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新規事業は2番の人間にやらせる

これは日本電産(現・ニデック)の永守会長の言葉。
永守会長の1番や2番というのは、明確な説明はないが、学校のレベルやそこでの成績、仕事の出来などを総合して表現しているようだ。

1番と2番の人間

会長曰く1番の人間というのは、新規事業の初期にはあまり向かない。理由は下記の通り。

  • できない理由が見えすぎる

  • できない理由の説明が理路整然とできすぎる

  • 仕事上のチャンスが多く、荒唐無稽に見えるできもしないことに時間を使うコスパが悪い

  • プライドが高く恥や失敗を恐れる


一方、2番の人間の特徴は下記。

  • できない理由が一番よりも見えにくい

  • できない理由の説明が理路整然としきれない

  • 仕事上のチャンスが限られているので、任されると燃えてしまう

  • 恥や失敗を経験することが多く、失うものもそこまでない場合がある

任されても燃えない、失うものも多くないのに恥や失敗を恐れるのは3番以下といったところだろうか。


しかし、わかるよ。

このあまりにもふわっとした定義、そして1番や2番という表現が今の時代正面からは使えないとは思うが、経験上これは、わかる。

世の中に専門家は多いが、なかなか新規事業が生まれないのは1番の人間のようにできない理由が見えすぎているし、権威としてもう恥をかけないのが大きいと思う。

よそ者、若者、バカ者」というが、共通しているのは「よくわかっていない」ということ。
しかし、よくわかっていない人が何かを生み出すということは、直感に反することでもあると思う。

「そんな専門家でもないのにお前にできるわけないだろう」
なかなか反論しづらい常套句だ。

基本的にはその通りなのだ。

そのような状況の中で新しいものを生み出していく。やはり一定以上常識を取っ払う必要がある。上の常套句に抗うのだ。


「できるわけない」への4つの抵抗技法

ちなみに私は例の常套句への抵抗技法として、以下の4つを使っている。

  1.  「どうやったらできるやろうか?」

  2.  「ほんま?」

  3.  「なんで?」

  4.  「こんなもん」


1.「どうやったらできるやろうか?」

これは永守会長のまんま受け売り。効果絶大。
今まで回っていなかった頭が回る。ただしすぐ出てこない。粘り強く何度も思考トライ。そのうちだいたい何か出てくる。

2.「ほんま?」

所与の情報や条件を疑う。かっこよく言えばクリティカルシンキングでもある。常識を取っ払う最初の力となる言葉。
この言葉を使った次の瞬間からあらゆる物事を自分の頭で考えることになる。

3.「なんで?」

これは科学の言葉。あらゆる偉大な研究も「なぜ」から始まっていると思う。
なぜ空は青いのか、なぜ鳥は飛べるのか、なぜ働くのか、なぜ戦争をするのか。

このような大きな話だけではなく、トヨタがなぜを7回繰り返すように、物事を突き詰め、科学することで、本質にたどり着くことができる。

4.「こんなもん」

私の感覚では、新規事業において不確実性やカオス状態での耐性(鈍さ)がある程度必要。
普通の仕事では見通せることが見通せない。

いつ製品ができるのか、どのくらいの価格でどのくらいの人に売れるのか、いつこの苦しい時期が終わるのか?

このような問いにほとんどまともに答えることができない。答えたとしても根拠に乏しい答えしか出せない。普通の仕事ではあまりない状況。

こういった状況で使う。さん、はい。

「こんなもん」


地球環境ではない別の惑星環境でいつのまにか働いているようなものだなのだ。普通と違って当たり前。
普通と違うことを、理屈ゼロで受け入れ、無酸素状態で呼吸をするための言葉。


自分が永守会長の言う何番か、何番でもないのかは捉え方自由だが、自分をどう捉えるか、そして実際どうかなどは実はほとんど関係ないと思う。
今この瞬間の生き方で、未来はもちろん、のちに振り返った時の過去(つまり今)の捉え方すら変わるはずだから。

そして新規事業の魅力は、本来どんな人にも一様にチャンスがあること。専門家や、権威がある人、年長者、役職者、エリートなどに該当しなければ生み出せない新規事業というのはほとんどない。

常識に抵抗するための4つの技法、不確実な世界で戦う人に届いて欲しい。


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unlock 津島越朗
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