【ゲーム攻略&創作日記】ゴールデンアワー感想_非実在女子大生、空清水紗織の美少女ゲーム攻略&創作日記Vol.0005
主人公の「石森雄也」は、高校サッカーの全国大会直前に事故に遭い、サッカーが出来ない体に。以降、彼は無為に日々を過ごしていた。
そんな彼には「広瀬夏未」という、気になる女子がいた。何故か彼女とのツーショットがスマホに残っているが、いつどんな風に撮ったかが記憶にない不思議な写真だった。
そして彼は広瀬夏未に良く似た「ユキ」という少女に出会う。
『あなたの恋を応援するわ』と言うユキ。
雄也の恋は成就するのか、そしてユキの目的とは……。
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※以下ネタバレありなので、気にならない方だけご覧くださいませ※
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本作はユキのための物語だ。
ユキ以外のルートは、ユキの話を盛り上げるための伏線と言っても過言ではない。
それぐらい彼女の存在感は大きく、そしてプレイ後の余韻の残り方が凄かった。
ユキ以外の女の子たちは少々可哀そうだが、それを補って余りある作品だと感じたので、感想を書いていく。
▼ストーリー以外の面
南浜よりこ先生の絵が素晴らしかった。特にヒロインたちの背中が美しい。
あと、キャラの私服がお洒落! やっぱり私服が可愛いとテンション上がりますね。
物語の季節が寒い時期なのもあって、可愛い冬服がたくさん拝めるのが良かった。
夏未の私服と、ユキのコートがお気に入り。
服からそのキャラっぽさが伝わってくるゲームは良いゲーム。
音楽や演出、機能面もフルプライスとして問題ないクオリティ。
ムービーには結構力が入っていたんじゃないかな。
そして声優さんの演技も良かった。どのキャラもピッタリだった。
名取すずとユキは、ルートに入る前と後で主人公への接し方が少し変わるので、そこの変化が感じ取れる演技が大変良かったです。
もう少し具体的に書くと、すずは付き合う前はちょっとオドオドしていたけれど、付き合ってからは自分から主人公を優しく誘惑するようになってきて、そこの声のギャップにゾクッとしました。女の子は恋するとこんなに変わるのよって教えられた気がします。
ユキは分かりやすくデレてくれましたね。ユキルートに入るまでは、ほぼツンツンしてるか、あるいは寂しげな演技が多かったので、自分の気持ちに素直になってからの力の抜けた、そして少し甘えた声を聞くと、本当に可愛いなあって頬が緩んでしまう。
すず役のくすはらゆいさんと、ユキ役の歩サラさん、ありがとう……ありがとう……。
▼物語面(ユキ以外)
では物語、ストーリー面の感想をば。
本編の構成的にも、ユキとユキ以外で分けて感想を書くのが適切かなと。
というわけで、まずはユキ以外のルートから。
まりかと瑠璃はとにかく不憫……。
このゴールデンアワーという物語、もともと主人公は夏未のことが好きで、しかもあと一歩で恋人に!っていう展開から始まる。
そういう構成になっている以上、どのルートに進んでも夏未のことが頭に浮かぶのだけれど、更にまりかと瑠璃ルートは、かなり強引に主人公とくっつくので、見方によっては夏未から奪ったようにも見えてしまうのが勿体なかった。
見た目も声優さんも可愛かったので、もう少し別の展開で、普通の恋愛をさせてほしかった。
一方のすずと夏未は、まあまあ順当なラブストーリー。
すずルートにいたっては、主人公もセットで成長していて、一言でいうと「真面目」なルート。
他ルートが恋愛がらみで割とドロドロしていたり、ユキの設定とかが絡んできてシリアスになっていた中、このルートだけは独立していたような、世界観は同じだけれど別作品みたいな、そんな印象でした。でもちゃんと面白かった。あとやっぱりすずちゃん可愛い。
夏未ルートは、ようやく報われたって感情がこみあげてきました。
なにせ、ここまで辿り着くまでに何回も別の女に主人公取られてますからね(言い方)。
物語冒頭の告白一歩手前まで行く、あの展開を別の流れに変えてしまえば、夏未はもちろん、他のキャラももう少し報われる展開になっていたんじゃないかと考えずにはいられないですが……。
まあどのルートにいっても不憫な扱いを受けていた分、彼女自身のルートの幸福感が増したということで。(優等生だった彼女がふしだらになっていく様も際立ちましたし。)
▼物語面(ユキルート)
で、最後に全てを持っていたのがユキでした。
担任の先生が本物の悪魔だったとか、主人公は既に1回死んでるとか、ここまででほぼ語られてこなかったファンタジー要素がぶっこまれてきたのは驚きでしたが、まあ世界観を壊すほどではなかったので問題なし。
実はユキは夏未の双子の姉で、本名は夏希。もともと主人公と付き合っていたという設定だ。交通事故で主人公を失くしてしまい、自らも命を絶とうとしたところを悪魔に引き止められ、自らの存在と引き換えに主人公を生き返らせることに成功。だが、主人公や夏未の記憶からは彼女のことは消えており、夏希自身もしばらくしたら現実世界から消えてしまう。
なので、主人公のことは遠くから見守ろうとしていたが、彼があまりにもプー太郎になってしまったので、他の女の子とくっつけることで立ち直らせようと奮起した……という流れだ。
うーん、健気。そして献身的。自分の命と引き換えに生き返らせた彼氏を立ち直らせるために、他の女の子との恋を応援するって、本当に主人公のことを思ってないとできないし、心が辛くなってくる。そしてユキがここまで主人公のことを思っているということが分かったうえで、他ルートのことを思い出すと、更に胸が苦しくなる。
だからこそ、ユキと主人公が再度付き合うことになってからの流れは非常に良かった。夏未ルート以上の達成感がありましたね。
何度生まれ変わっても選んでもらえるなんて恋人冥利に尽きる。
あと、付き合ってからのユキと主人公の会話が軽快で、読んでいて楽しかった。何度も「バカ」と呟くユキが最高。
1点惜しかったのは、記憶を失う前の最初のHシーンではユキが大事だって言って避妊したのに、再度付き合ってからのHシーンでは普通に中に出してたところかな。
あのときはユキと同じく「だらしないんだから」と思った。
他ルートだと分からずじまいだった伏線も、ユキルートで回収。
老婆を助けることの意味とか、主人公が腑抜けになっていたのはサッカーが出来ないからではなくユキを失ったからとか、夏未との謎のツーショットとか。
突然の悪魔登場を除けば、あとはすんなり受け入れられる展開だったと思う。
本稿の冒頭でも述べた通り、本作はユキのための物語だ。
ユキのルートをクリアした後だと、もう他のルートに行くたびにユキのことを想ってしまってプレイできない。でも、プレイヤーにそう思わせた時点でこのゲームは成功なのだと思う。
物語のラスト、主人公が自らの命と引き換えにユキを生き返らせるという、ユキと真逆のことを行ってエンディングに入る。
そしてユキが音大に受かって半年後、主人公らしき人物からメールが届いてエンド。
果たして三度の奇跡で主人公は生き返ったのか、それともメールが届いただけで終わりなのか。
物語的には生き返らない方が世界観にあっている気がする。
けれど、ユキと主人公があの後も普通の生活を送っているシーンは見てみたい。
ファンディスクとか出ないかな、ないなら自分で書こうかなと思うレベルで、まだ余韻が残っている。
良い作品でした。ありがとうございました。