詩ことばの森(190)「昔語り」
昔語り
それは はっきりとはしない
雲のような白いものに包まれて
家々のかたちが
すっかり隠れてしまうほどであった
浮き立つものは
情念と恋
はかなく聡明な 少女の昔語り
ことばの一つひとつが
淡い雪の結晶となって
繊細な形象を生み出しては
やがて 消えてゆく
(森雪拾)
昔語り
それは はっきりとはしない
雲のような白いものに包まれて
家々のかたちが
すっかり隠れてしまうほどであった
浮き立つものは
情念と恋
はかなく聡明な 少女の昔語り
ことばの一つひとつが
淡い雪の結晶となって
繊細な形象を生み出しては
やがて 消えてゆく
(森雪拾)