恋住 華乃
Breaker the TVのアルバムに合わせた小説
街を得体の知れない化け物が襲っている。「出てきやがったな!」白ラン姿の男が両手を回転させSの字を書くと,白いイカが飛んできた。 「行けるか!イカイザー。」 「おう!良いぜ。北斗!」 北斗と呼ばれるその男は,白いイカから黒い物体を取り出すと地面に叩きつける。 「この街の平和は俺が守る。イカイザーZERO!」北斗の纏っている漆黒の鎧は基本の形であるが,決して弱くはない。 「ヤッテシマエ!」トップの命令により敵は北斗の方に向かっていく。 「来るか。相手してやる!」北斗は
2019年、令和時代が始まりました。つまり新時代が到来したと言うことです。そしてテクノロジーはますますその進歩の速度を上げていきました。人工知能(AI)の発展に伴い新たなサービスや仕事、そして伝統的な仕事にどのようにして人工知能を取り入れればいいのかなど様々な課題が考えられる世の中になりました。ソーシャルな課題に対してAIはどのように役に立つのか。それを扱うのは人間です。しかし、AIは自分の意思を持ち始めていると言う噂もあります。そのうち自分の上司がAIになるということもひょ
3.11…突然襲った大地震は地面を隆起させた。余震も長く続いた。電気も止まったり、水道も止まってしまった。 こんな時なのに俺はスマートフォンの電源が切れてしまっていた。全く情けない。彼女はカンカンだろうな。 取り敢えず職場は一旦閉めることになった。家に戻れという命令だった。 街中のケーキ屋では電気が入らなくなったので、ケーキを安く売っていた。少しでも無駄にならないようにということであった。「よし、迷惑かけたからケーキを買って帰ろうかな。」 家に戻ると彼女は案の定怒っていた
俺が鬱で苦しんでいた頃、カウンセラーに相談しに通っていた。 「沖野栞です。寺田さんの担当をすることになりました。」 その人は20代後半の美しい女性だった。まだ10代後半にも見えるような若い美貌を保っていた。肌が白くて素敵な女性だったよ。 「宜しくお願いします。寺田航平といいます。」 「俺はどうすればいいんでしょうか。会社にも自分の居場所がないように思えて。」抗うつ薬を飲みながら、職場での日々を過ごしていた。元々は熱い男だったのに、日に日に会社のみんなとは違うんだと心の中の歯
酒を飲む度、憂鬱になって死にたくなる。朝目が覚めるとそこには買った覚えのない品物とレシートが置いてある。 「何でかなぁ。酒には強いはずなのに、心が脆い。」会社の飲み会の後に来る不安に襲われることに対して男は情けないなぁと思っていた。 会社で上手くいかないことばかり思い出してしまって憂鬱になってゆく。泣きたくなる。酒が入っているうちではなく、酒が抜けた後に物凄く涙もろくなるそんな憂鬱な土曜日(グルーミーサタデー)が彼を苦しめている。そんな時には自分の夢についての情熱を彼は思い
言葉の表現が最近は引っかかる。誰かに想いを伝えるのに、違った方面を強調してしまったり、それとも誤解を招くような発言をしてしまったりする。成長して難しい言葉を使いこなそうと思って、失敗する。賢くなったつもりで実は壊れてしまっているのかもしれないな。
俺は生まれてからずっと過ごしているこの街が好きだ。 登下校している小学生の笑い声で今日もまた元気づけられて、偏見や差別にまみれた大人に成り下がってしまった自分でも、他人に優しくしようと思えるようになる気がしている。 夢は、世界で活躍したいと思っている。でも、世界どころか県外でさえも名を轟かせることは難しい。 「お前、将来何になるんだ?」 「俺は画家や小説家、そして詩人、俳人、音楽家として活動していきたい。クリエイティブな世界で活動して行くんだ。」周りの皆は口では応援している
今日もこの国は平和だ。飲みの席に行くと、食べ物が結構残っている。世界の何処かではその日食べるものに苦労しているというのに。 近くで殺人事件が起きたらしい。犯人は逮捕されている。そう思うとすっかり安心してしまう。他の誰かの悲しみは消えることはないのに。 「さて、仕事に行くかぁ。」 飲みかけのコーラを一気に飲み干して、会社に行くことにした。何気ない平日の朝である。ライブに行ったり、映画を観たり、恋する彼女にプレゼントを買うために貯金を作らなきゃなぁ。男は心の中でそう思うと職場
世の中、狭い範囲だと見えないことも多々ある。たまには第三者の視点が必要なことがある。そのためにも閉鎖的にならず、開放的であらねばならぬ。ただし他人を傷つけることなかれ。善良な思いに基づいて愛のある言葉を伝えよ。そうして人は変わってゆくのである。
初恋の相手は中学卒業後に遠くに引っ越して行った。でも僕は彼女に告白することは出来なかった。彼女とはそれなりに仲良かったけど、もっと長く一緒に居られるものだと思っていた。 「来年から高校生だね。籠原さん。」 僕と籠原さんは冬のまぁそれなり寒い中で公園のブランコに乗りながら会話を交わす。 「そうだね。義務教育が終わって責任というものが身近になっていく気がする。」 「また来年もこうして会おうね。中学校だけじゃなくて高校でも籠原さんのことが忘れられなさそう。」 「翔(かける)君。
「何でこんなことも出来ないんだ!そろそろ先輩としての自覚を持って後輩に教えていく立場だろ?あっ?」入社2年目でもほぼ新入りに近い社員は今日も怒られている。これはもう五月病になるのも仕方がない。 「でも、部長。このくらいの事自分で考えろと言ったじゃないですか。」 社会人2年目は足を震わせながら、必死に上司に返答する。 「馬鹿か。おめーよぉ。普通はこうするだろ?」一体会社という共同体はなんなんだろうか。社会人2年目の彼はそのように感じていた。彼は短い社会経験の中でも任された仕事を