれてしまうので、現状から目を背けず、未来を自分なりに予測して行動していくことが重要になると思いますし、これからの運用者やマーケターにより強く求められてくる部分だと思います。
まずは今起こっていることを適切に把握するところから始めていきましょう!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
それではまた来週!
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