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詩ことばの森(295)「ひとり旅」

ひとり旅

若い頃から
一人旅が好きだった

べつに孤独を
好んでいたわけでもないが
集団は苦手だった

ローカル線に乗って
誰も降りないような駅に
一人で訪れたものだ

何があるというわけでもなく
いうなれば
なんにもないような場所を

べつに孤独を
好んでいたわけでもないが
誰が待っているわけでもない

ローカル線の静かな駅は
人影さえも見えなかったが
僕は今日も   降りてしまったのだ

(森雪拾)

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