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守護霊とのつながり方⑦ 靈を高く上げる

守護霊とは何か。

それはイエを守らんとする霊的エネルギーであり、またウヂを護る大いなる法則のようなものとしてわれわれの霊感を通して認識される。

ではそうした守護霊を、神と呼ばれる存在まで高く上げるにはどうすればいいか?

そのヒントは古墳にある。

古墳時代、正確には分かっていないが大体3世紀〜4世紀ごろ、ヤマト朝廷を開いた御肇国天皇(はつくにしらすすめらみこと)である第10代 崇神天皇は、その漢風諡号(おくりな)の通り、神を崇める知識と技術を持った強力なリーダーだった。

彼は自身の智と徳、つまり人間が本来持つ「光」の届く範囲を弘げたいと思った。

とはいえ当時はSNSも活版印刷も無い、それどころか言語すら氏族ごとにバラバラであった時代である。
手っ取り早くすべての民草を遍く照らすために彼は深く考え、教典でも対話でもなく、自らの統治領域を拡げることにした。

初代神武天皇から数えて10代目にあたる彼は、まだまだ天下を治めたといえるほどの影響力はないものの、幸いにして優秀な同胞に恵まれていた。
オオビコ、タケヌナカワワケ、キビツヒコ、タンバミチヌシという4人の歴戦の勇者たちを四道将軍に任命、それぞれ北陸や山陽、東海、丹波に派遣した。

この平定ルートは4世紀の前方後円墳の
伝播地域とほぼ重なっている(!)


さて皇域拡大のためには、軍事拠点を与る将軍を納得させる強固なサブスタンスと、その指示に従う多くの兵卒たちを養うためのロジスティクスが必要だ。
このサブとロジは神代にほど近い古墳時代ではサブは神託によって、ロジは祈雨や五穀豊穣祈願などのように、ともに祭祀によって賄われた。水稲稲作民にとって不作は死活問題であり、当時は天変地異や凶作が続くと、ミカドの座を引き摺り下ろされたという。
〈天〉に愛されないリーダーは悪王であり、信仰心の無い者にさえ美味い飯を食わせてやることは、古代の天皇の存在意義のひとつであった。天候とその結果による民の飢えや渇きの責任さえ負っていたのである。
ミカドとは、国家運営のエリート層には〈天〉からの託宣を、マス層には具体物を行き渡らせるサービス業にほかならなかった。

思えば人類史における強力なリーダー、王とは常に「祭祀と軍事」に長けたものだった。エジプトのファラオは大規模農業を実現するため、灌漑水路を統制できる権力を握り、その財源として税を課し、労働集約型産業の音頭を取った。
民はただ王の名のもとに目の前の労働に取り組むだけで、ナイル川の氾濫や諸民族の侵攻などに怯えることなく、秩序と安寧を享受することができた。
ファラオはこの宇宙の最高原理とつながり、神官たちをハブとして多くの民を導いた。

多くの類似点が見られるファラオとミカドだが、しかし来世に約束された「永遠の生命」観は大きく違った。
古代エジプトのファラオの神権は絶対的なもので、死後天界での永遠の命はただ現人神たるファラオによって独占されていた。それは中王国期(紀元前2055–1795年)に「神の下による平等」が説かれるまで、およそ四千年近くもの長きに亘って、民衆はファラオに跪くことでしかその「おこぼれ」に与ることはなかった。

一方、本朝のミカドも〈天〉によって独占的な神権を得ていたことは確かだが、ファラオのような唯一神教的な価値観を持たず、明らかに血縁関係のない他部族であっても、その祖先神を尊重し、幣帛を奉献した。それどころか有力氏族に対しては「お前は俺と神代の昔に兄弟だった!」と系図を創作することさえ厭わなかった。

そういえばジャンプにそうした「神話」と系図の創作によって「新しい血族」と名乗るトライブを構築したキャラがいたような…


ここに崇神天皇の偉大な功績が立ち顕れててくる。
日本全国に血族を派遣し、ときに土豪を征伐し、ときに有力氏族を「華麗なる神の一族」に加えて、どんどん勢力を拡大していった。中央集権の構築と「大和民族」の完成という大仕事を終えた崇神帝は、最後の大事業として自らの墳墓を造営した。

古墳とは、その土地に自らの偉大な魂魄を封印する呪術的装置だ。
タオイズムでは魂魄、つまり魂と魄は明確にカテゴライズされており、魂は天に昇りやがてとなり、魄は地に散逸しとなる。魂は精神活動を、魄は肉体活動を主るとされているが、すべての生命に備わる上昇しようとするエネルギーと下降しようとするエネルギーと捉えると現代人にも分かりやすいのではないかと愚考する。これは神道においてやがて「天神地祇」と呼ばれる大分類に発展していくが、まだ崇神期においてはその萌芽は見られない。
あくまで国家プロジェクトとしての古墳の造営によって、霊的なインフラストラクチャーを整備したまでだ。
「大和民族」統一の旗印として自身の魂(神)と接続するための物理サーバーを用意し、また魄(鬼)を堀と堅固な土壁によって閉じ込め、散逸することを防いだ。

さらにミカドの呪言(ことほぎ)によって祖霊を〈天〉にまで押し上げられた神別氏族の末裔たちは、独自のローカルサーバーを立ち上げていく。

翻って、われわれにとって〈天〉とつながることのできる「サーバー」とは、先祖代々の墓だろうか? それとも祖霊神を祀る神棚や、氏神神社だろうか? 故郷の山や海だという人もいるかもしれない。

各々の霊感に照らし合わせて、自らの靈を光り輝かせ、また高く上げることに励んでほしい。

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