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FURIOUS WORLD FEST 2024に行ってきました。


 4/14(日)、大阪難波Yogibo META VALLEY & HOLY MOUNTAINで開催された『FURIOUS WORLD FEST 2024』に行ってきました。



 『FURIOUS WORLD FEST』は、CRYSTAL LAKESANDのメンバーが発起人となって開催されたフェスで、

 当日のラインナップは

Crystal Lake
Edge Of Spirit
DEVILOOF
Gates Of Hopeless
HIKAGE
LAST DAY DREAM
SABLE HILLS
SAND
SAIGAN TERROR
SHADOWS
SUBLIMINALS
Super Structure
SUFFOCATION
SWORN ENEMY
TEMPLE
TIVE
Universe last a ward(ulaw)
ZULU

の18組でした。


 僕はあまりこの辺のバンドを追いかけていないので、知らないバンドが多かったのですが、日本のバンドに関していえば、メタルコアとハードコアを中心に、いろんな国内の「うるさい系」をギュッと集めてみた、みたいな感じのラインナップと感じました。

 そしてそこにSWORN ENEMYZULUSUFFOCATIONが入ってくるのですから豪華です。

(ちなみに、ボーカルの方がMCで話されていましたが、SABLE HILLSは逆オファーでの出演だったようです。)

 僕はSUFFOCATIONZULU、前KOYOのライブを観に行ったときにKOYOより良かったGates Of Hopeless、一度観たいと思っていたSAIGAN TERRORTIVEあたりが目当てでした。

 また、これだけの面子が一堂に会すだけでも素晴らしい事ですが、チケットのお値段も、

15歳以下 : Free
高校生 : ADV 3,000yen / DOOR 3,000yen
学生 : ADV 4,500yen / DOOR 5,500yen
一般 : ADV 7,500yen / DOOR 8,500yen
VIP : ADV 12,000yen / DOOR – ※売切れ

 と破格の設定になっていました。15歳以下無料って・・。
 通常チケット7500円を取ってみても、今時の海外バンドの来日一公演のお値段としては10%以上安いですし、本当にありがたい限りです。

 僕は当初VIPチケットを買おうと思っていたのですが、「ミーグリ」にあまり興味が無く、どうしようか余裕こいて悩んでいるうちにわりと秒で売り切れてしまいました・・・。

 当日僕が観れたのは

CRYSTAL LAKE
DEVILOOF
Gates Of Hopeless
SABLE HILLS
SAIGAN TERROR ※5分だけ
SHADOWS ※3分以下
SUFFOCATION (USA)
SWORN ENEMY (USA)
TIVE
ZULU (USA)

 の10組でした。

<ライブ会場・客層>

 Yogibo META VALLEYの前はこれまで見たことないくらい滅茶苦茶人がいました。

CRYSTAL LAKESABLE HILLSといったルックス良さげなバンドがいるからか、チケットの値段が功を奏したのか、これまでYogiboに観に来たBLACK FLAGとかSUICIDAL TENDENCIESの時にはこの世にいる形跡すら無かった若い男女の比率が多かったです。

<レビュー>


・TIVE

 TIVEは去年DRAINのライブで観て以来のライブでした。

 このバンドはハードコアながら日本語詞だったり、何かアーティスティックな方向にもガンガン挑戦していこうという感じのバンドなのですが、今回のライブはアート志向っぽい雰囲気は控えめに、ストレートなハードコア系の曲中心でわかりやすかったです。

・Gates Of Hopeless

 Gates Of Hopelessは良い意味で前観た時と同じ感じでカッコよかったです。

 このバンドはギタリストが3人いるのですが、ギタリストが3人いることで融通が利くのか、曲展開がハードコアのようでいて突然叙情派メロディック(メロスピ寄り)風になったり、聞いていてテクニカルなのをテクニカルに感じさせないごちゃまぜ感が楽しいです。

 今回のライブもいい感じでフロアを沸かせまくっており、外人も日本人もみんなポンポンステージからダイブしていました。

 していたのですが・・・・

 何かステージの端でボンヤリ観ていたら、突然ステージからマイケル・ムーアみたいな巨漢白人男性がこちらの方向に降ってきて、慌てて周りの人と受け止めようとしたら、メガネが巨漢白人男性の肩と接触してしまい、片方のレンズが吹き飛び、10年以上使っていたメガネが崩壊しました。

 この瞬間、僕の「Tシャツ代」「MERCH代」は明日緊急で買わなければならない「メガネ代」に止揚され、以降終演まで「視力」は失われることになりました。

 自分事ではありますが、眼鏡をかけてライブに行かれる方は絶対注意してください。


・SABLE HILLS

 眼鏡が崩壊したショックで「ステージ前方はアカン!」と思い、急遽後ろの方に移動した結果、ステージが全く見えず、どんな人達だったか全然わかりませんでした(アホ)。

 ルックス的にはなんかかろうじて「髪長かったかも。」って感じでした。

 最近名前はよく聞くので、どんな曲調なんだろうと楽しみでしたが、今風の速くて清潔感あるピシッとした感じの目の細かいメロディック系という印象を受けました。

 僕が高校の頃はこういう若者向けバンドというのは「向風」みたいな感じで、日本語の歌詞でガガガSPみたいな人生応援歌みたいな内容の歌を歌うのが主流だったと思うのですが、最近はこういう海外ウケしそうなパチッとしたバンドが主流なのかなと思い時代の流れを感じました。

 SABLE HILLSはこれまで大阪でライブを4回したことがあるらしく、そのうち3回がYogiboで、でも今日が一番お客さん多くて嬉しい!みたいなことをMCで言っていました。


・DEVILOOF

 このバンドも視力崩壊していたので全然どんな人達かはわかりませんでした。ギターの人がアミアミの服を着ていて、ボーカルの人がFFのクラウドみたいな髪型で、MCが煽り系だったのでビジュアル系かな?と思って後で調べたら確かにルックスはそんな感じでした。

 しかし曲はチャラチャラしておらず、00年代初頭のモダンヘヴィネス系の薫りを感じるしっかり重ための曲があり、他のバンドと結構違う事をしていて良かったです。会場は最初の方ちょっとテンション低めでしたが、ライブが進むにつれ熱くなっていました。

 このバンドはFURIOUS WORLD FESTのラインナップの「幅」として、優れたチョイスだと思いました。


・SHADOWS


 一瞬だけ見れました。「昔FACTというバンドの人が解散後に同じような名前のバンドをしていたよな…。」とボンヤリ思って、でもロゴが何か自分が思っていたSHADOWSのロゴとは違った気がして、勝手に別のバンドと思いこんであまりちゃんとステージを観ていなかったのですが、終演後にあのSHADOWSだったと気づき自分にドン引きしました。最近こういう脳が崩壊している出来事が増えてきている気がします。。



・SAIGAN TERROR

 SAIGAN TERRORも一瞬だけ見ることができました。

 HOLY MOUNTAIN会場の真ん中やや後ろあたりで見ていたのですが、見ていたら途中からガンガン人が入ってきて、押されるままに前に行こうとしたら、前に人の層みたいなのが出来ていて行く手をふさがれてしまい、前にも後ろにも行けない状況に追いやられてしまいました。

 入口横のスタッフの人もテンパってたのか、ガンガン人が入ってくる状況に対応できておらず、たまらずガラガラのVIPゾーンに行こうとする人に「入れないんすよ~無理なんすよ~」とか言ってる声が遠くの方から聞こえてくるだけでした。

 どうにも息苦しく音楽どころでは無くなってしまったので、たまらず人混みをかき分けて会場を出ました。


・ZULU

 海外バンドの一番槍はメンバー全員黒人のハードコアバンド、ZULUでした。

 全員黒人のハードコアバンドというだけでもテンションが上がりますが、ZULUは(アルバムを聴く限り)カーティス・メイフィールドとか、古のソウル・ミュージックへのリスペクトも持っているらしく、ハードコアとブラック・ミュージックへの憧憬みたいなものが交互に出現する不思議な演奏でした。

 僕にとってハードコアというのは楽器が下手な人が肉体的に「気持ち」を発散するために「道具」として楽器を使う、というのが1つのジャンルの定義だと思っているのですが、こういう楽器をちゃんとできる人達が表現としてハードコアを選択している音楽を聴くと、この音楽感覚(ハードコア的な音と、ソウル・ミュージックの音が違和感なく調和している)はどんな感じなんだろうと毎回不思議な気持ちになります。

 ZULUのデビュー・アルバムも結構その"混在"感が強く、個人的にはハードコアサウンドとソウル・ミュージックサウンドが交互にスイッチされるだけに聴こえる、よくわからない作品だったのですが、実際ライブで聴いたらこの謎も解消されるのかなと思って観ていました。

 しかし正直、ライブで聴いても「?」は解消されるどころか深まるばかりで、やっぱりハードコアモードとソウル・ミュージックモードがFPSの視点切り替えみたいにスイッチで切り替わる「だけ」に聴こえる演奏がそこにはありました。

 そしてハードコアとソウル・ミュージックだって言ってるのに、ギターの人がJudas PriestのペインキラーのTシャツを着ていてもっとわけがわからなくなりました。


・SWORN ENEMY


 SWORN ENEMYは恥ずかしながら名前を聞いたことがなく、ラインナップ発表当初は正直、1番期待していないバンドでした。

 しかし、予習でアルバムをいくつか聴いてみた所、聴けば聴くほどじわじわと岩清水のように「良さ」が心にしみていくのを感じました。

 なんというか、オールドスクールというよりは、ベーシックな「ハードコアみ」みたいなものを大切にしているバンドで、それをアティチュードとしても伝統文化の継承みたいに、次の世代に繋げていこうとしている、そういう大きな文化として"ハードコア"を捉えている所がいいです。

 キャリアが長いバンドなので、初期の2000年代の作品は当時の本当に硬派なアメハーという感じがしますし、そこから演奏力をガシガシ上げていって、しかしメタルに足を突っ込むことなく、あくまでハードコアの範囲で、ヘヴィーさというより、「硬派さ」を質感的に追求していってる風に聴こえる最新作は、何回も聴いていると段々背筋が伸びるような、気の抜けてなさに心打たれる名盤でした。

 ライブ順はHOLY MOUNTAIN会場のトリ前で、META VALLEY会場のZULUのライブ終了後に急いで移動したら、もうすでに演奏は始まっていましたが、何故かさっきライブを終えたばかりのZULUのJudas PriestのTシャツを着たギターの人が最前で踊っていて笑いました。

 SWORN ENEMYの演奏はまさにマッチョな本意気都市型アメハーという感じの、とても筋細胞の多さを感じるライブで、演奏の上手さがオラオラ感に拍車をかけていました。メンバーの放つベテラン感も圧倒的で、スターでした。もし眼鏡が崩壊していなかったら物販のグッズは他のバンドではなく、このバンドのものだけを買えるだけ買って帰っていた気がします。

 聴いていてどの曲も本当にカッコ良かったです。




・CRYSTAL LAKE

 CRYSTAL LAKEはHOLY MOUNTAIN会場のSWORN ENEMY終わりからの移動になったため、META VALLEY会場到着時は既にライブが始まっていました。

 会場は満員近く、滑り込める場所が入口すぐの柱横のわずかなスペースしかなかったため、ライブの大半をステージ左端のギター?の人の半身を見て過ごしました。

 CRYSTAL LAKEは昔から名前をよく聞くバンドで、音源は聴いたことがなかったですが、こんなちゃんとした?海外ウケしそうなカッコ良いバンドがいるんだと嬉しい驚きでした。メンバーにも外国の人がいるみたいでした。

 MCではフェス開催に関する思いなどを語られていて、本当にこういうイベントを大阪という文化の僻地で開催していただいたことに感謝しかありません。

・SUFFOCATION

 トリのSUFFOCATIONはセッティングに時間がかかり、その間にCRYSTAL LAKE目当てだった人達がちょっと帰ってしまったのか、最前に謎の空間が生まれ、図らずも正面あたりで観ることができました。

 SUFFOCATIONは1番楽しみにしていたバンドではあるものの、また、アルバムも全部聴いてはいるものの、個人的にそのちょっと古風というか、オールドスクールなカッチリした雰囲気が性に合わず、音源を聴く限りでは、「ベテランだから偉大な存在であることはわかるけど、毎日聴きたいとは思えないバンド」という感じでした。(でも1回もライブ観たことないからライブは観たいみたいな温度感)

 しかし、演奏が始まってすぐにその認識は覆されました。

 アルバムだと単調で隙間多めに聴こえた曲は、ライブだとどれも「ムキムキ」でした。

 一つのフレーズでも、アルバムだと「ド・ド・ド・ド」と隙間があるように聴こえた演奏は、生の大爆音で聴くと、「ド」の1音1音が重すぎて、それをひとつ受け止めるだけでも生体的に時間がかかり、その間に次々音が怒涛のように重なって押し寄せてくるので、1本のぶっとい斧で後頭部を延々ぶっ叩かれてるみたいに、脳がずっと爆音で埋め尽くされトランス状態になりました。

 そして何より凄かったのが1時間ほどの演奏で、その音の重なりのテンションが途切れる瞬間が無かったことです。

 ブルータル・デスメタルのリズムは時々ダンス・ミュージックに聴こえる瞬間がありますが、SUFFOCATIONのライブはまさにそんな感じで、一部が極端に尖り過ぎたハウスバンドの演奏で、特殊な音楽趣味を持つ人々が一斉に踊り明かしているような、そんな不思議な空気感がありました。

 1キロくらいある赤身のステーキを、「美味い美味い」と感じながら延々喰っているような、そして段々喰うのがしんどくなってくるけど、ステーキが無くなるのもいやだみたいな、そんな幸福な疲労感のあるライブでした。

 なお客席は荒れ狂っており、ケンカしていたバカ?が名指しで退場をくらった他、僕も3発くらい裏拳を顔面に喰らい、サークルピットに入って後ろから押されてこけたりしました。ただこの点は眼鏡が崩壊し、守るものがなかったのでガンガンいけました。

 SUFFOCATIONは当初22:20くらいからミーグリをやる予定だったのですが、演奏は22:40くらいになっても続いていたような気がします。(さすがにアンコールはなかったです)

 とにかく圧倒的なライブでした。


<総評>


 早々に眼鏡が崩壊し、グッズを何も買えなかったことは残念ですが、ライブはすべて良かったです。

 すでに何回か書いていますが、このフェスが大阪で開催された事には感謝しかありません。

 良かった点はすでに上に全部書きましたが、このフェスが来年も開催されると信じて、1年目に参加した人間として、「ここがこうだったらもっとよかったな。。」と思った点は以下の3点でした。あえてキモクレーマー的に書いてみます。

  1. 事前にタイムテーブルの発表がなかった
    ライブ前、Twitter(現X)上で、「タイムテーブルの発表まだ?」という声がチラホラ上がっていました。これは当日の入場時間を変な時間に集中させたくないとか、いろんな狙いあってのことだと思いますが、ライブ当日まではSUFFOCATIONが台湾に入国できなかったり、色々トラブルがあって、ネガティブな想像を膨らませもしていたと思うので、ちょっと何かアナウンスがあっても(不安解消のためには)良かったかなと思いました。
    特に今回は若年層無料などの施策をしていて、慣れていない人が来ることも想定していたはずなので、「各ステージのタイムテーブルはその辺の柱とか壁にペロッと貼る予定です。」的なアナウンスがあっても良かったと思いました。

  2. 謎のDJ
    HOLY MOUNTAIN会場の前でずっとDJの方が曲をプレイされていたのですが、ハードコアのイベントだって言ってんのに「チーム友達」とかをかけていて、せっかく若者のチケット代安くして、若者の教育ちゃんとやりますみたいなイベントしてるのに、「チーム友達」って何?と違和感を感じました。
    ここは出演バンドの音源をかけるなり、MADBALLとかMDCとか歴史的なバンドをかけるなりして「教育の場」であっても良かったのではないかと思いました。
    逆に、ここのDJもちゃんとハードコアのDJの人を呼べば、ライブハウスのこれ系のDJイベントにも人が増えるのでは?と思いましたし、チラシにも名前載せれますし、どんなDJの人がいるかわかってれば時間潰しにもなって凄く良いと思うので、「DJ枠」は可能性を秘めていると思いました。

  3. VIPチケットのメリットがそこまでなさそうだった
    今回のライブは、VIPチケットを買った人向けに各会場に「専用ゾーンを設ける」という施策があったのですが、実際行ってみると各会場の最後尾にベルトパーテーションで区切られた何とも言えないスペースがあるだけで、機能していないように感じました。
    「ミーグリ」の時点でVIPみたいなものですし、そもそも狭い会場ですから、ここは他のフェスをまねてわざわざVIPとしなくてよかったと思います。優先入場とミーグリで差額は満たせていると思います。


 個人的に後悔しているのは眼鏡をかけていった事です。

 これまでライブで眼鏡が粉砕されることはなかったので高をくくっていました。
 これからはライブ行く時はコンタクトにするとか色々やり方を考えたいと思います。

 皆さんも飛んでくる白人巨漢外人と眼鏡に気を付けて、良いライブ鑑賞生活をお送りください。


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