【雑記】はやみねかおる先生の怪盗クイーン、アニメ化が決定した話_非実在女子大生、空清水紗織の雑記Vol.0018
はやみねかおる先生の作品、「怪盗クイーンはサーカスがお好き」の劇場OVA化が決定した。
ニュースを見た瞬間、色々な思い出がこみあげてきたので、思いつくままに書いていこうと思う。
今でもはっきりと覚えている。私が生まれて初めて読んだ小説は、はやみねかおる先生の「夢水清志郎」シリーズ2作目、「亡霊は夜歩く」だ。
小学校低学年の頃、父親が唐突に買ってくれたのがきっかけだ。「そろそろ本を自分で読んでも良い年だろう」とでも思ったのだろうか。時間があったら読んでごらん、と急に渡された。
別に嫌でもなく、かといってワクワクしていたわけでもなく、渡されたから読んでみた。
面白かった。
一気に赤い夢の住人になった。
本ってこんなに面白いんだ、もっと読みたいと素直に思った。
他のも読みたいと父親に話すと、定期的に買ってくれるようになった。
最初のうちは、引き続き「夢水清志郎」シリーズだった。
「亡霊は夜歩く」の次に、シリーズ1作目の「そして五人がいなくなる」で、その後は刊行順に買ってくれた気がする。なぜ最初が2作目だったのかは全く分からない。ただ、2作目→1作目と読んだことで、2作目で既に出来上がっていた登場人物たちの関係性に、1作目で納得するという不思議な気分を味わったのを覚えている。
「魔女の隠れ里」は、凄く怖かったなあ。怖かったという記憶だけが残っていて、何が怖かったのかは覚えていないから、幼かった私は多分そこまで読み返していないんだと思う。もしくは忘れようとしたのか。本を読んで背中がゾクッとしたのも生まれて初めてだった。(「72時間働けますか?」のフレーズだけはしっかり覚えてる。多分あの記者さん絡みの事件だったんだよね)
生まれて初めてと言えば、本の内容が理解できずに悔しい気分になったのも、「夢水清志郎」シリーズがきっかけだ。「ギヤマン壺の謎」と「徳利長屋の怪」という作品があるのだが、この2作品は大江戸編、つまり現代と同じようなキャラ設定のまま、時代を江戸にした作品だ。この時系列設定が子供の私には受け入れられず、途中で投げ出してしまった。
どれくらい放置したのだろう。何かをきっかけに読み直してみたら、そのときはすんなり設定を受け入れることができた。
「どう、やっぱり面白いでしょ?」って本に言われている気がして、悔しくて、楽しかった。
「あらぶゆ」という言葉が作中に出てきたのも、多分大江戸編だった気がする。この大江戸編で、怪盗クイーンも出てきたんだったよなあ、確か。同一作者の別シリーズとのコラボを味わったのも、「夢水清志郎」シリーズが初めてだ。
で、これがきっかけかそうでないかは定かではないが、怪盗クイーンシリーズも当然のように買ってもらい、読み始めた。小学生の頃、同じく怪盗クイーンシリーズを読んでいたクラスメイトと、「クイーン」「ジョーカー」なんて呼び合っていたのは、痛々しくて良い思い出だ。
クイーン、ジョーカー、RDの丁々発止の会話劇は、読んでいて気持ちよかった。クイーンの師匠が出てきたり、一癖も二癖もある探偵卿が登場したりして、「怪盗クイーンシリーズ」として世界がどんどんと広がっていく高揚感も忘れられない。
もちろん「虹北恭助」シリーズも読んだ。ミステリとしてはもちろん、響子ちゃん視点での甘酸っぱい恋愛要素も好きだった。「都会のトム&ソーヤ」だって読んだ。日常を舞台にしたサバイバル描写に何度も憧れた。
その後は、「夢水清志郎」や「怪盗クイーン」と同じく青い鳥文庫の、パスワードシリーズも読んだ。文庫から背伸びをして、ハリーポッターシリーズも読んだ。(あの分厚さに、多分2回ぐらい挫折した)
そして、気付いたら自分のお金で本が買えるようになり、色んな作家さんの本を読むようになっていた。
あの日、たまたま父親が「亡霊は夜歩く」を買ってくれたから。
そして「夢水清志郎シリーズ」にハマったから。
この読書体験があったからこそ、今でも本が好きだし、ミステリが好きなんだと確信している。
はやみねかおる先生、赤い夢に誘ってくれてありがとうございました。
劇場OVA、楽しみにしています。