S外不分岐最大拡大のv\notin Sにおける完備化はKの最大不分岐拡大
Sを代数体 ( K ) の素点(評価環や付値)からなる集合とし、( K_S ) を ( S ) の外で不分岐な最大のガロア拡大とします。ここで、( v \notin S ) を ( K ) の素点とします。このとき、( K_S ) の ( v ) における完備化がなぜ ( K_v ) の最大不分岐拡大 ( K_v^{\mathrm{nr}} ) になるのかを詳しく説明します。
1. 素点の延長と完備化の関係:
まず、( K_S ) 上で ( v ) に延長する素点を ( w ) とします。完備化の操作は、体の拡大と素点の延長に対して可換であるため、( K_S ) の ( w ) における完備化 ( (K_S)_w ) は、( K_v ) のある拡大になっています。
2. ( K_S/K ) が ( v ) で不分岐であること:
( K_S ) は ( S ) の外で不分岐な最大拡大なので、( v \notin S ) の場合、( K_S/K ) は ( v ) で不分岐です。つまり、局所的な視点で見ると、( K_v ) から ( (K_S)_w ) への拡大は不分岐拡大になります。
3. 最大不分岐拡大の性質:
( K_v ) の最大不分岐拡大 ( K_v^{\mathrm{nr}} ) は、( K_v ) のすべての有限次不分岐拡大を包含する無限次のガロア拡大です。この拡大は、完備離散付値体の理論において重要な役割を果たします。
4. ガロア群の対応関係:
グローバルな拡大 ( K_S/K ) のガロア群と、局所的な拡大 ( (K_S)_w/K_v ) のガロア群は、局所化と完備化の操作を通じて密接に関連しています。特に、アルティンの相互法則やチェボタレフの密度定理を考えると、グローバルな不分岐性は局所的な不分岐性に対応します。
5. まとめると:
( K_S ) は ( v ) で不分岐な最大拡大である。
したがって、( K_S ) の ( v ) における完備化 ( (K_S)_w ) は、( K_v ) からの不分岐拡大であり、可能な限り最大のものになる。
つまり、( (K_S)_w = K_v^{\mathrm{nr}} ) である。
結論:
以上の理由から、( K_S ) の ( v ) における完備化は ( K_v ) の最大不分岐拡大 ( K_v^{\mathrm{nr}} ) に一致します。これは、グローバルな不分岐拡大の完備化が局所的な不分岐拡大になるという基本的な事実によるものです。