はじめての総務
私が技術者から総務に社内転身したのが40代半ばです。
それ以前の技術部門では10人前後のグループ(課)メンバーでしたが、年齢的に上から二番目から三番目といったところで、30代や20代の若手を育成する立場でした。
ところが総務では、15名前後いるメンバーの中で40代の私は、なんと下から三番目の若手に入っていたのです。
総務の皆さんがどんな仕事を担当されているのかもわからない時だったので、総務とは年齢も経験も多く積んでいないと務まらないのかと不安にもなりました。
しかし、総務の方々の経歴を聞くと入社した時から総務という方はおらず、製造現場や技術、あるいは他の間接部門出身の方ばかりで、まわりの皆さんからは「慣れればできますよ」と言って支えてもらっていましたので、諸先輩について勉強を重ねることができました。
3カ月、半年と経験するうちに、総務がやっている仕事の幅の広さがわかってきました。
労務、人事、健康管理、労災、防災、建物管理、設備管理、福利厚生、社内活性化、特に施設の運営はたくさんあって、放送、掲示、駐車場、社有車、警備、受付、応接室、会議室など物の管理から予約管理なども含めて日々対応に追われていました。
対外的にもクレーム対応や近隣対応、行政対応などがあって、記録や報告書もしっかり残さなくてはなりません。
研究開発部門で技術者としてながく生きてきた私にとって世界観が違うなと思ったのは、総務は、すべてにおいて"人"を相手にしているところでした。
技術者は製品や科学と向き合って仕事をしていますが、答えを導いてくれるのも製品や科学であり、技術者は〝モノ"との対話が大きかったのだと改めて感じました。
対する総務は、社員、役員、近隣住民、行政の方など、相手によって話し方や対応の仕方を変えて、待った無しで解決の道を探り決断できる必要があります。
またその発言は、総務として、あるいは会社としての発言としてとらえられることも多く、慎重な発言を求められます。
さまざまな場面での経験が重要になってくる、特別な部門であると感じました。