生命と非生命の間と、脈の有無と。
その日は早朝からナビ任せで運転をしていて、地理に皆目明るくない私はというと、目的地からかけ離れてるような気がしてならないまま京都を超え、滋賀県内を走っていた。
目的地は、津。三重県立美術館。
テオ・ヤンセン展。
運転がさして好きではなく、特に知らない道を走ることが酷く苦手なこともあって気疲れしてしまうことや、ナビ任せを宣言しているにも関わらず、経路の正誤について口を挟まれて気分を変えたかったこと、緊張と暑さで胸に負担がかからぬようにと、休み休み移動。
それにしてもその日は9月初旬好天でまだ暑く、サービスエリアで車から出ると汗がふきだす。
目的地からかけ離れた経路だと思いこんでいたが、自宅との位置関係からすると京都滋賀を経由するのが最速の経路であったらしく、開館から程なく到着。
いそいそと中へ。
撮影がすべて許可されていたこともあり色々と撮ってはみたものの、どれもこれも同じようなもの・同じような構図で撮っており、これなら図録で良かったのでは、と。
とはいえ、現地に赴いた以上、気になった箇所を撮りたいのが心情で、写真の技量と心情は一致しないだけにもどかしく。
順路をめぐり、目に止まった一体。
これ、学研で作ったやつだ。
展示の内いくつかはまだ命があり、スタッフ監視の下で実際に動いていて、なかでも、小さめの一体については僅かな距離ではあるが帯同して歩くことができた。
ビーストの身体を構成する部位の整理を示した展示が、ある意味で文字列であるかのように見え、興味深い。
なんとなく、パイオニア探査機の金属板とインカのキープを思い出すなど。
概ねすべて見終わり、最後の展示室には大型の一体のみ。
かなりの量のペットボトルが連なる1体。
今回の展示の目玉でもあり、この1体が動く姿を見に来たと言っても過言ではなく。
定刻になるとスタッフが現れ、寝ているそれを起こしてしばらく歩かせる。
おそらくは来館者の殆どが集まった展示室では、準備を進めるに従いざわめきが小さくなり、空気音とともあるき出したときには誰もが息を呑み、そしてどよめきが起きた。
わずかの時間前後に動いたそれを再び寝かしつけ、展示室内の人々は解散。
ほぼ無人の展示室で見知らぬ人が見上げている姿を真横から。
その後、津が実はうなぎの名所ということで、少し遅めの昼に名店と評判のお店で結構立派な御膳をいただいたのだけど、水菓子として4個綴りのブルガリアヨーグルトが1つ盆に乗って出てきた時の違和感については、また別の話。
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