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詩ことばの森(276)「杣道をゆく」

杣道をゆく

ひとりで歩く
山の杣道は
時折 風に木々が音を立てるほかは
とても静かである

孤独の好きな僕でも
冬の日射しのなかを
だれかが歩いて来るのを
待っている気持になる

だれを待つでもなく
だれが待つでもなし
気がつけば山道は
すでに下りはじめていた

遠くで ささやくように
鳥の声がきこえてきた
振り向いた僕の後ろには
一人ぼっちの影だけが佇んでいる

(森雪拾)

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