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詩ことばの森(221)「無人駅」

無人駅

なげいているのは
花ではなかったのです
無人駅のそとは
小さな鳥居
そして 森です
蝉しぐれが耳をつんざく
無風の白昼夢に
うなされているみたい

なげいているのは
花ではないのでしょう
高原の駅には
だあれもいない
古いさびた看板
歓迎 と書かれていた
列車は走りだします
コオニユリが一輪
森を灯しているみたい

(森雪拾)


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