4月の日曜
4月。
日曜。
休みの日。
前の数日は天気が悪かったのだが、朝から晴れ。
遅い朝食を食べ、いくつかの事務的な連絡など済ませ、届いたばかりのカメラバッグにK-3Ⅲとレンズを数本と財布などを入れ、外に。
写真を撮るということが好きだったはずなのに、数回程度なんちゃって星景を撮りに行くだけになっていたこの数年。
日々に追われて新しいことに目が向かず、口から出るのはため息と愚痴だったこの数年。
最近になってようやく、これまで言葉にならなかった「何か」を多少とも言語化できるようになってきたし、今まで好きだったにもかかわらず覗き込むことのなかったファインダを覗けるようになった。
一脚が欲しい
過去に肩の腱板にダメージを受けたことや、膝にもダメージが有ることから、いくら手ブレ補正があるとはいえどもカメラを構える際の支えがほしい、と、ふと思い、例によって梅田へ。
色々と見て回るも、いまひとつ自分が一脚を使っているイメージが持てないことと、機材の重量を考えるに耐荷重が足りないものが多く。
どのみち片手は支えてるだろうと思うも、30万近くする物を乗せることを考えると踏ん切りがつかない。
逆に耐荷重が十分なものはそこそこに高価である上に、レベリングベースとパノラマ雲台を別で買う運用となるため、こちらは価格面で断念。
ま、そうなるだろうと予想していたけど。
そのままカメラ売り場を一周。
カメラバッグのコーナーで、見知らぬ方から声を掛けられる。
「その色のWANDRD、どこで売ってたんですか?」
「あー。個人輸入ですね。9Lがそもそもどこの店にもなかったので……」
と、隣のショーケースを見たら、9L の在庫あるやんけ…
その方がどうされたかを見届けることなく、そのまま店の外へ
Teavana
孤島の窓のない部屋で働いていた頃からのの友人がいるTeavanaへ。
カウンタ越しに多少とも姿が見れればよいか、と、向かったものの。
ようやく晴れた日曜の昼下り、店の外までの行列となっており、こちらも断念。
そのまま工事中の北ヤードのフェンスに沿って、中津の方向へ。
外周通路はほぼ無人。
制服ではない体型を露わにするタイプのセーラ服の女性と、大仰なカメラを持った方が陽射しの中で撮影をしていた。
写真を撮るにあたって、これまでと違うことをしよう、手慣れた構図手慣れた写真から離れよう、と、考えてはいる。
ただ、私にとってそっちの方面はなさそう。
そのまま先へ
三つ子のビルを通り過ぎると、「その持ち主が集う」という名を冠する塔へと渡る橋。
屋根で寝るどこかの犬が言っていた。
「人はそんなこと考えもしないが橋は夜になると寂しいもんさ。」と。
夜の橋もさることながら。
あちらとこちらをつなぐ橋の周り作られた、昼日中に誰もいないベンチやコミュニティスペースほど寂しいものはないだろう。
そのまま進み、病院を越え、歩道橋へ
梅田に向かう電車の窓から見える病院を越え、歩道橋へ。
そういえばこの歩道橋を歩いて渡るのは概ね20年ぶり。
最後に渡ったのは、ある方に「プリンを食え」と言われた頃。
本来なら休みの日であるにも関わらず呼び出された上に、近くにないコンビニのおにぎりを買ってこいと無体を言われた時以来。
歩道橋を降りて信号を渡ると、口紅を模したビルが見える。
今となってはなんとも無いが、一瞥してさっさと離れる。
そのまま中津の方へ
口紅を背に、道路を渡って中津の方へ。
ここはここで、休日深夜を問わずなる電話に対応していた以前の職にかかわる場所。うっかり何かのはずみですれ違うことなど無いことを祈りつつ、もとは線路のあったあたりへ。
そもそもこのあたりは、DTPで口に糊していた頃、梅田から帰る酔客に耐えれない日や、座って帰りたい日に通っていた場所。思い返されることはというと、ろくでもないことばかり。
どのみち、そこから今日まで連続してるので逃れられるものでもないので、通り過ぎて、光の射す方へ。
パン屋へ
少し先にパン屋があることを思い出し、明日の朝のパンを買いに。
いくつかのハード系パンを買って店を出ると、そこにはドラム缶。
自分が居る場所や時代がわからなくなる感覚。
パンの入った袋をぶら下げ、元はトンネルだった場所を超える。
DTP作業に疲れ、煙草と空腹でボロボロのまま通った場所は既になく。線路も撤去され鋼板が敷かれたこの場所。
数年後には不自然に構成された区画として地図になり、そして、かつては線路が有ったことも忘れ去られるだろう。ある種の暗渠だ。
駅前
そのまま駅前まで。
先程、線路跡越しに見た阪急の高架となっている箇所では、かつて自分が幾度も経験したロケの撮影隊より少人数で、ひとりの女の子を囲んで商業っぽい写真撮影してた。
自分がK-3Ⅲを持って歩いていた目的のひとつは、この高架、この壁周りを撮ることだったので、少し待ってはみたもののなかなか終わる気配もなく。
加えて、さして周りを気にする様子もなく。
仕事で撮ってるなら仕方あるまい、と、無駄に刺激もしたくないのでK-3Ⅲを仕舞う。
人通りは少ないとはいえ、いくらかの人が撮影を気にしつつ、通る。
それを目の端で見つつ、そもそも撮影のあり方について色々思うところはあるが。
既に現役ですら無いので口にすることなく。
ただ、人が通る際に聞こえるような舌打ちは無いほうがよろしかろう。
駅下
そのまま駅下。
バリアフリーとは程遠く、何もかもが時代に取り残されたような場所。
DTPで疲弊したときは、この暗さが何よりもありがたかった。
階段を上がり、帰路
急な階段を上がり、改札を終え、ホームへ。
この駅を使うときは、絶対に酔っていてはいけないと20年近く前に思った頃から変わらぬ風情。
数本の電車が行き交ったが、そのたびにアナウンスされる「黄色い点字ブロックの内側に」というセリフ。ホームドアの設置が急がれる状況だが、この平均台のような駅、どうするんだろう。
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