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広がる世界
「いちばん好きな花」の第4話が最高だった。最高に泣けた。
夜々ちゃんの気持ち、とてもわかる。
恋愛対象として女の子が好きな訳じゃないし、わたしには夜々ちゃんみたいな美貌もないけど、とにかく女の子として生きるのは辛かった。
辛いことが多かった。
歳をとったことによって、その辛さがどんどん軽くなっていく自覚がある。
なんだったんだろう、あの「女の子」であることの呪いは。
見た目の大人しそうな感じと中身の破天荒さもチグハグで、女の子の集団でも男の子の集団でも息がしずらくて、居場所がないなぁと思いながらここまで来てしまった。
いちばん好きな花の4人みたいな、カルテットの4人みたいな、そんな集まりがあった頃、でもそれは一瞬で、わたしの側にずっとある居場所みたいなものは全然見つからない。
だからこれからもきっとそうで、結局自分だけなのだろうな、と思う。
自分とだけ、一生離れられない。
ずっと一緒にいるしかない。
不幸せじゃないけど、つまらない。
つまらないつまらないと言っていてもつまらないから、どうにかこうにか動くしか無いことは分かっていて、ひたすら部屋の掃除をした。
最近よく「怖い」と思っていて、それは自分の奥深くずっとある気持ちなんだろうなと思う。
何が怖くて、どうして怖くて、どうやったら怖く無くなるのか、全然わからない。
80歳のわたしから、今のわたしへというライティングをしたことがあって、その文章を読み返しては、本当に80歳のわたしと繋がった気持ちになる。
早くそこにいきたい。
でも、そこにいって満たされているあなたになれるのか、それが不安な今なのだ。
24歳のわたしにも会いに行ってあげたい。
24歳のわたしからすると、今のわたしは希望だ。
怖い怖いと思いながら、明日も生きていくのかなぁ。
一瞬のきらめきじゃなくて、長く細く続く安心が欲しい。
もうすぐ、年末になる。
*****
11月なのに暑い。信じられないほど暑い。
どのくらい暑いかと言うと、眠る時室温計が26度になっているほど暑い。
その上湿気もすごくて、なんだか不気味というか、とにかく嫌な感じだ。
カラッとした秋がついこの間やっと来てくれたと思ったら、ジメジメとした梅雨…みたいな。雨は降っていないのに湿気を感じるのも不気味だ。わたしは日本に住んでいたはずなのに…
この間息子にアホほど高い自転車を買わされた。わたしの自転車よりうんと高い。
自転車が欲しいと言うのでネットでどんなものがあるのか一緒に見ていたら、一目惚れをしてしまったらしい。
県内にある自転車屋さんでは取り扱っていなさそうで、どこにあるか事前に調べようと思って何軒か電話をして聞いたらどこにもなかった。
もう行って見てから買おうよと息子をなだめて、近所の自転車屋さんに行ったら…まさかの置いてあった。
思わず「あるんかい!」と言ってしまった。
息子の気持ちがわかる。
もう違う自転車じゃダメなのだ。
その自転車でなければ、買う意味がないのだ。
泣く泣く数枚の諭吉を見送った。
「うんめいだよ。息子くんがくるのを待ってくれていたんだよ」
「うんめい」なんて言葉、どこで覚えたんだろう。本当にびっくりする、と思って母に伝えたら、「あなたの口癖だから」とさらりと言われて驚いた。
え?は?言ってないけど?と言うと、
「自覚ないの?よく言ってるよ。物を無くした時とか、息子くんが欲しかったものがなくてぐずってるときとか。そういう運命なんだよ、その方がいいからだよって。今日買わないほうが良かったんだよ、どこか違うお家に行ったのかもしれない、とか。そういう運命だよとかよく言ってるよ」と。
言ってるわ。笑
でも本当にそう思って言っている。
わたしは運がいい自覚があって、最終的に勘とか嗅覚とかその場で受けた印象みたいなことで大きな決断をすることも多くて、でもそれって結局運命のような気がしている。
「悪いこと」に思えることが実はあとで「よかったこと」になったりもするし、逆もまたしかり。
だからあまり目の前のネガティブにとらわれたくないし、息子にもこっちの方が良かったんだと思って前向きにいて欲しいなという気持ちもある。
だってあっちがよかったなーと思い続けるのってもったいないから。
今回の自転車だって、本当に運だった。
あれだけ電話で聞いたお店(大型店舗)にはなかったのに、たまたま近所の小さな自転車屋さんに置いてあって、たまたまそのお店に行って出会えたから。
それから毎週末息子は自転車に乗り、わたしはその横を並走している。
毎週末iPhoneの歩数計が一万歩を超えている。
この間は夜寝ていたら足がつった。
息子のお父さんは自転車で旅をする人だったので、血は争えないなーと息子を見ていて思う。
いつかこの子も言い出しそうだ、自転車でちょっと北海道まで行ってくるね〜とか。
行ってらっしゃい、どこまでも。
世界は君が思うよりもうんと広く美しいところだよ。
そう言ってあげられる、自分でありたい。
心からそう思って、そう言ってあげたい。