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絶望マイホーム -エピローグ




幸せとは程遠かった、家づくり期間

で、どんな家が建ったのよ?

家づくり期間は本当に辛かったです。
すごく欲しかった家だけど・・・・・
喧嘩ばかりで夫婦仲はどんどん悪くなるし、
忙しくて、家族の時間は減るし、

夫がずっと怒ってる。
理由を聞くと私のせいだという

自覚なき悪意が一番の罪

なんで家なんて欲しくなっちゃったんだろう。
別に一生賃貸でも良くない?
人口も減ってるから家なんて将来どうせ家なんて余るじゃん?

などと、どんどん弱気になってきました。

そして、なんと言ってもお金です。
「夢のマイホーム」
なんて言葉がありますが、
夢なんかで家は買えません。

「家は買い物」だとほとほと思い知りました。
家が欲しかったら、予算を沢山作っておく、これに限ります。
いい家を作るには、予算があるには越したことはありません。
他もありますが、一番は予算です。
それを実感しました。

悲しいぐらい、金でした。

家を購入するときの大切な教訓

特に注文住宅においては、
どれだけお金に余裕があるか?が重要です。
できることは予算でほぼ決まってくるのです。
悲しいけれどこれが現実なのです。

工事が始まっても、キッチンやドア、床材やスイッチ、サッシなど決めることはどんどんあります。
おまけに「いいな」って思うものは大抵予算アップになるのです。

我が家は自営業なので、とにかく住宅の為のお金の工面が大変でした。
思う額を借入できないので、
足りない額は必死で金策しました。

自営業は、社会的信用が薄いのです。

突きつけられる現実が、
「お前は貧乏人だからこの辺にしておけ!」
といじめられているようで、とても落ち込みました。

「不相応なものを欲しがりすぎるのかな?」
「こんなに私は世の中に信用されていないのか・・・・」
と自己嫌悪の日々。

当たり前に家を建てたり買ったりしている家族が超人に見えてきて、
私の価値なんてゼロだわ…と思う日々でした。

夫が私より注文住宅に真剣だった

そして、
「家は好きにしていいよ」と言っていた夫は、家づくりがいざ始まると、意外と家にこだわるタイプで、
個性的なオーダーをして、間取りや構造のアイデアを考えることになりさらに家づくりは難航しました。

夫とは家のことで毎日のように喧嘩しました。
ほんとうに、家が建ったらそのまま売って離婚かな・・・ぐらいの勢いで。

わたしの家づくり期間は、
「幸せのマイホーム」からはほど遠く、
「なぜ、私は注文住宅にしてしまったのだろう?」と日々悩む日々でした。

わたしは家を建ててた期間、ほぼ毎日泣き暮らしていました。
家を建てるのってこんなに大変だったのかよ!!と思う数年間でした。

家主はそんな状態でしたが、工事はどんどん進んでいきました。

蓋を開けてみると、わたしより夫の方がよっぽどこだわり派で、
上棟後も、間取りや素材などギリギリまで変更をかけていました。

見栄えを良くし、コストを削減するために、
天井の色塗りやら、壁の漆喰塗りやら・・・
あらゆるところをDIYしました。

間取り図の状態だとイメージがつかなかったのか、
家が出来上がってくると、夫は文句を言いながらも楽しそうでした。

そして、家庭が崩壊しそうになりながら(笑)、
たくさんの方にご迷惑をおかけしながら、
我が家は完成しました。

立ててる間、ずっと思っていたのは、
「注文住宅って本当にコスパが悪いな」
ということです。

サクッと家を持つなら建売とかマンションの方が絶対にコスパがいい。
(完成したものを買うだけだから無駄な時間もかかりません。気に入らないところはリフォームなどすればいのです)

でも注文住宅は0から作るので「注文」せねばなりません。
注文するには「オーダーを具体的に」せねばなりません。
そのためには膨大な話し合いやシュミレーション、調査が必要です。
具体的に施行するには追加でお金だってかかります。

欲しいものは待ってくれない

パッとしない人生。
私は、自分の人生をそう思ってきました。

しかし、それは、
自分に妥協して、
そこまで大きなチャレンジをしてこなかった
からかもしれません。

パッとしない人生ですが、
それなりに毎日食べられて、仕事もあって、
お客さまには感謝されています。
努力してないわけではないですが、変化が緩やかすぎて気づかないだけかもしれません。

注文住宅の本質

注文住宅って本当に無駄の塊です。

しかも、苦労したからいい家が建つとも限らない。
住んでからご近所トラブルがあるかもしれない。
資産になるからメンテナンス代もかかる。
税金だってかかる。
いいことばかりではありません。
むしろデメリットの方が多いかもしれません。

引っ越して10ヶ月経ちますが、
「本当に建てて良かったな」と思えています。

夫とわたしの家に対する好みは真反対でしたが、
「たくさんのお客様が遊びに来て欲しい」という願いは一緒でした。
だからそこをベースに家の設計はしました。

その結果、入居時に用意した1000本の割り箸は半年でなくなりました。
ざっくり計算すると、1週間に50人程度お客さんが来ていることになります。

とりあえず、「たくさんの人が遊びに来て欲しい」という夢が叶う家にはなったのかな、と思っています。

散々自分が欲しい生活に向き合いづつけた集大成が、
注文住宅だったのだなぁと思いました。

これは多分、建売では絶対に叶いませんでした。

豪華な家ではありませんが、
こだわりがいっぱいの我が家です。
便利な場所でもありません。
たくさん喧嘩して、お金もかけて、
なにより、「本当に何が欲しいか」に向き合えたこと。

沢山人が来てくれる、
賑やかな家が建てられたこと。

オーダーメイドとは、
世界にたったひとつ自分のために考え抜かれた商品。
だったのだなぁと、住みながら感じております。


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チェカンノ@イラストは上中下さん
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