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読書家たち

朝から座って通勤できる可能性は半々位だ。それでも前より大分ましになった。時差通勤やテレワークが進んでいるからだろう。

今朝は生憎座れなかった。目の前に7人掛けのシートがあり、7人の人が座っている。若い人、年配の人、男性、女性、日本人も外国人もいた。そして、全員スマホを見ていた。「死んでもラッパを離しません」という軍隊の標語を思い出した。今なら「死んでもスマホを離しません」といったところか。電車は五反田に到着し、スマホに集中していた年配の男性が慌てて降りていく。私は空いた席に座り、スマホを取り出した。私も死ぬ時、スマホを手に握り締めていることだろう。

昼頃、外出して電車に乗る。あまり混んでいなかったが、やはり7人掛けのシートは埋まっていた。目の前に年齢も性別も国籍もばらばらの人たちが座っている。そして全員、本を読んでいた。ロイヤルストレート読書である。本は紙でないと駄目だとか、スマホは悪だとか言う気は更々無いが、本を読む人の姿は単純に美しい。

やがて制服姿の小学生が、重そうな恐竜の図鑑を抱えて席を立った。私は空いた席に座り、最近中断していた小説を久しぶりに鞄から取り出した。