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路線バスの魅力
先日、タッピーは新幹線に乗った。約1年ぶりだったが、感染者数も落ち着いてきたためか、お客さんがとても多く驚いた。
新幹線は1964年に東海道新幹線が開業したのが始まりだ。登場以来、常にスピードや静音性のために開発が進められてきた。音も静かで揺れないので乗り心地がよい。それでいて200キロ以上のスピードを出しているのだから、まさに日本の技術の粋を集めた乗り物だ。目的地まであっという間に到着する。
一方の路線バスは1903年に京都で登場した。誕生から118年経つ歴史のある乗り物だ。スタジオジブリの映画「となりのトトロ」でも路線バスは登場する。(ネコバスのことではないw)この「となりのトトロ」の時代設定は昭和28年(1953年)で、まだテレビが登場する前の時代だそうだ。今まで多くの人々の生活の足として長年活躍してきた。
このように、利用目的も車体の装備もまったく異なる新幹線と路線バスだが、タッピーは無謀にもこの二つの乗り物について、速度、輸送量、運賃の3番勝負をしてみた。
対決1 速度
新幹線は大方200キロ以上のスピードを出す。日本で一番早い新幹線は東北・秋田新幹線で最高時速320キロで運転されている。
一方の路線バスは制限速度・法定速度以下での走行が基本だ。一般道の法定速度は60キロ以下である。突然の飛び出し等による事態にも対応できるよう、実際は制限速度・法定速度より10キロ~20キロほど低い速度で運転することが多い。もちろん住宅街などの道路が狭い場所では、すぐに止まれる速度、つまり徐行で運転することになる。
よって、スピード対決は文句なしで新幹線の勝利。
対決2 輸送量
日本の代表的な新幹線である東海道新幹線で、一両当たりの輸送人数とバス一台あたりの輸送人数で比較してみたい。
上記記事によると、東海道新幹線は16両編成で、座席数は1319席。
一両あたり
1319(席)÷16(両)=82.4375(人/両)
となる。ただし実際には立って乗車することも可能だ。
上記記事によると新幹線のMAXの乗車率は200%なので、東海道新幹線の一両当たりの最大乗車人数は
82.4375(人)×200(%)=164.875(人)
が限界となる。
しかし新幹線の長さとバスの長さは異なるので、このまま対決してもバスが負けるに決まっている。
新幹線の一両あたりの長さは25メートル。一方路線バスの一台あたりの長さは11メートルほどだ。バスの長さは、新幹線の長さの44%なので、
164.875(人)×44(%)=72.545(人)
となる。一方で路線バス一台分の乗車定員人数は60人~70人ほどだが、実際は車体の長さだけでなく車幅も路線バスの方が小さいことも考慮すると、輸送量は引き分けとしたい。
対決3 運賃
日本の大都市を結ぶ東海道新幹線の「東京~新大阪」区間と、東京都の都営バスにおける、移動距離1キロあたりの運賃で比較してみたい。
東海道新幹線で東京から新大阪までは、のぞみ号の自由席で「13、870円」だ。移動距離はヤフーの乗換案内アプリで検索すると552.6Kmであった。
13、870(円)÷552.6(Km)=25.1(円/Km)
となる。
一方都営バスは均一料金だ。どれだけの距離を走っても210円となっている。そのため移動した距離数に応じて、1キロあたりの料金が変わってくる。
路線バスで5キロ移動した場合
210(円)÷5(Km)=42(円/Km)
路線バスで6キロ移動した場合
210(円)÷6(Km)=35(円/Km)
路線バスで7キロ移動した場合
210(円)÷7(Km)=30(円/Km)
路線バスで8キロ移動した場合
210(円)÷8(Km)=26.25(円/Km)
路線バスで9キロ移動した場合
210(円)÷9(Km)=23.33(円/Km)
路線バスで10キロ移動した場合
210(円)÷10(Km)=21(円/Km)
となる。以上より、移動距離が9キロ未満の場合は新幹線が割安となり、9キロ以上の場合はバスが割安となる。
上記記事の「三大都市圏 移動距離別 交通手段構成比(平日)」を見るとバスで利用する移動距離で最も割合が多いのは「4~4.9Km」であった。つまりバスでの移動距離は5キロ程度の人が多いことになる。5キロ程度だと運賃はバスの方が割高となる。
以上の事から、運賃は新幹線の勝ちとしたい。
◆◇◆◇
3番勝負はバスの2敗1引き分けとなった。
最初にも記載したが、利用目的も車体の装備もまったく異なる新幹線と路線バスのため、そもそも勝負になっていないことはご了承願いたい。
しかしこうして比較してみると、輸送量は新幹線もバスも大きな差がないことや、新幹線は運賃がとても高いイメージがあるが、移動距離1キロあたりの運賃でみると実はそこまで高くないことが分かった。
◆◇◆◇
このままでは、路線バスの立場がないので、あえて路線バスの強みを最後に記載して終わりにしたい。
まず、路線バスの一つ目の強みは、速度であると思う。
路線バスの速度は遅い。しかし、ゆっくりと走るバスならではの良さがあると思う。
朝と夕方の通勤ラッシュ時はあわただしく運行しているが、昼間の運行時はゆったりとした時間が流れる。お客さんも、おじいちゃん、おばあちゃん、そして子供連れのママがメインであり、みんな焦っていないのだ。そのためバス車内の空間も、どこかのんびりした雰囲気となる。バス車内の窓から見える秋晴れの綺麗な景色を見ながらのんびり移動していると、心が落ち着く。
二つ目の強みはお客さんと運転手のコミュニケーションが気軽に出来ることだ。地域の足として運行している路線バスは、顔見知りのお客さんも多く、気軽に会話をすることも多い。
「おはよう」「よろしくお願いします」「ありがとうございました」「今日は暑いですね」「お気をつけて」
なんでもない、何気ない一言。
きっと、このようなコミュニケーションは、バスが誕生した118年前から変わらない風景であると思う。
そして、それは今後100年も変わらない風景であるに違いない。