安否確認システムの活用
総務の私自身が2011年の震災の時に、もっとも活用したのが「一斉配信」機能でした。
5000人の社員に向けた、1日2回の情報発信に利用しました。
5000人のアドレスを知らなくても情報発信できるのは、素晴らしくありがたいことです。
「明日は、計画停電のため午後からの出勤です」
「明日は通常出勤ですが、食堂は営業しないためお弁当を持って出勤してください」
などの連絡ツールとして活用しました。
加えて、同じ情報は非公式でしたがSNSからも発信して、二重の連絡としました。
安否確認システムに登録されていない、派遣社員の方などからは、SNSによる情報発信はありがたかったと、あとから言ってもらえました。
その後、会社のホームページにも社員向け災害掲示板が作られたのですが、なぜかパスワードによって社員限定公開になってしまいました。
特に社外に秘匿性がある情報でもないですし、発信側でも公開内容に気を付けるようにマニュアルでも作れば、パスワードは不要だと思うのですが、リスク管理部門の考えでパスワード運用になりました。
会社の情報は、清掃の方、食堂の方、配送の方など、社員以外の皆さんも必要としているので、いつでも誰でもどこからでも収集できるようにしておくほうが良いはずです。
公式のSNSやホームページ掲載は非常に簡便な伝達ツールになります。なりすましなどを気にする必要はありますが、体裁は気にせず、どんどん情報発信はすべきだと思います。
さて発信ではなく、安否確認で受信した情報は、総務でどのように活用したのかといえば、データを整理したに留まりました。
震災直後の一回目の自動発信の3時間後の返信率は90パーセントで、訓練時の92%とほぼ同様の回答があり、その後の一斉配信の開封率でも89〜91%、一週間続けた発信ののちには95〜97%に向上していきました。
しかし当時、心配になったのは返信がない人や無事ではないという回答の人に、フォローが入っているのかということでした。
総務はシステムを導入したり、手順書やルールは作りますが、5000人の一人ひとりに個別に対応することはできませんので、上司の方々で分担して確認してもらうような仕組みになっていました。
従って、総務の役割としては、上司の方から相談があった場合に個別に対応するというものでしたが、コメントの欄に「東北の実家の親と連絡がつかない」と書かれているのは、どのようにフォローされているのかと本当に心配になりました。
何人かの知り合いに連絡を入れてみたところ、状況を把握する程度でしたが上司のフォローはされていることがわかりました。
年に数回の訓練ですが、やっておいて良かったと思える瞬間もありました。