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美しい、昇華の時間。~トミヅカダイチ「LOOKBACK TO THE FUTUREfrom BOYS END SWING GIRL "LOOK BACK 2010-2020"」下北沢FlowersLoft24.12.2

LOOKBACK TO QUATTRO ONEMAN SERIES 「LOOKBACK TO THE FUTURE
from BOYS END SWING GIRL "LOOK BACK 2010-2020"」
2024.12.2 下北沢FlowersLOFT

下北沢FlowersLOFT

トミヅカダイチ(toybee)

guest.
白澤直人 Ba.



〇第一部
Singer
ナスカ
Morning Sun
Sunny!!
「季節シリーズ」
花に風
サイダー
マフィン
夢をみている

with 白澤直人(Ba.)
風の吹く場所へ
TRANCELL
ロックンロールファンクラブ

〇第二部
「リクエストコーナー」
Stray Sheep
胡蝶の夢
サイレン
Magic
或る恋文
Goodbye My Love
I' II be there (Short)
14(Short)
アンハッピーブレイカー (Short)
Shannon Oh My Love(Short)
スノウドロップ (Short)

with 白澤直人
向日葵の国
クライマー
ラックマン

TO THE FUTURE

enc.
Alright! 〜令和若者讃歌〜


映画になりそうなくらい、ドラマチックで美しい(まあ、とみさんはずっと鼻を噛んでたけども…)ワンマンでした。天使がふわりと降り立った時間だ…と思いました。

トミヅカダイチ ソロワンマン、"LOOK BACK 2010-2020" BOYS END SWING GIRL編。2024.12.2、下北沢FlowersLOFTにて。
この日を皮切りに、12月中盤まで、下北沢・札幌・名古屋・大阪・福岡・下北沢と6箇所を巡るソロワンマンツアー。
Youtubeの「とみといびーチャンネル」登録者数30000人達成の折に、これからみんなに逢いに行くから!と約束して、何処に来てほしいかガチでリサーチして決めた6か所。
そのうち、初日と千穐楽の東京は「過去を振り返る」"LOOK BACK 2010-2020"編と「未来に向かう」"TO THE FUTURE 2021-2024"編というスペシャルなスタイル。

「こんばんは、BOYS END SWING GIRLの冨塚大地です」

そう挨拶して歌い始めた彼の姿にBESGのファンの皆さんは泣かずにはいられなかったと思うし、その頃を知らぬ私でもハッとしたし、後にゲストで現れた白澤さんがやはりためらうことなく「BOYS END SWING GIRLの白澤直人です」と口にした時も、胸にじわっと染み入るような歓びがありました。

そういう風に、過去を見つめられるようになったんだな、と、さほど年数の長くないファンの私でも感じられました。長く応援してきた方はほんとうに感慨深い夜だったのではないかと思います。

ライブはショートバージョンも含めつつ全27曲。
「物販も買って欲しいけど、それ以上に時間いっぱい歌いたい」とうずうずしていたとみさん。「俺は歌うから終電ある人は先に帰っていいよ」にはみんな大笑いだったけれど、結局、後物販なんてまったくできないくらいギリギリまで歌い、そして、みんなと話したい、と出口で全員を見送りました。

この日のライブは事前に死ぬほど悩んでセットリストを決めてきたそうで、それも、どのタイミングでBESGを知った人も(もちろんtoybeeのファンも含めて)どんな人でも思い入れを持って聴けるように選んできたそうで、古くからのファンはたびたび客席で歓喜の声をあげたり涙したりしていたし、新しいファンでもこの1年ほどの歌講演やとみさんのソロで聴いたことのある曲に「あっ」となっただろうし、とみさんの願いどおりだったのではないでしょうか。

終わったときには私もボロボロに泣いていて、「なんだほんとこのシンガー…すごいよ…泣いた…泣かされた…」と思わずポストしたほどでした。とみさんのライブでここまで泣いたの、初かもしれません。

彼とは世代がかなり違うのもあって(ふた周り上です)、しんどい時に歌詞に励まされたり、グッと来たりはもちろんありつつも、その奥にある悔しさだったりガッツだったりは今の、彼らの年代を通り過ぎた世代としてはジャストマッチな感覚というわけではなく、泣いたとしても涙するとみさんへの共感で…という感じでしたが、この日は違いました。

歌の力、歌詞の力、すべてひっくるめて…という感じで涙が止められなかったのです。 

「ラックマン」からの「TO THE FUTURE」で完全に涙腺が崩壊しました。「ラックマン」は実は一部のあとの休憩でとみさんがリクエストを募ったときにあげていたのもあって(あの歌詞、刺さり過ぎて辛いんだけど、でも、好きなんです)、この展開は私にはほんとにヤバかったです。泣くしかない。

「TO THE FUTURE」という曲の意味を、この日、本当の意味で体感できたんだと思いました。

すべてを受け入れて、前へ。

BOYS END SWING GIRLの頃から今も追っかけている人も。
解散を機に離れてしまった人も。
toybeeで出会った人も。

みんな、それぞれの「トミヅカダイチとの歴史」を噛み締めて、思い出して幸せになれたんじゃないかと思いました。
とみさんがボロボロ涙をこぼしながらそれでも振り絞って歌う姿の周りをキラキラ明るい光が舞うようでした。その光がみんなの心をひとつにして高く引っ張っていくようでした。

ここからみんなで同じスタートラインに立ち直して、toybeeの大きくなるところを追いかけていく、その始まりの日。

いい時間をありがとう、とみさん。
今、出逢えて良かった。そう思います。
離れちゃってた人も戻って来てくれたらいいな、と心底願います。

正直、2部はラストに脳味噌をぐしゃぐしゃにされたので、記憶はボロボロでした(笑) あとでツイキャス配信してくれて助かりました。

BESGは私は履修率が低いのですが(toybeeのサウンドの方が好きで、サブスクのみで円盤までは手を出せてない…ラストライブ「スワンソング」のDVDも去年の年末にやっと買いました。ちなみにまだ買えるのでまだのかたはぜひ)、それでもこの日歌ってくれた曲の多くは知っていて、考えたらツイキャスでの「歌講演」でやってくれたなーとか、ソロ弾き語りで何度か聴いたなーとか、なんだかんだこの2年で身体の中にBESGが染み込んでたんだなぁという発見もありました。

でもあの、正直な気持ちを言うと、10年前のサウンドだと私は多分、ハマってないと思う。今のとみさんだから、toybeeだから好きなんだな、というのも改めて感じたことでもありました。


この日のライブについては配信もあったし、ごちゃごちゃ細かいレポとかいらんよな、と思いつつ、記憶だけに留めておくのも難しいので、ポツポツと感じたことなど控えておきます。

・「いつもボーイズのときは鼻をかんでた」
調子が悪かったわけではなさそうなのに、ほんとにずーっとティッシュ置いて鼻を噛んでて、足りなくなって見に来ていた隼さんが途中でポンと投げてくれたくらいでした。でね、面白いことに12/17のtoybee編では一度も鼻は噛まなかったんですよ。なにこれ、ほんとにボーイズモードの時しか出ないの!?(笑)検証したーい。

・飾らない白澤さんとのやりとり
白澤さんはtoybeeファンにどう思われるかと緊張してたらしいです。いやいやそんな(笑)
はじめて、ふたりが実際にステージに立ち、語り、セッションする姿を見たわけですが、ふたりとも飾ることなく、当時を追体験できた気がします。
とみさんが、ちょっと変えてみた、という白澤さんに「当時のまんまやれよー!」ってわーわー言ってたり、逆にとみさんが一小節足りなくてうまく着地できなかったときには白澤さんがボソッとちっちゃく指摘したり、遠慮のなさが楽しかった。嘘はいや、盛るのもいやな白澤さんの辛辣なとみさんへのツッコミも面白かったな。
「ラックマン」は白澤さんが選んだそうで、帰りに御礼を言えたのも嬉しかったです。

・一部は、とみさんが選んできた曲をひとりで前半に、後半3曲は白澤さんと。
最初に「Singer」を歌い出した瞬間から、周りのBESGファンの皆さんが息を呑むのがわかって、ぐっと来ちゃいました。
「季節シリーズ」では、春の「花に風」、夏の「サイダー」、秋の「マフィン」、冬の「夢をみている」。
季節シリーズって言わなきゃよかった、みんなわかっちゃうよね、と笑いつつ、それでも「マフィン」は相当レアだったようで。ラブソングは今は恥ずかしいらしいんですが、間奏で「こんな曲をハタチそこそこで書けて俺って天才じゃない?」って。
循環コードかな…オーブンの中でマフィンが焼き上がるまでくるくる回ってるのを眺めてるみたいで、かわいい曲でした。

・第二部は休憩の間に募ったリクエストから、と言いながら結構、リクエスト入ってないやつも歌ってて、ほんとに歌いたくて仕方ないんだなーという感じでした。「胡蝶の夢」は昨年の歌講演で聴いてから大好きな曲で、これこそほんとに最初からこんなすごい歌詞を書ける冨塚大地の文学性ってすげえと思ってます。

 ・だーっとリクエストを眺めながら、あーだこーだとエピソードなどを。7分以上あるという「ひかり」でしたっけ、聴いてみたかったなー(笑)
初期の音源のみで今は聴けない曲なんかは、さらっとショートバージョンで。「I' II be there 」「14」「アンハッピーブレイカー」あたりかな?
「Shannon Oh My Love」はいい曲なのにリクエスト来なかった!歌いたかったから歌った!ってわーわー言ってましたが、書いてる方いましたよ? あわてんぼうのとみさんでした。

・「俺、昔はヘタクソでさ、あのころ、今みたいに歌えてたらもっと伝えられたと思う」と何度か苦笑い。音源聴いてる限りはそうは思えないんだけど、とみさんとしてはきっと何か、歌い手でないとわからないところで違うんでしょう。
実際、私がtoybeeを見始めたころは1時間くらいのライブで喉が枯れることもあったので、今はワンマンまるっと歌っても平気だし、この日もなんと27曲もあって3時間近くやっても全然平気で、解散から3年間の研鑽を思って感嘆していました。

・アンコールやらないから!って言ってたんですが、「TO THE FUTURE」で泣きすぎてしんみりすぎちゃうと思ったのか、白澤さんを呼び出してふたりでのリハーサルではやることにはなってたらしい「Alright! 〜令和若者讃歌〜」を、みんなで歌いたい!と元気に。白澤さんにもしつこく歌わせていた(笑)
おかげでめちゃくちゃ時間は延びてしまったものの(笑)明るく空気を替えて、笑顔で出口に立っていたとみさんでした。



すべては、未来のために。まずは、渋谷クアトロワンマンを成功させて、そのはるか先には武道館への道が続いていく。

この日のLOOK BACK編は過去を回顧するための企画ではなく、過去を飲み込んで新たに進んでいくための日なんだ、とはっきりとわかるライブでした。

間違えてはいけないのは、トミヅカダイチがやりたいのは大きいハコでやる、というだけのことじゃない、ということ。
この日のMCや後にツアーの千穐楽でもはっきりと彼も語っていたけれど、彼が作りたい未来は、BESGやtoybee、冨塚大地が作った音楽に出逢った人達が、どこにいてもどんな時も、辛い時も嬉しい時も、しばらく離れてしまったとしても、不意に街の中で、テレビやラジオから、スマホの画面の中から、どこかのライブ会場から、どんな場所ででも彼らの音楽を耳にして勇気を得たり励まされたりする未来なんだ、ということ。

世界中のどこででも流れる音楽になること。
そのための道程を今、作っているんだということ。

ハコの大きさにこだわってるわけじゃない、大きなハコを踏み越えないと辿り着けない場所だから、クアトロだ、武道館だと語ってるわけです。

でっかい野望です。果てしない野望です、だって世界中の人々に届けるんだもの。
でもきっとできる。そう信じられる一夜でした。


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うのじ。
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