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いぬのきもち、ねこのきもち、絶命の瞬間に小林旭を見せられるGのきもち
はっ
ヤツの力はすごい。
わたしは晩御飯を食べていたのに、たしかにその気配を感じた。
目線をお茶碗から壁にかかった時計にうつすとヤツがその横に張り付いていた。
そう、G(ゴキブリ)である。
その名を言うのもみるのも嫌な人はここまでで…。
***************
わたしは一人暮らしを始めてからヤツとの格闘の仕方を学んだ。
まず、黒いキャップの待ち伏せタイプの薬を4月〜5月に家中に設置する。
そして夏には必ずゴキジェット(一番強力な黒いやつ)を家にスタンバイ。
4月〜5月に設置しておけば家の中に巣を作られることはない(と思っている)
でも夏場は外からの侵入がある。
そのポッと出のGにのみゴキジェットを使う。
というので大体乗り切ってきた。
話をもとに戻そう。
Gを見つけたわたしは無言で箸を置き、無言で自室に置いているゴキジェットを取りに行った。
スナイパーのような母のただならぬ空気に息子は驚き、「かぁか?なにしてるの?かぁか?」と不安げにしていた。
ゴキジェットを手にしたわたしはヤツを目がけてシューーーーーーーっとふる。
それでもヤツは天井をつたい、2メートルほど歩いたところで力尽きて床に落ちた。
床に落ちたヤツにさらに追加でシューーーーーーーっとする。
よし。
と思い後ろを振り向くと、なぜか息子が小林旭のCD(父のもの)を手に持ってこちらを見ている。
「何してるの?」と聞くと、
「ゴキブリさんに源ちゃん(わたしの大好きな星野源さんのこと!)を見せてあげてるの」と言う。
まずそれは源ちゃんじゃないし、今にも絶命しそうなGに CDのジャケットを見せてあげるという行為が面白すぎる…!
そしてゴキブリさんという言い方…
可愛い優しい!
「それ源ちゃんじゃないよ、小林旭だよ」
「えー、そうなんだー」
………。
***************
ということがあった2週間後。
わたしはすっかりGのことなど忘れ、息子を迎えに保育園に行った。
この頃お迎えの時にニューブロックで作った作品を息子が見せてくれる。
それはパウパトロールの基地(パウステーション)だったり、じゃがくんのお家(じゃがくんは夜寝る時わたしが部屋を暗くしてから息子に話す謎の物語の主人公。じゃがいも。いもくんはおとうと)だったりするのだけど、この日はなんとゴキジェットだった…!
見てみてと持ってくる息子に、
「わあ!それなあに?」
と聞くと
「ゴキジェット!」と元気に返事をされた。
「かぁかのお洋服にゴキブリさんいるよ!シュー!」
…?!?!?!?!
と慌てたけれどただのゴキジェットごっこだった。
ゴキジェットごっこってなんだ…!
先生も爆笑していた。
「息子くん面白いですよね〜!なんか少しズレているというか。それがとってもいいところですよね!」
と、(たぶん)褒めていただいた。
息子のGごっこブームが早く去ることを願う…!
だって、あ、ゴキブリだ!って息子が言うたびにどきぃ!っとするんだもん…。