詩ことばの森(266)「冬の到来」
冬の到来
寒い季節がやってくると
夏が懐かしくなった
猛暑が辛くて 早く涼しくなればいいのに
そう思っていたのだが
今では入道雲を思い浮かべたりする
勝手な思いだが
その思いが 過ぎた季節へのあこがれを生み
つまりは抒情なるもの
いわゆる詩がうまれるのだなあ
など理屈を考えたりする
そんな僕の考えなど
吹き飛ばすように木枯らしが吹いて
短い秋の季節から 一気に冬を迎えてしまった
あの赤とんぼはどこに行ってしまったろう
僕はコートの襟を立てて
寒空の下 背中を丸めて歩いている
(森雪拾)