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無名人インタビュー:インタビューが好きな人

記念すべき100回目です。無名人インタビュー100回目。とはいえもう半年前くらいか。
編集ほんとにほんとにさぼったなあ私。ありがとう世界。
ナカザワアヤミさん回です。100回目にふさわしく、無名人インタビューをよく読んでもらっている方でした。ありがとう。そしてなんかこう、ひょうひょうとしていて。そして20代で。
なんというか、ある意味で無名人インタビューを代表するような、名前を求めているのに、まだしっくりする名前を得られてないような、そんな人でした。
まあその後、無名人インタビュアーになるのですけれども。
それでは記念回、お楽しみくださいね!!

今回ご参加いただいたのは ナカザワアヤミ さんです!
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1、私、無名人インタビューファンです!

qbc:どういうふうなインタビューにしていきましょうか?

ナカザワ:noteに出会ったわりと初期に、無名人インタビューのアカウントを知ったんですよ。

qbc:おお、ありがとうございます!

ナカザワ:無名人インタビューそのものがすごく楽しそうというか、自分もやりたいと思って。そういった興味から見はじめました。
私自身は、無名人インタビューに参加されている方々の中でも、無名中の無名というか、本当に、生きているレベルでは面白いこととかあるんですけど、特にミッションとして伝えたいことがあるわけでは全然なくて。

qbc:はい。

ナカザワ:私自身が、自分の中ではっきり言語化したいなって思ってるのは、私自身もインタビューっていう行為だったり、場っていうのがすごく好きなので、それはなぜなのか、てことですね。

qbc:なるほど。

ナカザワ:大学生のときの先輩ですごい面白い人がいたんですよ。面白い人っていっても、行動が奇怪とかではないんですけど。
いつも楽しそうにしている方で、いるだけで周りを盛り上げてくれる。飲み会のときに、気づいたら中心にいるタイプの方っているじゃないですか。そういう人だったんですけど。
そういう、いわゆる人気者タイプの人ってあんまり深いことを考えてそうに見えなかったんです。なんていうんでしょうね、悪口とかじゃないんですけど、私の印象として、地味な人には興味なさそうとか、そういう印象を勝手に持ってたんですけど。わりと少人数の飲み会だったかな、その先輩としゃべる機会があって。

qbc:はい。

ナカザワ:すごく良いなと思ったのが、その人は女性なんですけど、人の話を聞いてると誰にでも人生に1個ぐらいメチャクチャ面白いがある、って言ってたんですよ。その感覚がすごく素敵だな、そういうことを思える人って良いなと思って。
周りの中心でワイワイしている人だけど、しっかりとそういうところまで見てるんだなと思って。その人自身のことも好きになりましたし、その考え方も腑に落ちて納得して。そういうのをベースに生きてる人っていいなって思ったんですよね。

qbc:なんとなくナカザワさんの雰囲気がつかめてきますね。では具体的に、今、何をされている方でしょうか。

ナカザワ:仕事という意味で言えば、説明が難しいんですけど、自治体の仕事のサポートをするような会社にいます。
いろいろやってるんですけど、たとえば自治体がパンフレットや観光ガイドを作りたいっていうふうに思ったときに、それを技術的に、例えばデザインのサポートしたり、カメラマンを呼んできたり、そういったことをしていたりとか。
自治体ってよくアンケート調査とかやるんですけど、そのアンケートの設計のお手伝いだったり、技術的なご支援、たとえば統計的にこうすると良いですよって言ってあげたりとか。最近の国や社会のトレンドはこうなんで、こういう問いを入れたほうが良いですよって話をしてあげたりとか。
そういう仕事をしてます。ひとことではジャンルを言い表せない

qbc:PRですか? 

ナカザワ:PRではないです。理解していただくためには細かく言わないとわからなさそうですし、たぶん一般的にこういう仕事をしている人が存在することを、みなさんご存知ないと思ったので。

qbc:なるほど。自治体から受注するんですか?
ナカザワ:はい。
私は、この仕事をする前はそもそも自治体が外に仕事を出してるってことをあんまりイメージしてなかったんですよね。

qbc:面白そうなお仕事ですね。

ナカザワ:なかなかできない経験かなと。
たとえば総合計画っていうのがあるんですけど。それって市長さんだったりとか町長さんだったりとか、トップの方の意向が反映させないといけないんですけど。
そういうときに市長にヒヤリングに行くっていう業務があったり、各課の方々が10年間で何をやりましたかとか、これが課題ですみたいな話をしてくれるところに同席したりとか。こういう機会ってなかなか無いなと思いまして。
どんな自治体でもトップに立つ方って、見てるところが違うから。偉いとかじゃないと思うんですけど、そういう稀な視点から見る役割の人がいて。

qbc:やっぱり面白そう。外への情報発信が中心ですか?

ナカザワ:内向きのものもありますよ。
やっている業務レベルでいうと、好きなものも嫌いなものもあるんですけど、果たすべき役割からすると、全部面白いですね。

qbc:あ、好きとは言い切れない仕事もありますか?

ナカザワ:自治体の文章ってすごく固いんですよね。私が文句を言うことではないんですが、国のお示しになる書類たちは、日本語が読解困難みたいな感じの、すごい難しい表現のオンパレードだったりして。もうちょっとわかりやすくなったら良いのになっていうのはすごい思ってます。
ただ、仕事ではある程度形の整ったものだったりとか、ルールに則ったものを書くので、自分が本当に市民の方々に考えてほしいことだったり感じてほしいことを、そのまま伝えられているわけではないですね。
もどかしさを感じます。

qbc:なるほど。

ナカザワ:私もそうなんですけど、住んでる自治体が何しているかって知らなくないですか? 知ってる方もいると思うんで、大きな声では言えないんですけど。たとえば市長の名前とか、わからない人いるんで。

qbc:私も覚えてない。当選出てると思ったんだけど。

ナカザワ:例えば、子育てに関することって、みんな関わることなので、そういうことに対してはすごく関心が高かったりするんですけど。
他の分野とかにはあまり関心なかったりとか。いろんな支援を自治体ではしているけど、うまく広報できてないのか興味を持たれてないかで、あんまり支援につながってなかったりとかいうのが現状です。
そういうのが見えてくると、もどかしさというか、生きている仕組みとか国の仕組みみたいなところに、どうにかしてみんなが興味を持てるようになれば、もっと楽に生きていける人もいるんじゃないかなって。
すごい、飛躍してますけど。

2、誰も知らない

qbc:今、大きい不満というか、こうしたいとかあったりするんですか?

ナカザワ:正直、会社に入る段階で、今のこういう仕事してるイメージがあまりなかったので、そういう意味で予想外さはありつつも、すごく嫌という感じではないんですよ。
ただ、国の通りにやることだったりとか、型に合わせることをしないといけない仕事という側面もあるんです。
たとえば、単純にアンケート調査の分析だけしてればお金がもらえるわけではなくて、各所と調整したりとかそういう業務もいっぱいありまして。今、疲れた感はあります。入社してから3年ぐらい経ってるんですけど。

qbc:大学は何学部だったのですか?

ナカザワ:社会学です。統計を使ってみたりとか。
社会学だとインタビュー調査もやりました。
東北だったので、私は今25なんですけど、大学生のときって東日本大震災の復興過程の大事な時期だったんですよ。
一番印象に残ってるのが、調査実習です。津波で家を流されてしまった人が、災害公営住宅に新たに集まって住みはじめるんですけど、もともと住んでいた地区と違うなかで、家の割りふりを決めたり、どうやって近所同士の付き合いを再構築するかとか、そういう地域の再生についての調査でした。

qbc:なあるほど。私は本で読んだかも。

ナカザワ:知っている教授の何人かは、本を出してると思います。コミュニティを再生するにあたって、地区の代表の方とか自治会で活動していた方にインタビューして、どういうふうに住んで今はどうかとか、周りとの付き合いはどうかとか、話を聞いたんです。
それが私の無名人インタビューとの最初の出会いかもしれないですね。

qbc:あー、そうですね。無名人インタビューは、オーラルヒストリーというやつなのかもしれないですね。
口述筆記で残される歴史。

ナカザワ:なるほど。

qbc:「まちづくりデッドライン」て本を読みました?

ナカザワ:読んでないです。名前は聞いたことあります。

qbc:あの本、ミニ日本経済史や、インタビュー、対談も載ってたり。あと図解も載ってたり、すごいバラエティに富んだ本で。こういう人たちがまちづくりに携わって、こういう考えで町を作るんだなと思って。面白かったです。
インタビューは人の側面を切り取りますよね。

ナカザワ:読んでみます。

qbc:ナカザワさん自身のやりたいことって、何ですか?

ナカザワ:私もそれを知りたいぐらいなんですけど。
知らないことを知るのは、昔から好きでしたね。

qbc:どうでもいい情報も? 私は好きだけどプロレスの歴史とか。

ナカザワ:私、そういうのも好きですよ。プロレスの歴史は知らないですけど。
一時期恐竜にハマって、恐竜の進化について本を読み、図鑑を読み、博物館にも行き、みたいなことをしてたときもありました。
そういう生きるにはいらないだろうっていう知識も、頭の中で構造化して自分的なまとめができるのがうれしかったんだと思います。
どうでもいいことに対しても興味はあります。わりと忘れちゃうんですけどね。

qbc:ふとした瞬間に、忘れてた情報を思いだしたりしてね。目の前のこととつながったり。
ちなみに、今、関心があることは?

ナカザワ:すごい真面目な人みたいな話しますけど、人が、なんでこんなに生きづらいんだろうってずっと思ってて。よく多様性の時代とか言われているじゃないですか。優等生な回答だなって自分でも思うんですけど、いろんな人が生きやすい社会になるにはどうしたらいいんだろうっていうのが、テーマですね。

qbc:なるほど。たとえばさ、婚外婚とか婚外子とか、私はインタビューで初めて知ったような言葉がたくさんあったりするんですよね。
日本の戸籍とか、私にはどうでも良かったものに人生を振り回されたりする人もいるのだなとか。

ナカザワ:そうですね。学生のときに、家族社会学の先生もいて、授業を受けてたんですけど。
夫婦別姓の話とか、結婚しないと子どもが産めないみたいな文化とか、けっこう特殊ですよね。
婚外子っていうか、嫡出子かどうかっていうことですね。

qbc:あ、なるほど。

ナカザワ:男性と女性の感覚が違うんでしょうね。それがそもそも日本って感じするんですけど。
やっぱり日本では女性はマイノリティなんですね。数のマイノリティじゃなくて、意見の取りあげられやすさという意味での。

qbc:そうですね。 

ナカザワ:私は女性だからジェンダー問題とかも人並みに興味があります。仕事柄、障害のある人だったり外国の方とか、どういう名称で伝えるのが良いかわからないですけど、LGBTsと言われる方々とか。
そういった方々がどういう状況にあるかっていうのを目のあたりにするので。
私自身は女性ではあるんですけど、社会でマイノリティとしてそんなに苦労していないというか。普通に生きることができるっていう状態である私がこんなこと言うのもって思うんですけど、少数派の声っていうのを伝えていきたいとか、知ってほしいという気持ちはあります。
たぶんみんな知らないと思うんですよね。

qbc:知らないと思う。

ナカザワ:何かしらの形で伝えていきたい。
自分が誰かの話を聞く機会というのはあるんですよ。
でも、自分で話すのは会社の1on1ぐらいしかないんです。

3、迷っている

qbc:未来をどういうふうに考えてらっしゃいますか?

ナカザワ:ものすごい大きなビジョンで言うと、自分が楽しいと思うことをしながら生きていきたいっていうのはあります。
死んだときに、まあ楽しかったなっていう感じで死にたいなって思って。すごい広いんですけど。楽しいって気分を、仕事で達成したいのか仕事以外の部分で感じたいのか、細かいビジョンはあんまりないんですけど。
今、仕事は嫌いとかではないですし、すごく苦手な分野ではないと思ってるんですけど、これは本当に楽しいのか? と最近は思ってしまって。3年目あるあるだと思うんですけど。

qbc:はいはい。

ナカザワ:私がこの仕事を一生やったときに、はたしてやりたかった生き方なのかって、信じられなくて、見えなくて。
会社の上の人とかもロールモデルではあるんですけど、たとえば20年勤めあげるとこういう人になりますっていう上司像に対して、私はこうなりたいわけではないなってはっきり感じているんです。その人が悪いとかじゃなくて。
そういった意味で、このまま同じ会社で仕事を続けるのは、もしかしたら違うのかもって思っています。

qbc:そうか。

ナカザワ:抽象的なことから具体的なものへ落としこもうとしてるんですが、楽しいことってなんだろうって考えたときに、私は、型にはまったような、たとえば国が指定する数式に当てはめて介護保険料を算出するといった仕事が、あまり好きではなくて。
言われたことを自分なりに咀嚼してお客さんにアドバイスできる力は、とても素晴らしいものだと思うんですけど。そういう上からっていうよりは、あくまで対等な形でやりとりをした上で何かを生み出していけるほうが、個人的には好きだなと思っていて。
そういう仕事の比率を増やしていけるのか、あるいは別の場でそういう仕事をみつけたほうが良いのかっていうのを、今、悩みはじめているところです。

qbc:なるほどね。

ナカザワ:今の仕事は、年度契約の仕事なので、その年度の間は安定して仕事を遂行することが多いです。会社同士の縄張り争いとかはあるんですけど。
今、自治体数って増えていかないので奪いあいみたいなのはありつつも、自治体じたいがなくなるっていうことはないので。

qbc:はいはい。

ナカザワ:お金としては増えないというか、自治体数減ってますし、予算もガンガン削られていくので、儲け的なものはすくないと思うんですけど。

qbc:なるほどねー。人材としてすごくほしいけどね、ナカザワさんみたいな人は。
経営企画の仕事とか向いてそうだけど。

ナカザワ:これから学んでいく余地があればそういうことも。
今、自分の伸びていきたいほうに会社がある感じがしなくて。

qbc:まあ、20代のインタビューはこう、もどかしさがあるものですよ。

ナカザワ:そうですよね。人生とは、仕事とは、みたいな。でも、それで良いと思うんですよね。逆に、悩まずにこのままいって、あれってなっちゃったときのほうが、自分的にも会社的にも損失は大きいと思うので。

qbc:最後に言い残してしまったことがあれば、聞きたいです。

ナカザワ:インタビューについての話をもう少しするかなって勝手に思ってたんですけど、思いのほか会社の話とか、学問的な話を広げてくださって。
そういう話ってあまりする機会がなかったので、面白かったです。
これを読んだ人がどう思うかわからないですけど、伝えたいことは、やっぱり、みなさんが住んでいる自治体のことについて、少し関心を持ってもらうと、生きるのが楽になる可能性もあるので、それを知ってほしいなと思います。

qbc:めっちゃ仕事に愛着あると思いますよ。

ナカザワ:仕事っていうか、こうやってしゃべると良いことっぽく聞こえるんですけど、喋ってて、会社好きな人みたいな話だなって思ったんですよ。でもなあ。

qbc:ひとまず、ありがとうございます。

ナカザワ:ありがとうございます。

あとがき

あなたはこのインタビューを読んで、どう思いましたか?
もーほんとけっこう、ナカザワさんが100回目で、ある意味運命だったんだなと思ってます。99回目のえつこさんもそうだし、101回目に私にインタビューしてくれたそんりさんもそう。何かしら印象的なことがある。
無名人とは類型化という行為をやめよう、その人らしさは類型化の中にはないよということなのだけど、ナカザワさんを乱暴に類型化してしまうと、この人は20代の将来を悩んでいる人だ。
行きつ戻りつの中で、一緒にやることで何か見つかるかもしれないと思い、またその瞬間を見てみたいという思いで、
私はナカザワさんを無名人インタビュアーに誘ったのであった。
この100回目のインタビューから半年が経ったけれど、わかったのはナカザワさんはやたらタフなんだなということくらいだ。

編集協力:有島緋ナさん 石塚千奈実さん

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