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詩ことばの森(284)「木の声をきく」

木の声をきく

森を歩いていると
誰かに呼び止められた

辺りにはだれもいない
心の声が聞こえた
というほかはない気がした

それが木の声だ
と思ったのは   なぜだろうか

木は人と似ている
いや人が木に似ているのか

悲しみも苦しみも経てきた
どうしようもない生きざまを
心の奥底に秘めた声のようだ

ことばにならない言葉がある
静寂の中では   それがわかる

おかしな話だが
僕はそう信じているのである

(森雪拾)

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