詩ことばの森(218)「木のうえの鬼」
木のうえの鬼
木のうえには 鬼が棲んでいて
わたしたちの話をきいていたらしい
葉擦れの音が 響いている森を
歩きながら そのことに気がついて
立ちどまると 風が止んだ
とたんに 木は無言になって
わたしたちを見下ろしていた
あのとき わたしたちの言葉は
どこへ消えてしまったのだろう
それらの言葉の姿や行方は
遠く深い森に棲む 鬼だけが知っている
(森雪拾)
木のうえの鬼
木のうえには 鬼が棲んでいて
わたしたちの話をきいていたらしい
葉擦れの音が 響いている森を
歩きながら そのことに気がついて
立ちどまると 風が止んだ
とたんに 木は無言になって
わたしたちを見下ろしていた
あのとき わたしたちの言葉は
どこへ消えてしまったのだろう
それらの言葉の姿や行方は
遠く深い森に棲む 鬼だけが知っている
(森雪拾)