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パーソンズ美術大学留学記シーズン4 Week6 #285

火曜日には雪が積もっていて、滑って転ばないように気をつけながらの登校となりました。自分の記憶が正しければ今シーズン初めての積雪のはず。少しずつ暖かい日が増えつつも、まだまだ寒さが厳しいニューヨークです。

Thesis

今週も引き続きCritical Sharing Sessionです。今週は自分の発表が休みなので、他の人の発表を聞いたのに対してフィードバックをする時間でした。

Seminarの授業も含めて約一ヶ月間フィードバックをし合っていることになるのですが、そこで培われてきたフィードバックを受けるコツをメモがてら書いておきます。

1. どんなフィードバックが必要かを事前に伝える

「観客の一人として率直な感想が欲しい」「同業者として新しいアイデアが欲しい」などと予め伝えておくこともできます。あとは「この部分は作業中・未完成だから気にしないで」などとフィードバックが必要ない箇所を伝える方法もあります。こうした宣言によって必要なフィードバックを集めやすくなります。

2. 相手に悪意はないと言い聞かせる

フィードバックの中には耳が痛いものもあります。「何で分からないんだ?」とムッとすることもあるでしょう。でも、それはきっと「自分の社会的ステータスが脅かされているぞ。あいつは敵だ、言い返せ!」という人間の本能に由来するのだと思っています。フィードバックとは他者の目線を取り入れて自分の思い込みに気づくという高度な知的作業であり、感情的にならないように意識する必要が(少なくとも私の場合は)あります。

3. 全てを採用する必要はない

「こうした方がいいのでは?」とか「○○を参考にすれば?」と言われることもあるでしょう。でも、全てを取り入れなくてもいいのです。あくまでも自分自身のプロジェクトであって、主導権は自分にあることを忘れずに。

4. 何度も聞かれる部分はきっと改善した方がいい

「全てを採用する必要はない」とはいえ、複数人から指摘されることは改善した方がいいでしょうし、複数人から共有される情報があればしっかり目を通した方がいいでしょう。FAQ(よくある質問)への準備にもなります。

5. 感謝を伝える

時間を割いてくれたこと。頭を使ってくれたこと。参考になりそうな情報を教えてくれたこと。嫌われるかもしれないという恐怖を乗り越えてくれたこと。フィードバックをしてくれたことに「ありがとう」と言うのを忘れずに。「今度はあなたの話も聞かせて」と言えば、お互いにフィードバックをし合える関係にもなることでしょう。相手に「フィードバックをした甲斐があったな」と思ってもらえれば、もっと多くのフィードバックをもらえるようになっていきます。


Seminar

今週の授業では、来週に控えた中間発表のリハーサルを行いました。「こんな展示物、ポスター、スライドを使おうと思う」という発表に対して、来週までに何を改善したらいいかについてフィードバックをするという形式でした。以下に個人的な学びを羅列しておきます。

  • "What have you learned?" 自分自身が体験したからこその学びを他の人にも共有することを心掛ける。ネットや本には載っていないような足で稼いだ学びこそが価値を持つ。

  • "You need to believe in your project." 「こんなことをしていて意味があるのだろうか?」と自信を失う時があるかもしれないけれど、それでも信じて続けるしかない。

  • プロジェクトのownership(主導権、決定権)は自分自身にあるのだから、他人のコメントを全て真に受ける必要はなく、取捨選択する権利があることを忘れてはいけない。的外れな質問には「それは私のプロジェクトの対象外です」と答えたっていい。

  • 「Arrogant(横柄)とConfident(自信)は違う」。自分のプロジェクトや作品に自信を持つことが重要だが、横柄になれという意味ではない。情熱や興奮とともにプレゼンできるようになることが理想。

私個人の課題としては、「自分のプロジェクトをどうやって他人と共有すればいいのか?」です。こうしてnoteで記事を書いているように、私は自分の頭の中を文章で表現することを好んでいます。しかし、文章は受け手の注意力と時間を要するため、展示会には不向きです。

どうやって視覚的・体験的に表現できるのかが試されています。文章で(しかも日本語で)表現したいという自分のコンフォートゾーンを飛び出すことで、新たな表現方法を身に付けられるのかもしれません。


まとめ

Transdisciplinary Designでは既存の枠組みを超えることを目指すという性質上、ゼロからテーマを設定しオリジナルの「何か」を生み出していくことになるため、創作論(のようなもの?)を考える機会が多いです。生みの苦しみなんて言うのはおこがましい気もしますが、最終発表の日まで試練の日々が続きそう。まずは来週の中間発表を乗り切ってしまいたい。

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