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人がいなくなるって寂しいし仲良かった幼馴染がずっと東京で過ごしていて会えないのも寂しいしもっと感情論で地域活性に取り組んでいいのかなと感じている人

みなさんには田舎がありますか? 私、qbcにはありません。ないんです。東京の生まれなものでね。ということで。
地域活性化コミュニティRural Laboさんとのコラボインタビュー第2弾です!
田舎を知らない私が地域活性テーマのインタビュー企画を推し進める、というのもおかしな話かもしれませんが、そうですね純粋に地域、地方、コミュニティについてちょっとずつ興味が湧いてきました。
みなさんはどうですか? 地域活性に興味が湧いてきましたか?
なんかね、田舎を知らない私にとっては単に経済価値を生みだす活動としてしか映ってなかったものが、インタビュー2回目を読むにつけ、ああそうかシンプルに人の集まりを大事にしたいし離れ離れになったら寂しいという感情の部分が、私、見えてなかったなって。
ですよね。「人はパンのみにて生くるものにあらず」と。
と、同時にこれは裏テーマですが、今回のコラボインタビューの狙いは「ひとつの活動の総体をそれに関わる複数の人たちの視点から浮かびあがらせる」です。今回は副代表の方にご参加いただきました。前回のRural Labo小菅代表インタビューの視点とぜひ読み比べてみてくださいね。
今回の無名人インタビューも、よろしくお楽しみください!!(主催:qbc)

今回ご参加いただいたのは 西村優一 さんです!

X:https://x.com/yuichinishi2020


現在:ビジネスで考えないと地域は活性化しない

ナカザワ:今、何されてる方かっていうところからお聞きしたいなと思います。

西村:無名人インタビューってタイトルがあるじゃないですか。そのイメージで考えてみたんですけど「これ」っていうものがなくて。喋りながら考えていく感じでも大丈夫ですか?

ナカザワ:もちろんです。

西村:簡単に自己紹介させていただくと、現在、東京にある東洋大学の文学教育学科に通っている大学3年生です。
出身が岐阜県の関市というところで、そこで18年間育ってきました。進学をきっかけに上京して、休学とかはせず、普通に大学3年生をしています。
大学1年生の6月に、Rural Laboの第1回目、小菅が企画した初回イベントに参加して、そこで小菅と出会いました。

小菅さんのインタビューはこちら!

西村:僕は、Rural Laboの小菅の思いにすごく共感して、そこからメンバーというか、副代表という形で、もうその日から動いて、Rural Laboをやってます。
本当に立ち上げの時期から一緒にやっているという形ですね。なので、Rural Laboの副代表でありながら、メンバー第1号という感じで2年間関わらせてもらっています。そんな感じで、Rural Laboの副代表と、普通の大学生をやっているってところですね。
もう1つ地域関係で軸としてやっていることが、実家の家業の手伝いです。岐阜県の関市で、今、母が3代目で継いでる刃物屋がありまして。

ナカザワ:なるほど。

西村:屋号が「山秀」という名前で、曽祖父、祖父、母と3世代続いている、10数人くらいの社員で構成されている会社です。今、82年目くらいですね。そこで広報の担当をやってます。
メインでやってるのがYouTubeです。「世界のナイフショールーム 山秀」っていう名前のすごいマニアックなチャンネルなんですけど、アウトドアナイフの専門店みたいな、ニッチな界隈へ向けた発信をしていまして。そのYouTubeのほぼほぼ全てをやってます。
とりあえず、今100本ぐらい動画を出したのかな。

ナカザワ:それはいつごろから始めたんですか? 

西村:高校3年生の2月ぐらいに始めて、今、ちょうど2年ちょっと経ちました。
伸びたものでは10万再生くらいですね。コロナでアウトドアブームが来てくれたっていうこともあって、数万再生までいってくれる動画が増えています。
YouTuberとして稼いでるわけじゃないんですけど、YouTubeマーケティングみたいなところに興味を持っています。
例えば、10万再生の動画でも、ナイフが1本も売れなかったら意味はないんですよね。

ナカザワ:たしかに。

西村:1000再生、100再生ぐらいでも、例えば、その動画で紹介した数万円のナイフがその動画から売れたらいいじゃないか、っていうところが面白いなと思うんですよね。
地方の、岐阜の、すごい田舎で、社員も10人しかいないちっちゃい会社でもYouTubeやって、それでマーケティングができてる。ということは他の地方の企業でもできるんじゃないかっていうことで、今、岐阜県の伝統工芸の和紙の会社さんでマーケティングのお手伝いをさせてもらっています。
Rural Laboと、山秀のYouTubeみたいな感じの2つの軸で、地域活性に取り組んでいます。

ナカザワ:ご実家のYouTubeマーケティングから、別の、和紙の会社さんのマーケティングもやるっていうのは、どういう感じで広がってくんですか? 

西村:関市は刃物のシェアが日本で一番大きいんですね。
その隣に和紙で有名な美濃市っていう町があります。美濃和紙は、日本三大和紙。関市と美濃市はお隣さん同士ということもあり、母が和紙の会社とつながりがあったっていうのこともあり、「今、YouTubeをやってる大学生がいる」みたいな感じでつないでもらって。
地方創生を頑張ってる和紙の会社だったので、そこからですね。

ナカザワ:仕事っていうのかな。生きる糧の方から、地域の活性化っていう分脈に進んでいったんですね。

西村:結局、お金は大事なんです。僕は、ビジネスの方向性を考えないと地域って活性化しないなっていう考えで。
結局、ボランティアだけじゃ世界って変わっていかない。じゃあ、どうやって地元が良くなるかなって言ったら、やっぱりマーケティングのことをちゃんと考えないとっていう思いがあって、そこに目を向けているんですよね。

ナカザワ:Rural Laboさんの方に、ほぼメンバー1号として入ったっていうことなんですけど。西村さん自身は、今までどういった役割で、小菅さんと一緒にやってこられたんですか?

西村:Rural Laboっていうのは、地域活性化に関心のある若者を全国から集めてる団体なんですね。その中で僕は、当初から、もう全てって言っちゃ全てなんですけど。役割としては、広報の部分をメインでやってきました。
イベントの企画もそうなんですけど、イベントを作って、それをFacebookとTwitterとInstagramとPeatixといろんなところへ出していって、そこで集客をして、Rural Laboの認知度を上げるといったところに尽力してきました。
メインで立つのは小菅でいいと僕は思ってて。
小菅が代表で、イベントの舞台にも小菅が立つ。トークセッションで、代表小菅と、地域で頑張ってる人が関わるイベントを作ってきて。僕は、司会進行であったりとか、雑務全般、2年間ずっとやってました。でも、それが僕は楽しくて。

ナカザワ:なるほど。

西村:ぶっちゃけ、副代表って、どの団体とか会社でもそうですけど、目立たないですよね。メディアとかに出るときって、絶対社長が出るじゃないですか。リーダーだから。
たぶん、副代表って、そのポジションにめちゃくちゃ不満を持ってやってる人は少ないのかなと思ってて。
そりゃあ、社長の座を狙ってる会社の副社長とかいるかもしれないですけど。

ナカザワ:うんうん。

西村:学生団体だったりサークルだったりで副代表やってる人は、たぶん、そこに充実感みたいのを得ているような気がしてて。
僕も初期からRural Laboに関わっていて、Rural Laboが0人のときも知っている。
どんだけ丁寧に、2カ月ぐらい集客しても数人しか来ないみたいなこともあって。でも絶対、地域活性に関心のある若者を集めるって、ものすごく日本のためになってるって、そこの自信はずっとあったんです。
地方の全ての地域って、若者を求めてるじゃないですか。地方創生っていう政策も、若者を地方へみたいな。国がそういうことを言ってるから、絶対に若者は地方に行かないと。行かないとっていうか、求められてるって思っていて。
当時、地方に関心のある若者を集めてたコミュニティーは全然なくって。サービスはあるけど、地域活性についてただただ雑談ができるような、無料のコミュニティはないのかなと思っていたので、じゃあ、それを作ってあげたら一番いいんじゃないのっていうところから始まって、小菅の思いに共感して入って。

ナカザワ:うんうん。

西村:最初の話に戻るんですけど、僕はRural Laboが0人のときを見てたんで、今の300人とか、毎年数10人レベルで増えてきていることとか、国の人だったり、大企業の方だったり、それこそ大学の学者さんだったりとかからいろいろ、声をかけていただけるのはすごくうれしくって。やってて良かったなというようなのはありますね。
それも、元々小菅の影響力もあるかもしれないんですけど。それでも、Rural Laboの活動自体を「いいね」って認めてくれる、日本航空さんだったりとか、そういう企業の方がいろいろいて。
なんだろうな、変なんですけど、我が子を見るかのように、Rural Laboのメンバーがかわいく思えてるんですよね。増えていって、みんなが仲良くなってきてくれてるのがうれしい。

ナカザワ:今、もう300人くらいいらっしゃる単位って考えると、本当にRural Laboって大きいですよね。

西村:Rural Laboって、全国から地方での暮らしや地域に関心のある若者が集まってるんですけど、田舎が好きだったり、地域活性が好きって人はみんな優しいんですよ、あったかい感じがあって。
他にも、Rural Laboのすごいファンでいてくれる人たちもいて。イベントのたびに山梨から来てくれたり、単発のイベントに、京都から、島根から来てくれたりとか、うれしくって。「Rural Laboに入ってる人たちの温度感とか、優しい雰囲気みたいなのが好きなんだよ」とか、あったかくてうれしいなって。
僕がいいなって思ったコミュニティに入ってくれた子たちがつながって、仲良くなってくれてるっていう状況がうれしいです。

ナカザワ:ちなみに、Rural Laboの最初のイベントに参加したのって、どんなきっかけだったんですか?

西村:イベントは、第1回が6月の24日ぐらいにあった愛媛県の弓削島っていう島の過疎化問題について話すイベントだったと思うんですよね。
小菅の母のご実家が弓削島っていう、瀬戸内海の離島なんですけど。そこの話をオフラインで聞くっていうイベントでした。それはFacebookで知ったのかな。ちょうど、東京の緊急事態宣言が明けて次の日だったんですよ。だから覚えてるんですけど、上京した初日。僕、緊急事態宣言が明けてすぐ東京行ったんで。

ナカザワ:そうか。大学入学して最初の時期っていうとその頃ですよね。

西村:夏、全部オンライン授業だったんですけど、僕は東京に行きたくて仕方なかったんですよね。
地域における文化継承の意義を考えるっていう硬い名前のイベントでしたね。
内容よりも、どっちかっていうと地域活性化について考えるイベントを、僕と同い年の大学1年生が企画してるっていうところが気になって。若者が集まっていそうだなと思って。

ナカザワ:参加者は結構いらっしゃったんですか。

西村:10人ぐらいいましたね。でも、大体小菅の友達みたいな。

ナカザワ:そこからこんなに大きくなってたんですね。

西村:まだまだですけど。

過去:怒りの感情から地域の活性化へ

ナカザワ:過去というか、これまでの経験から今のこういう活動にどうつながってるのかなっていうところを、ちょっと掘り下げて行きたいなと思います。
田舎に行きたいって思う人って、さっき西村さんも仰ってたんですけど、都会と言わなくても、ちょっと大きい都市で育った人が多いのかなと思っていたんですが、西村さん自体は、たぶんそうじゃない立場ですよね。

西村:本当にド田舎出身で、ド田舎育ちだったのに、上京初日で地方創生で地方のことを考えてました。長野に行って、今、長野移住を検討しています。
東京出てすぐ地方への移住を考えてるって、なかなかにイレギュラーですよね。

ナカザワ:そうなんですね。

西村:僕は、もう受験が終わる高校3年生の終わりまで、全く地方創生とか興味なくって。そもそも全然知らないキーワードだった。
母の会社をちょっと手伝うようになってから、関市の刃物の職人さんであったりとか企業の人と話すようになって、地域の大人と話すことがきっかけで、地元でこんな面白いことやってる人がいるんだってことに気づいたんですよね。
じゃあ、まちづくりとか地域に関わるとか、岐阜で仕事するのも意外と楽しいのかな、みたいな。それがきっかけでしたね。

ナカザワ:なるほど。

西村:僕、ずっと、東京で就職して都会で生きるみたいな将来に憧れていた典型的な地方の大学生だったので、まず東京で働いてやる、っていう意思はあったんですけど、意外と岐阜で働くのも悪くないな、と思ったんです。
地域の人と出会うなかで、1人、行政とかまちづくりとかに詳しい人と出会って、その人が関市の予算や公的施設についてわかりやすく教えてくれたんです。

ナカザワ:自治体の予算と決算とかですかね?

西村:そうですね。
例えば、そのとき知ったのは、新しくできたそれほど大規模でない地元の施設に、1億円近いお金が使われていて。明らかに施設のクオリティと費用が見合っていない…みたいな。 他にも色々あるんですけど。

ナカザワ:それはひどい。

西村:現状聞いて、なんで、僕たちの税金がこんなふうに使われてるんだよ、と。
地域活性は怒りの感情から入ったんですよ。
もっとうまくできるでしょ、とか、若者の力で、もっとなんかやれるでしょ、っていう気持ちもあったし、もっと同世代もこの現状知らないと、っていうところに、危機感というか、焦りというか、そういう感情を持った。それで、地域活性ってなんだろうみたいなところに関心を持ちました。
なので、本当にマイノリティな感じです。怒りの感情から地域活性に関心を持つ大学生は、そんなにいないかなって思いました。

ナカザワ:うんうん。

西村:今は、地元の人や企業さんと関わっている中で、行政の方ともつながっているし、企業さんで行政の悪口ばっかり言ってる人とも知り合いなので、どっちの意見も聞いてなんとなく状況がわかってきてるんですけど。
その当時は、現実としてそういうふうに変な予算の使い方をしてるんだよね、みたいなことを教えてくれる方がいて。
自分たちのお金であるっていうことに気づいて、まちづくりに関心を持った

ナカザワ:高校生になるまでは、田舎から出たいタイプでした?

西村:そんな感じでしたね。
今、教育学科に通ってるってのもあって、教育にすごく関心があります。教育の先進国のニュージーランドが好きで、留学をさせてもらったりとか。
本当に今も大好きなんですけど、教育に関心を持ってた中高生でしたね。

ナカザワ:留学は、高校生のときですか?

西村:高校2年の時に1年間、現地で単位を取りながらニュージーランドに行ってました。
小菅は、マレーシアのライフスタイルが良かったと言ってるのと似ていて、僕は、ニュージーランドの生活が大好きでした。
Rural Laboの運営メンバーには、結構バイリンガルとマルチリンガルが多くて。半分くらいは第二言語を喋る。なんでかわからないんですけど、意外と僕の周りでは、そういう人が多いんですよね。

ナカザワ:そういう共通点もあるんですね。

西村:初期の運営メンバーとか、全員海外に目を向けてた人たちだったんで。それ、なんでだろうってずっと思ってるんですよね。
今は運営メンバーが増えたので、そうでもないんですけど。それでも、今15人の運営の中で「留学に行った」とか、「留学に行く」とか、「海外に住んでた」っていう人が半分くらい。それは、地域活性化のコミュニティなのに面白いなって思いますね。

ナカザワ:ちょっと話戻りまして、もともと教育に関心を持ったっていうのはいつからなんですか? 

西村:中学2年生が一番最初でした。よくある公立の中学校で、すごく校則が厳しいところだったんで、なんでこの校則があるんだっていうので、教師に楯突いてた。

ナカザワ:楯突いてたんですね。

西村:僕は水泳部で、1個下の後輩に、身長がすごく低い子がいたんです。手術をしたっていうのが理由で、男の子で140センチぐらいで、体重が30キロで、ずっと伸びない。その子が自転車通学で、30分ぐらいかけて中学校に通ってたんですよ。

ナカザワ:それはちょっと遠いですね。

西村:そうかもしれないですね。ド田舎なんで、近くの学校が廃校になっちゃったりとかで、最寄りの学校へ行けないことがあって。
学校自体はマンモス校で、1学年200人とかいたんですけど、ただ、学区が超広いんですよね。
後輩がそういう、男の子だけど140センチ30キロぐらいで。自転車で毎日30分、通学。しかも、教科書が10キロあったんですよね。
教科書全部で10キロで、かつ部活の持ち物もある。相当重いんですけど、置き勉が許されない。それって体に悪いし、医学的にも良くないんじゃないか、ということを思って、地元の警察署とかに行ったりとかして。

ナカザワ:警察署ですか? 

西村:警察がダメって言ったら、学校が聞くだろうと思って。

ナカザワ:なるほど。

西村:その子がかわいそうだったんですよね。僕は彼のことが大好きだったので。30キロの少年が10キロの重い荷物を背負って毎日30分、往復で1時間これを続けるのは体に悪いんじゃないかっていうので、学校に提案したんです。
でも、それがもう、あっけなく「うるさい、黙れ」みたいな感じで受け入れてもらえなくて。それで、日本の教育って嫌だなって思ったんですよね。
調べていくうちに、海外の教育っていいなと感じて、中学3年生のときにシンガポールに10日間研修で行かせてもらったんですけど、そこで自由な教育の姿を見て、海外の教育の良さを学びました。

ナカザワ:なかなかの行動力ですね。

西村:でも普通に見てて辛そうだなっていうのが理由でしたね。

ナカザワ:確かに、今でこそ小学生のランドセルの重さとかもどうなんだっていう話も出てますけど。

西村:今、結構変わってはきていますね。
あとは、海外を知って、日本の学校教育を東洋大学で学んでるんですけど、それを学ぶと、ここは日本の教育がいいなとか、海外がいいなっていうこともちゃんと見えてきて、批判ばっかりするのは違うなって感じているところは当時と比べて変わりました。あとは、教員も忙しいんだなって気づきましたね。

ナカザワ:その行動で得た学びとか気づきはどんなことでしたか?

西村:たぶん、仲間は増えましたね。
得た学びか。ぶっちゃけ、10代の無力さみたいなのを一番学んだかなと思ってます。
どんだけ頑張っても、簡単に一蹴されちゃう。若者の力のなさ、悔しさというか。
経験もないし、知識もないし、もう弱いと思うんですよ。大人は怖いし、大人は体も大きいから、言われたら怖いんですよね。絶対、僕の方が正しいはずなのに、「うるさい」っていう一言で、やっぱりすごい怖いから。
小中学生、高校生、大学生もそうだと思うんですけど、子どもの無力さみたいなのを行動して気づきましたね。
それは悔しいなっていう思いが今もありますね。

ナカザワ:逆境に対する思いみたいなものが、キーワードにあるのかもしれないですね。

西村:どうですかね、そういうのは。
今、教育に関心があるってのも。今、虐待について研究してるんですね。虐待問題って、一番子どもが無力さで苦しむ問題だと思っているんで。
自分が一番信頼できる大人、親から傷つけられる。反抗ってなかなか難しいもので。そういうのって嫌だなと思って、虐待について研究してたりします。
なので、若者の無力さにどう立ち向かえるかっていうことは、意外とRural Laboでも取り組んでるキーワードかも知れないですね。

ナカザワ:綺麗な成功体験じゃないところが、逆に良かったのかなっていう感じもありますね。

西村:ずっと悔しい思いはしてるような。(笑)
今のところ全部失敗に終わってるんで、だから、なにくそっていうのはあるかも。

未来:レールの上を歩いたうえで物事を語りたい

ナカザワ:将来、西村さんご自身はどのように生きていきたいですか。

西村:僕は休学とか、起業とかをしないタイプなので、たぶん、大学4年生までRural Laboをやって、Rural Laboの運営は続けつつ、いったん東京の会社に普通に就職したいなって思っています。今も就活をしています。

ナカザワ:うんうん。

西村:小菅は、「もう早く休学しろよ」とか、「就活なんてやらなくていいんだよ」みたいなことを言うんですけど。
僕は、レールに乗りたい、というか、ちょっと敷かれたレールを1回渡って、ちゃんと通って、その上で何か物事を語りたいなっていうところがあります。
普通に大学生して、普通に就職をして。普通に生きて1回通った上で、社会に対してものが言えるところもあるのかなと思って。
なので、普通に就職して、たぶん都内の会社で数年間勤務した後、岐阜に戻って家業を継ぎたいなって思っています。
まあでも、ただずっと刃物屋だけをやっていくんじゃなくて、教育に関することだったり、子どもの支援とか虐待の支援だったりとか、やりたいなとは思ってます。

ナカザワ:最近、今の西村さんくらいの年齢の方のインタビューをすることが多いんですけど、レールに乗りたいということを言う方は珍しいですね。

西村:本当ですか? でもそのほうが地方創生って、意外とやりやすくなると思ったりするんですよね。

ナカザワ:やりやすいっていうのはどういった意味ですか?

西村:いったん、東京の大学出て、ちゃんと学歴が四大卒業、東京の会社に就職して。別に東洋は高学歴じゃないんで、そんなに使えないんですけど。
でも、地方に戻ると、大学出たんだなとか、どこかの会社で数年勤務してたっていうことが、結構強みになったりするんですよね。信頼感だったりとか。
そこは、その地域によって変わるとは思うんですけど。

ナカザワ:確かに違うと思いますし、一方でやりやすさっていうのも理解できますね。

西村:僕が岐阜で職人さんとかと喋っていると、東京の大学でちゃんと勉強してこいよ、とか言われますね。
僕自身は、経歴が欲しいというと少し違うんですけど、ちゃんと社会人としての経験は積みたいと思っています。高校卒業で、すぐ母の会社でやっていくのもいいんですけど、でも1回、外の世界見てた方が絶対プラスになるなと。
東京のベンチャーでインターンを1年くらいしてるんですけど、そこで得た学びって、絶対岐阜では得られなかった学びだと思っていて。
東京の会社で就職して、1回都会の会社で経験を積むっていうのは、絶対、自分の地方の地域のためにもなると思うし、実家の会社のためにもなるなと思って。
なので、僕は1回はレールに乗りたい。

ナカザワ:もしかしたら、地方の現実を見ているからこそ、体感的にそう言えるのかもしれないですね。学歴も就職した経験もないより、あった方が楽になることって、たぶん地方にはいっぱいある。

西村:高校出て、大学をやめて起業してみたいな。そういう生き方も本当にありだと思ってて、それもそれで面白いと思うんですけど。
ただ、地方の、60代、70代のおじいちゃんとかに説明しても難しいじゃないですか。

ナカザワ:うんうん。もちろん通じる人も多いんですけど、全員に通じるかっていうと、確かに疑問はありますよね。

西村:地域活性って「しなくてもいい論」みたいなもの、ありませんか? 
活性化しなくても、地域の中の人は幸せなんだよ、とか、別に経済回さなくてもいいじゃねえか、といったような。幸福論で言えば、地域なんて活性化を頑張ってしなくてもいいとか言われてたり。
でも、自分自身が、地域活性化に挑みたいっていう理由は、すごく感情論で。子どものころお世話になってた近所のおじいちゃんおばあちゃんが孤独死するとか、そういう現実が辛いしすごく寂しいんですよね。

ナカザワ:なるほど。

西村:たぶん、転勤族だった小菅とか、都会生まれ都会育ちの方達にはあまり感じにくいところかな、と思ってて。
地域なんて活性化しなくても、人々の生活は営み続けられるんですよね。

ナカザワ:はい。

西村:僕は子どものころ、父母が共働きだったんで、近所のおじいちゃんおばあちゃんにかわいがってもらうみたいなことが普通にあったんですよね。でも、僕が東京の大学へ出てから、お世話になってた向かいのおばあちゃんが1ヶ月ぐらい発見されないまま亡くなってたんです。
地方では結構よく聞く話ではあるんですけどね。

ナカザワ:うんうん。

西村:夏とかだったら悲惨だし。それ、結構寂しいなって思って。
だから、地域内にコミュニティがあってつながってた方が、そういう悲しさで一生終えることもないし。僕も寂しくないし、もしかしたらお葬式にもすぐ駆けつけられたかもしれない。
そういう感情論で、もっと地域活性に取り組んでいていいのかな、と思っています。

ナカザワ:うんうん。

西村:あとは、孫家族とか、息子娘家族が迎えにきたっていうこともありますよね。「おじいちゃん、もう90だから東京で私たちと一緒に暮らそう」とか。それってやっぱり最後を、生まれ故郷で迎えられないっていうことですよね。
大都会に90歳になって出てくるとなると、仲良しだった近所の同級生に別れを告げて、もう連絡も取れないし。そうやって関係が終わっていくって寂しいな、と。
そういう寂しさとか悲しさとか。
地域の中でつながりがあったら、帰省したいなとか、岐阜に帰りたいな、岐阜で働いていたいな、っていう考えが生まれるんじゃないかなとか思ったり。いや、なんだろうな。ちょっとまとまらないですけど。

ナカザワ:やっぱり、将来は自分のご自宅に戻りますか? 

西村:メインの拠点は岐阜に持ちたいと思っています。だけど、岐阜にも家があって、東京にも家があって、みたいな。たぶんそこは多拠点生活の考え方に近いんですが、都会か田舎か、どっちがいいとか。山か海か、どっちがいいみたいな、そういう選択はもう無駄だなと思ってて。どっちもいいなら、どっちも家があってもいいみたいな感じで。

ナカザワ:なるほどなるほど。

西村:2拠点とか多拠点とかって、普通にそんな感じでいいのかなって。
海も山もどっちもいいところがあるし。好きなら、どっちにも家があれば幸せじゃない? っていう感じですね。
僕は岐阜も好きだし、都会の東京も大好きなんで、どっちも家が欲しいなと。

ナカザワ:そこがすごく、Rural Laboの理念と共感するところなんでしょうか。

西村:そうですね。

ナカザワ:選ぶ必要がないっていうのは結構新しい考え方ですね。 

西村:普通は「どっちでも家買おう」ということは考えてないと思うんですけど、どんどんそういう考えは広がってくると思っています。
賃貸で数万円のやつを2軒とか、そういう世界が来るのかなって。そういうサービスもできてきてるので、あり得る世界線なんじゃないかなって思ってますね。

ナカザワ:面白い。すごく柔軟な考え方だし。

西村:でも、何がメインかな。教育と山秀とRural Laboと、いっぱい喋りましたね。

ナカザワ:ちょっとずついろんな話を聞いたことで、逆にどういう考え方の人なのかなっていうのが、結構聞けてきたかなと思います。
どこがターニングポイントかなって考えたときに。1つは、やっぱりさっき聞いた、子どもの無力感じゃないけれども、そこを感じたっていうところ。パーソナリティ的な大きいポイントだったのかなと思います。
もしも「田舎もいいな」って思わなかったら、今、どんな生活を送っていたと思いますか?

西村:コロナがなくて、普通にやってたらどうだろうなあ。教育関係のことをやっていたと思いますね。なにかしら社会課題に取り組むということは、絶対やっていたと思います。普通のサークルじゃなくて、ビジネスで何かどうにかしようっていうのは全然変わらないかと。
今は、Rural Laboと偶然出会って地域活性を楽しくやっているんですけど、親の会社を手伝ったのもコロナがきっかけだったんで。それもなかったら、何やってたんですかね。
あ、2拠点生活したいとかは、なかったかもしれないですね。

ナカザワ:なるほど。

西村:小菅が多拠点、多拠点とたくさん言うから、ありかなと。
長野もRural Laboにはいるまで1回も行ったことなかったんですよね。

ナカザワ:岐阜と長野、結構近いですけどね。

西村:岐阜の隣なのに行かないですね。
一番、今回喋ってて気付けたっていう部分が、若者の無力さ。これは、今まで思ってた感情じゃなくて、今日喋ってて出た考えだったんですよね。
地域活性化に限らず、学生団体やってるとか、高校生で社会課題に取り組みたいっていう子たちって一定数いると思うんですけど、この子たちは絶対ぶち当たってるとこだと思うんですよね。
子どもができることの少なさだったり、舐められるとか。そこは思いますね。

ナカザワ:西村さんは、どういった状態なら地域が活性化してるなって思いますか?

西村:地域の活性化のゴール。結構いろいろあるんですけど、どうやって言葉にしようか。
過疎地域みたいな、その町の中にコミュニティがあって。世代関係なくつながってる状態はいいなって思ってます。
おじいちゃん、おばあちゃんが地域の子どもたちを見てるとか。結構ありきたりな答えだと思うんですけど。でもそれは、もっともっとそうなってほしいなって。
都会より地方の方がそういうお裾分け文化とかもあるからいいよね、とか言われてると思うんですけど。本当にそれは地域によるなと思うんですよね。

ナカザワ:確かに。

西村:それができてる地域もあれば、例えば東京のマンションでも、家族ぐるみで仲いい家族関係も探せばあると思うんですよ。

ナカザワ:あると思いますね。

西村:あれって、別に「地方だからコミュニティがあっていいよね」とかじゃなくて、どの地域でも実現できるなと思ってて。
なんで、もうちょっと多世代がつながって、人とのつながりを感じることのできる町、ローカルなんかがあると、活性化する。
あとは、それこそ孤独死で1ヶ月後に見つかるといったことも防げるんじゃないかなとか。悲しい感情が生まれないんじゃないか。
そのために、今、地元でも経営者の母と一緒にそういうことをやりたいと話してるんです。地域の子どもたちも、社会人も、障がいなどを抱えた人も、外国からの労働者の方も、おじいちゃん、おばあちゃんもみんなを集めたサードプレイス作り。
母も、もともと幼稚園教諭なんですよね。幼稚園教諭から経営者になってて、なかなかに面白い母です。

ナカザワ:面白い人生ですね。
ありがとうございます。1時間ほどお話を聞かせていただきまして。

西村:僕も、自分のことを話すことは全然ないんで、本当に貴重な経験でした。初めてしてもらいました、インタビュー。

ナカザワ:本当ですか? 「無名人インタビュー」って言ってますけど、若干微妙ですよね。小菅さんとか西村さんとか、無名人でいいのかな。

西村:いやいやいや、本当に何にもないですよ。普通の21歳です。
お金作って、それで豊かな生活するっていうよりかは、小菅や僕は、たぶんシンプルに理想のライフスタイルを他の人に広めたいみたいとか。そう、有名ではないですね。全然です

ナカザワ:有名だからいいとかじゃないと思いますけど、その思いを知る人が増えていくってことだと思いますので、お力になれたらいいな、と思います。
言い残したこととか、そういったことはないでしょうか?

西村:大丈夫です。あ、1個だけ。途中で地域活性しなくてもいい、という話をしたと思うんですけど。

ナカザワ:ありましたね。

西村:結局、僕、友達や同級生が、東京とか都会の大学を出てそのまま帰ってこないんですよね。僕もそうなんですけど。
小中が一緒で、ずっと仲良かった友達が地元に戻ってこなくて。僕はいずれ地元へ戻るんですけど、そのときには全然連絡とれなくなっていたら寂しくて。
でも地域が活性化して、コミュニティがもっと町の中で確立して、もっとSNSが活発になって、連絡を取り合えて。
「あいつ、岐阜にいるなら、まあ、帰ってもいいかな」とか、「なんかあいつ、岐阜で面白いことやってんじゃん」「岐阜も悪くないな」とか、そんなことになれば帰ってくる人が増えると思っているんですよね。
僕は、岐阜に残ってる友達と、もっと岐阜を面白い場所にして、帰りたいって思えるような雰囲気を、場所を作りたいなって。
地域活性化は別にしなくてもいいけど、人がいなくなるって普通に寂しいし、仲良かった幼馴染がずっと東京で過ごしていて会えないのも寂しい。
会いに行けばいいんですけど、地元で楽しくみんなで生きたいなっていうのはあって。寂しさを解消する地域活性がいいかなって思ったりしました。

ナカザワ:ありがとうございます。

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あとがき

RuralLaboさん第2弾は、副代表西村さんのお話でした。
西村さんというひとりの大学生の人生の話であり、団体の副代表の話であり、地域活性化にかかわるプレイヤーの話でもあります。
RuralLabo に興味を持った方は特に、代表の小菅さんのインタビューも読んでいただけるといいかなと思うのですが、2人の言葉や感覚の重なりとずれが味わえるので、そうでない方も合わせて読んでいただけると面白いのではないかと思います。
既に読んでくださった方には感じていただけたかもしれませんが、地域の活性化に関わる人というカテゴリーに当てはまる人だとしても、2人とも視点が全く異なるからこそ、それぞれにとって世界は別のものに見えている。
まぁ、人類一人残らずそうと言えばそうなんですけどね。
このずれを曖昧なまま残しておくのは、無名人インタビューならではかもしれません。
今回の西村さんのインタビューで印象的だったのは、ボランティアだけじゃ地域創生しないっていう最初の言葉から、ロジカル系の話でくるのかなと思いつつ、意外と根本にあるのは感情論(ってご自身は仰ってましたけど)、怒り、苦しみが原動力になっているという、なかなか面白いバランス感覚の方だなということ。
いやむしろ、対抗するためにロジカルさを身につけていったのかも。知らないものを語り続ける人ではありたくないというある種の負けず嫌い的な意志の強さも感じました。
皆さんの感想もお聞きできたら嬉しいです。

インタビュー担当:ナカザワアヤミ

編集協力:有島緋ナ

#無名人インタビュー #インタビュー #自己紹介 #地方創生 #地域活性 #地方移住 #RuralLabo  

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