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詩ことばの森(240)「ふるさとの山」

ふるさとの山

ふるさとの山を眺めて
変わらぬ山容に
懐かしさを感じ
いくつもの人々の
姿を思い浮かべる

すべては変わりゆくもの
わたしも友も   まして暮らしも
十年ひと昔   さらに二十年三十年と
知る人の誰もいない町を歩いている

いったい誰が   空白のような月日の穴を
埋めることができるのか
僕は一人故郷の駅を降りて
ふるさとの山を臨んでいる
小さく愚かな僕を
ふるさとの山だけが迎えてくれるのだ

(森雪拾)

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