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本当はこわい、ノーギャラの話
現在こちらの募集案内がとある界隈をざわつかせています。
ことの発端は?
最初にこのことを知ったのは1月23日にXに上がったこちらの投稿
ロビーコンサートに「専門的に音楽を修得(音楽大学卒業等に準ずる)し、現在も演奏活動をしている藤沢市内在住、元在住、在勤、在学の方」という条件で募集してノーギャラです、って言っちゃう藤沢市すごいなー
— 糖類の上@お仕事募集中 (@tinouye) January 22, 2025
ほんと芸術家ってバカにされてるよね!https://t.co/ZdK1mNXrEK
この投稿にある通り、こちらのロビーコンサートには出演料が出ません。
![](https://assets.st-note.com/img/1737735913-dIDbA7xy1nq4U9CiNLHztjv3.jpg?width=1200)
「じゃあ市民が好きに演奏すれば良いんじゃない?音楽愛好家は居るだろうし、場所を提供してあげれば喜んで演奏すると思うよ?」
だがそうは問屋が卸さない。。。
そもそもどんな募集なのか
まず演奏はクラシック音楽に限定されています。
そして
![](https://assets.st-note.com/img/1737735728-MauVP2srT3efhU1E9inAZ8Il.jpg?width=1200)
平たく言うと音楽(芸術)系大学卒以上で、今も活動している人。。。
(元在住というところに若干の弱気を感じる)
色々と整理して冷静に分析してみよう。
公益財団法人とは
まず主催は藤沢市みらい創造財団という法人であり、法人の種類は公益財団法人である。ここでこの公益財団法人というものがどの様な法人であるかということを説明しておく。
公益財団法人(略称:公財)とは、一定の財産を基に設立され、その財産を用いて公益性の高い活動をおこなう民間の非営利法人のことです。利益を目的とせず、学術や芸術、技術、慈善活動など人々のためになる活動をおこないます。
そう、彼らはもとより利益を目的としていない団体だ。
だったら彼らが自分で演奏すれば良いのである。
それなら誰も文句は言わない。
ただ今回の件、企画したのは彼らだが演奏はアウトソーシングしている。
だったらそこに金銭の流れが生まれるのは当然のことである。
もし彼らが「公益財団法人の仕事で使用するからパソコンを無料でよこせ」と言って通用するか?
「公益財団法人で使用するからオフィスの賃貸料は払わない」と言って認められるか?
いやいや、そんな暴論常識的に考えてナシでしょ。
ではどうするべきか?
今回の話題には多くのクラシック関係者が様々なプラットフォームで意見をだしている。
まず件の投稿者の様に「芸術家が馬鹿にされている」という主張は明確でわかりやすく、多くの人の賛同を得ている。
別の意見として「条件を読んで、それでもやりたいという人がやればいい」というのもあった。
僕は、こういったオープンスペースなら何か宣伝したい人は宣伝の場として利用するのが、この条件下では最も利用価値が高いのではないかと思う。
出演予定の演奏会の宣伝とか、音楽教室の宣伝とか。。。
(あ、僕も声楽教室やってます→とある声楽教室よろしくお願いします!)
演奏の様子を録画して映像コンテンツにすることも利用価値は高いと思います。なんせ映像コンテンツって「絵」が肝ですからね。
芹澤の思う真の問題点
さて、ここまでの意見は今回のノーギャラ問題の表層的な面しか見れていないものだと思う。(上に書いた自分の意見含め)
僕が今回の件で一番危惧しているのは、こういった募集案内が誰にでも閲覧可能な状態で公開されていることで、クラシック音楽が「お金を払わずに聴けるものだ」という認識が世間に広がってしまうことである。
多くの人は、いったん無料で手に入ると思ったものにわざわざお金を払ってもう一度手に入れようとは思いません。
そうなるとクラシック音楽はどんどん買い叩かれていきます。
資本主義社会において、金額はそのものの価値を表します。
つまり我々クラシック音楽演奏家には価値がないということになります。
価値が無いと世間に認知されたらその存在は認めれらなくなり、遠からず淘汰されてしまいます。
あなたがお菓子作りが得意で、友達に「美味しい!」と評判になったからといって、「じゃぁ今度から材料費100円ちょうだい!」と言ったら、友達は次も同じ様に受け取ってくれるでしょうか?
資本主義において経済活動は血流であり金銭は血液です。
その流れが滞ればたちまち悪くなり、腐り落ちてしまいます。
無料やタダ同然というものが後々どんな結果を招くのか、企画した財団にはもう一度よく考えていただきたいと思います。
補筆(1/25)
「無料やタダ同然」はギャランティのこと。
ギャランティが支払われていれば「本来有料のものを今回は財団が払ってくれている」→「クラシック音楽は無料ではない」という認識が広く一般に伝わると思う。
では今回の件にはどう対応するべき?
既に今回の件について財団に質問を出した方もいらっしゃる様なので、無償から有償に変わってくれることを望みますが、全く聞く耳持たず沈黙を押し通す姿勢を貫くのならば、こちらはオーディションに参加しなければ良いと思います。
我々からの意思表示です。
今回の募集内容をChat SERIに突っ込んで要約させれば「こんな募集でも人が集まるんだろ?クラシック音楽家は本当に仕事が無いんだな!」と言われている様なものです。
一般的なバイト募集だって、人が集まらなければ条件を変えるんだし、こちらが応募しなければあちらも条件を改めるのではないでしょうか。(知らんけど)
最後にね、この募集内容読んだ時からずっと引っ掛かってることを言わせてもらうよ。
なんで歌は(ピアノも)暗譜が前提なん?
歌は音程、歌詞、リズムの3つを覚えないといけないんやで!
そして歌詞には発音もあるんやで。
歌の地位向上を強く求める!