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【無名人インタビュー】ひきこもりの人

今回ご参加いただいたのはにわたつみさんです!

▷イントロ

もはやインタビューから公開まで3カ月待ちのよもやのqbcずぼらアピ企画となってしまった無名人インタビュー企画ですが、2020年9月末に実施した”にわたつみ”さん回のお届けです。
8.9月は実はインタビューラッシュで週に10回近く行うのも珍しくない感じ、まあここのラッシュの対応で、自分の中でインタビューの手ごたえもぐぐっとあった感じなんですが。
ああまた自分の話をしてしまった。
“にわたつみ”さんは、ひきこもりの人です。私自身もひきこもりの時期があり、てまあ私自身は部屋を出られないんじゃなくて出るのがめんどうレベルのひきこもりでしたが、まあそんなんでもなんとかなるよねと。
でまあ、ひきこもりで意気投合して、思いもよらぬラストに到達して3カ月後の今二人は、、、て感じの謎めく“にわたつみ”さん回、お楽しみください。
無名人インタビューはドキュメンタリーですからね。

1、にわたつみ

にわたつみ:あ、えっと、にわたつみと名乗ってます。はい。

qbc:や、どうも。あ、で、「にわ」さんなんですか? 「にわた」さん?
そこちょっと聞きたくて。切るところどこですか。

にわたつみ:あ、や、えっと。「にわたつみ」って単語がある、「にわたずみ」って単語があって……。

qbc:ああー。

にわたつみ:さんずいに、学生寮の「寮」からウかんむりを取ったのが右にくる。で、それで「潦(にわたずみ)」っていう単語があるんですよ。で、そこを……。

qbc:え、ちょっと待って。海神(わだつみ)?

にわたつみ:にわたずみ。

qbc:に、「に」は? ごめんなさい、「に」は? なんて書くんです?

にわたつみ:え、あ、や、ぜ……ひ、一言なんです。あ、あのーえーと、んーと。

qbc:どうやって検索したらいいです?

にわたつみ:ZOOMって、文字のやりとりって、できないですよね? 私初めてなんで分からないんですけど。

qbc:あ、チャットがありますよ。

にわたつみ:ほんとだ、ありますね! 私、書けばよかったですね。すみません!
私、辞書を読むのが好きで、電子辞書とかで検索したり、だから変な単語というんですかね、一般的に知られないような単語を知ってたりするんです。

qbc:はい。

にわたつみ:古い文献とかだと「にわたつみ」って書いている文章もあるんだよっていうのがあって、それでnoteのどなたかの名前とかぶらない方がいいのかなって思って。

qbc:うーん、名字?

にわたつみ:あ。や。名字でも名前でもないと思います。そういう、単に、単語……水たまりとか、そういう意味合いがあるんですよ。

qbc:はいはいはい。(検索結果を見ながら)辞書の説明は万葉集から引用ですね。

にわたつみ:そうですね、漢字で書くとこんな感じです(※チャットに「庭水」の文字をはりつける)

qbc:あー庭水って書くんだ、はいはいはいはい。ふーん。

にわたつみ:あとはやっぱり和歌で、ひらがなで書いてあったりとか。すみません、なんかわかりにくくて。

qbc:あっいえいえ。分かりにくいとかは大丈夫です。ではよろしくお願いします。

にわたつみ:あははは……ありがとうございます。すごく緊張しちゃってて。
でも、なんですかね。名前の話から聞かれたので、今すごく、話しやすいなって思いました。ちょっとほっとしました。聞いていただけて。

qbc:私としては、お名前を見て、にわさんて呼ぶのか、にわたさんて呼ぶのかどっちなのかなと思ってたんですよね。

にわたつみ:もう、なんですかね……にわさんでもいいじゃないですかね。あんまり呼ばれることを想定していなかったので。

「にわたつみ」の意味はこちら!

2、名もなき人の記録

qbc:どういうところから入っていきましょうか? 言葉が、お好きなんですか?

にわたつみ:そうですね。本を読むことがもともと好きだったので。分からないものは辞書を引くように親から教わっていたので。

qbc:「にわたつみ」は、どうやって見つけたんですか?

にわたつみ:これはたぶん、高校生ぐらいかな。その時に電子辞書で授業中に、あの、暇ではないんですが、授業から逃げるために、電子辞書を見ていたんですね。
電子辞書を「に」って開いたら、「に」って単語がずらーって並ぶじゃないですか。それをひたすら見ていってました。

qbc:はいはいはいはいはい。それで出会った言葉。

にわたつみ:そうですね。あとは、本名にさんずいが入っているので、それが関心の元って言えばいいですかね。「さんずいの漢字って何があるのかな? こんな漢字があるんだ。あっ!」みたいな。
たぶんそこで見つけたんじゃなかったかな、と思うんですけど。ちょっと正確なところは、覚えていないですねえ。

qbc:潦(リョウ)って漢字も「にわたつみ」って読ませるんですね。「寮」ってありふれた漢字ですけど、さんずいつけたのは見たことなかったんだな。

にわたつみ:ふふふ。

qbc:「はだはだもふらぬ雨ゆゑにはたつみ」。あー、意味は淀み? 水たまりとか。

にわたつみ:あとは枕詞とか。後にある単語を引いてくるための。「流れる」とか、「行く」とか「川」に掛かるって言うらしいんですけど。

qbc:あーそうなるときれいだな。スタートみたいなイメージってことですね。

にわたつみ:私、小学館の日本国語大辞典を愛用しているんです。
高校生の時に使っていた電子辞書に入っていたのがたまたま日本国語大辞典だったというのもあるんですが、学生時代に国文学を専攻していた先輩から「辞書を買うんだったら、国文なら『日本国語大辞典』かな」って話をされたりもして。
日本国語大辞典は、もともとどういった使用法かが書かれているんですよ。語源とか補注も充実していますし。例えば引用元に「狭衣物語」があったりとか。

qbc:なるほど。

にわたつみ:潦(にわたずみ)っていう単語もその日本国語大辞典だとすごく丁寧に書いてあります。
日本国語大辞典は、十巻とか二十巻とかすごい巻数があるやつなんですが、私の持っているのは精選版です。

※日本国語大辞典は全20巻で45万項目、75万用例、精選版は全3巻で30万項目、30万用例

qbc:では、どんなインタビューにしましょうか?

にわたつみ:あの、何を話したいのかな。その日の気分によって話したいことが変わってしまうんだろうなと思って。
自分ではちょっと思いついてなくて、流れにお任せしてしまおうかなっていう、すごいテキトーな感じなんですけど。

qbc:では、無名人インタビューに興味を持っていただいたきっかけは?

にわたつみ:qbcさんが私のnoteへ「スキ」した通知があって、それでqbcさんのプロフィールを見に行ったのがきっかけです。
qbcさんのアカウントのトップページを見て、書かれてる記事のタイトル、写真、全体の雰囲気が「あ、これは気になる」って思って、しかもちょうどその時の記事の配置が、食べ物の写真と記事のサムネイル画像がちょうど配置的に綺麗に写ってたんですよね。

qbc:おおー、ありがとうございます。

にわたつみ:次のページの方がもしかしたら興味に合致するものがあるんじゃないかと思って、続きを見るをクリックして、そしたら、さみしいとか、そういうタイトルの記事があって、あの話を読んで「あ」と思って。
なんとなく、こう、郷愁。郷愁って言うと変ですね。なんか誰かを見つめている話だったのかな。上から俯瞰しているような。
ちょっと、なんとなく、ああ、いいなぁ。この文章……好きだなぁと思って。
で、その人のトップページに「無名人インタビュー」という記事があって、それも強烈だったんですよね。
有名人インタビューはあるけれど、確かに無名人のインタビューはない。私はもともと歴史の分野にも関心があって、歴史で言うと「在野の人」たちが残した記録を一時期調べていたことがあるんですね。知識人であることもあるし、名もなき人というか、私たちみたいな、ただ単に日記をつけていた誰かの記録。どこかへ従軍した人の記録や、日記というかメモみたいな、自分を鼓舞するための文章や、後々の自分の子孫に伝える文章とか。

qbc:この企画をやるにあたって、二条河原の落書とかは視界に入ってましたね。それだけではないですけど。

にわたつみ:名もなき人をわざわざ取りあげてインタビューすることに、あこがれというか、なんでしょう。自分もインタビューをしたい側だったからこそ、興味をより惹かれたっていうか。

qbc:ありがとうございます! 私は、大学卒業は考古学だったんですが、文献史学も興味ありますよ。どちらかというと人類学ですけど。
あと、一般的なインタビューは「メディア側の編集」が入るのが気になってましたね。インタビューを受けた人の言ったことが、インタビューをしたメディア側で編集されてしまうとか。そういう意味では社会学でやるインタビューを参照したりとか。
おおわく、人間の考え方っていうものをどうやって捉えるか、て側面がありますかね。残らない記録をどうやって記録するかみたいな。ころころ変わっていく意識を、どうやって記録していくかと。

3、疲れる

qbc:人文に興味がおありの方なんですね?

にわたつみ:はい。

qbc:noteはどうして始めたんですか?

にわたつみ:今、ちょっと、社会に出ていなくて。

qbc:うんうん。

にわたつみ:ひきこもりなんですよね。外に出れなくて。

qbc:うん。

にわたつみ:外に出れないわけではないんですけれど。外に出る機会がなくて、話す人も限られている。よっぽどの用事があれば外に出られるけれど。あえて自分で外に出ようと思えないっていうところがあって。

qbc:はい。

にわたつみ:私、父とよく話すほうなんですけど。家族構成としては、父と、母と、キョウダイがいて。実家で四人で暮らしてるんですけれど。高校生ぐらいから父と、考え方の話とか物事の見方の捉え方とかそういう話をする機会が多くて。
私は、考え方の話ばっかりするから、父に「お前の考え方変わってんだから、ネットで言えば?」みたいに言われて。
私が思うに、父の方こそ変わってると思うんですけど。

qbc:はいはいはいはい。

にわたつみ:あと、Twitterで見た誰かの考え方とか発言を見て、「あ、このこと考えたい」と思ったものについて書くとか。そこから「これって、どうしてこうなんだろう」とか。
その物の見方、捉え方だけじゃなくて。自分の思考が発展していく、っていうんですかね。考え方広げたいな、深めたいな……というところを書く。思考をまとめて書く場ですね。
Twitterだとどうしてしても140字に縛られてしまう。

qbc:うんうん。

にわたつみ:まあ、Twitterでも連投すれば書けるんですが、心機一転というか、違うアカウントでと思って。違う場所で書いてみるのも、また違う広がりがあるし、見え方も変わってくるんじゃないかなと思って。それでnoteを始めたって感じですね。

qbc:なるほど。

にわたつみ:それから、子どもの頃に、オンラインゲームを始めた時に、手取り足取り教えてくれた大人がいたんですね。本名を教えちゃいけないとか年齢を言っちゃいけないとか。
それで、その人への感謝を書いてみたかったっていうのも、noteを始めた動機の一つですね。
その人と連絡が直接取れないから、誰かの目に留まって、いつかどこかで見てもらえたら嬉しいなあっていう。

qbc:なるほどね。ところで、私も私もひきこもり経験があるんですよ。

にわたつみ:あははは……あるんですか。

qbc:働くのが特に好きなわけでもないので、二十代後半ぐらいの時に、仕事を辞めて数年くらいひきこもりでした。

にわたつみ:まさに私じゃないですか。いやいや、でも今働いてらっしゃるからすごい。

qbc:就職はしたの?

にわたつみ:派遣は、やってました。
結局、話をしてしまうと……疲れちゃうんですよね。他人が持っている悪意を自分も持っているっていうことに気づくと、耐えきれなくなっちゃうんですよね。
なんて言えばいいんでしょうか。その、そんな悪いことなんか考えなくてもいいじゃん、ていうこともあると思うんですよ。

qbc:分かりますよ。

にわたつみ:あ、や、その、えーと。うーん。これに対して共感してほしいとか頷いて欲しいとかではなくて。単純に本当にそう思うんです。

qbc:悪意を持ったり持たれたりとか、悪意自体を自分が持つこと自体が嫌なタイプなんじゃないの?

にわたつみ:あ、や、まぁ。こう、疲れちゃうんです。
仕事自体が、お金を稼ぐことだから辛いことではあるのは、もちろん間違いがないんですけれど。

qbc:いや、そんなことないでしょ。別に辛くないですよ働くことは。
お金を稼ぐことで言えば、働かないでお金を稼ぐ人もいるし。
人間関係に疲れちゃったってことですか?
仕事中、どんな感じだったんですかね?

にわたつみ:仕事中ですか。仕事というか、大学生の時からそうだったんですけど、例えば職場だと、仕事のできない人もいるじゃないですか。仕事の効率化を求める上で、はじきださなきゃいけない人というか。
学生の時のアルバイトの話なんですが、そこの雇い主さんが学生に優しくて、学生にとってはいいアルバイト先だったんです。雇い主さんが私たちと同い年くらいのお子さんを持ってるってこともあったと思うんですけど。

qbc:はい。

にわたつみ:ただ、そこに勤めていた障碍者の人たち、発達遅れの人たちだったと思うんですけど、その人たちが指示した通りにできないことがあって、それで人扱いしてないって言うと変ですけど、そういうところがあって。
私たちだって、間違うことはあるわけじゃないですか。その回数が多いか少ないかだけであって。

qbc:うんうんうん。

にわたつみ:あの落差に悲しみを覚えちゃうんですよね。
自分は普通に接してもらえてるけど、彼らはそうしてもらえていない。アルバイトとして居心地の良い部分はあったけど、ある意味で居心地が悪かったというか。
それって当たり前にあることなんですけど、それがどの仕事をしてもあるというか、耐えられなかった。
仕事自体の辛さではなくて、

qbc:うん。

(にわたつみさん、ちょっと言葉に詰まる)

にわたつみ:すみません、ちょっと声、変な感じなっちゃって。

qbc:いえいえ全然。

にわたつみ:大丈夫ですか?

qbc:大丈夫です。

4、テレワークはチャンス

qbc:先日ちょうど、海外で子供を働かせているような現状を変える活動をしている人のインタビューをしていたんだけど、日本でも身近にあるんだよね。人を人扱いしないことによって起こる問題というか。

にわたつみ:世界で起こっていることは、身近にも起こっているんですよねえ。
その人たちはたぶん本心から助けたいと思って海外に気持ちが向かうのかなと思うんですけど、実際は、純粋に助けたいという気持ちのほかに、すこしの優越感も含まれているのかなと、思わないでもないです。
100%の献身て、ちょっと……いや絶対ありえないみたいな。……あるかもしれないんですけど。

qbc:利他、利己って、むずかしいですね。
むずかしいって言ってるのは、生物的には諸説あるけど、生物の個体同士は基本的に攻撃し合うって考え方もあるし。親も子もね。中心は自分の遺伝子を生かすためだから。
ただ、遺伝子が似かよっているもの、血縁っていうのは助けやすい傾向にあったりはするけど。
相手を守ることで自分も守られるみたいな社会性のある動物たちは、利他的な行動もしますよね。結局は利己的な行動につながるからってことですけど。

にわたつみ:あー。

qbc:そういう利他的行動を、いかに法律とか文化とか、本能以外の部分で定着させていくか、が社会技術なんだよね。
なんで人を殺しちゃいけないかって、自分も殺される可能性が高まるからだよね。目には目を、歯には歯をの復讐の原理だから。

にわたつみ:そうですね。ふふ。

qbc:今すごい文化が高まってるから、生き物レベルでの闘争の話はあんまりしないから抜けがちだけど、社会生活の基礎はそういう本能的行動に端を発しているので。

にわたつみ:誰でしたっけ。哲学者でも、社会は常に戦い続けているみたいなことを言っている人。ちょっと忘れてしまった。

qbc:今、何年ぐらい働いてない?

にわたつみ:まだ一年は経ってないですね。

qbc:全然経ってないじゃない。

にわたつみ:私、何度かひきこもりしてるんです。何年か働いて、心折れてしまって、何年かひきこもりして。

qbc:私も三十過ぎからかな、安定して働けたの。

にわたつみ:本当ですか? じゃあなんか希望を持てる気がする。

qbc:全然大丈夫だよ。別に働かないですむんなら働かなくていいじゃん。なんで働くの? 意味が分からない。
全然大丈夫だよ。私、三十ぐらいの頃、酒呑んで毎日ニコ生やってたよ。

にわたつみ:私、インタビュー受けたの、やっぱり話を聞いてもらいたかったのかな。

qbc:全然話してくださいよ。平気だよ。疲れちゃうじゃん。
私も二年くらい働いてない時は不安だったけど、働きだしたら三ヶ月ぐらいですぐ感覚戻ったし。
実際、他人の悪意を見て辛いっていうのは私も分かるし、誰しもそう思ってる。逆に、それに目を塞ぐ、人間性を麻痺させるのも良いことではないと思うし。
てか、あれじゃない? 話を聞いていたら、仕事する能力自体はあると思うし、人間関係が最小ですむテレワークだったら、できる仕事多そうじゃん。

にわたつみ:ありますかね?

qbc:あるある。
あと別にnoteで人を楽しませるとか、Twitterで人を楽しませるとか、金額の問題を気にしないなら、稼ぐ方法はいくらでもあるでしょう。

にわたつみ:そうですね。生きるという点でお金が必要だ。だから働かねばならない。当然なんですけど、でもやっぱり、働かない期間が長くなると、戻ることに壁ができちゃうんですよね。

qbc:分かる分かる。

にわたつみ:ひきこもりって、ひきこもってた期間は何してましたか? てのが一番辛い。困ったな……みたいな。

qbc:まあ、気にしなくてもいいでしょう。今、ちょっとずつ考え方が多分変わってきてるし。「優れるな、異なれ」って言うし。

にわたつみ:あはは。

qbc:組織の中で、全員が同じ方向に優れていたら、環境が変わった時にすぐにダメになっちゃうんですよ。

にわたつみ:同じ傾向ばっかりだったら、共倒れになっちゃうんですよね。

qbc:そうですそうです。進化の多様性はそのために存在するんです。

にわたつみ:派遣とかが、派遣とかやってましたけど。やっぱり入れ替え激しいと教える方も負担だし、多分覚える方も負担だと思うんですよね。最初に入るって負担はどこも変わらないって思わないでもないですけど。でも。

qbc:そうそうそう。

5、インタビュー

qbc:仕事はしたいって思ってるんですね?

にわたつみ:いや、正直、社会に出たくないですよ。人を見るのも好きだし、人の中で関わりがあることも嫌いではないんですけれども。
どうしたってこう、軋轢だとか、考え方の違う人に出会ってしまうわけじゃないですか。それにこう、うまく適応してかなきゃいけない。相手も適応していかなきゃいけない。

qbc:うんうん。

にわたつみ:でも、適応できてない人だったりとか、適応しようとしない人たちを見てしまうと、いたたまれなくなってしまう。
できないからとか、やらないからとかで排除していってしまうことが、いけないことだと感じてしまって、しんどいというか。

qbc:なるほど。

にわたつみ:すこしの瑕疵もないものなんてないって思ってるんですけど、そういう意味では、やっぱり怖いですね。
一番皮肉を感じたのが、派遣先で、すごく研修授業が充実した会社だったんですけど、そこで社内での人間関係におけるパワハラとか、コンプライアンスをしっかりしていこうというワークショップがあったんですよ。
ところが、私の部署の上司が、考え方が一辺倒と言うか、みんなから呆れられるほどに横暴な、端的に言ってパワハラ上司だったんですけど。その上司も参加しているのに、自分がそういうパワハラ上司だということには理解が及ばないんですね。
そのことに、内心ですごく笑っちゃって。あ、もうダメなんだなと! 思って。

qbc:はいはいはい。

にわたつみ:矛盾を感じたりもしますけど、そういうセミナーをやってくれてるだけその職場環境はだいぶいいんだなって思って。ただ、そのパワハラ上司を辞めさせられもしないんだなということについて、しみじみ感じますよね。
変えられないものはあるんだなと。
話がすごい飛び飛びになってますけども……もう、本当にごめんなさい。このインタビュー、大丈夫ですかね?

qbc:いやいや全然、大丈夫。

にわたつみ:先日、すごく運が良いというか、自分のいとこが「もし今、実家で暮らすのは辛いんだったら、ウチ来る?」って言ってくれたんです。
実家の母が、あんまりこの単語でおさめるのもどうかなと思うけど、どちらかというと毒親で、そこのくびきから自分が逃れられていない。
で、いとこが「ウチ来ないか?」って言ってくれて、それに乗ると、いとこも実家住まいなので、つまりおばさんのお世話にもなるので。

qbc:はいはい。

にわたつみ:それにしても、金は稼がないと暮らせないよな……だから、早く外に出なきゃなと思いつつ、いとこの申し出に素直に答えられるわけでもなく。
全面的に甘えるというのも、さすがにこの歳してできないとかってちょっと思って。だから動かなきゃな、って悩みつつ、うつうつと、noteを見つつ、note書きつつのところで。ちょうどインタビューを受けるというきっかけがあったので、ちょっと面白そうと思って。
もしかしたら、後押しをしてほしかったというか、弾みをつけるために何か違うことをしてみたかったみたいな、それもあったのかもしれないですね。

qbc:うんうんうん。

にわたつみ:インタビューを受けることなんて、普通の一般人って、そうそうないじゃないですか。たとえば何か事故現場に居て、あの報道機関の誰かが「あなた見てました?」みたいなインタビューはあるかもしれないにせよ。何かのツテがあって、「何かこういった話に興味がある人探してるんだけど」って新聞社の人にインタビュー……とか。
そう。そう、だから、でないとなかなかインタビューの機会なんてないと思うんですよね。

qbc:私はだからね、すべての人がインタビューを受けるべきだと思ってこの活動をしていますよ。今、私以外のインタビュアーを養成したいなと思っています。

にわたつみ:あはは。そうなんですね。

qbc:別に、隣のいる人にやってもいいでしょう。家族とか友人に。

にわたつみ:いやまぁ。どうですかね。

qbc:テクニックとかノウハウとか、覚えなきゃいけないことは、多少やっぱあるでしょうけど。

にわたつみ:なんですかね。ちょうどこのインタビューを受ける直前ぐらいに、一人で考えることがあって。夜、深夜。

qbc:うん。

にわたつみ:誰もが寝ている、いや起きてる人も当然いるけれども、深夜に誰かと話したいなって思ったんです。けど、でもそれって誰でもよくて。逆に。なんですかね。見知らぬ誰かと話したいなと思ったんですよ。

qbc:うんうん。

にわたつみ:で。なんとなく自分が、この、話を聞くことって結構好き。話すのも好きなんですけど、聞くのも好きで。
それって、まぁ。人の話って自分が経験したことのないことだから「あ、そんな話もあるんだ」って思って、素直に受け止められる。と言うか、その、すっとんきょうな話でも「え、そんなことがあって……。え、待って待って。その話の続きどうなるんだ?」みたいな感覚で聞いていくことができて、楽しいと思うんですよねすごく。

qbc:うんうん。

にわたつみ:やっぱり、話す人は話す人で、話したいから話しているし。だから、そう。その人が本当に話したいと思ってることを引きだすために、うまくつっつけるか分からないですけど、コレってどうなの? ってこう、質問でつっつき続けてくことって、結構……自分はインタビュアーの仕事をしているわけではないんですけど、その、人の話を聞いていく上で、そのつっつくことがとても楽しいことというか。

qbc:うんうん。

にわたつみ:あの、自分が、相手の知識を、ある意味吸収してるというか、奪っているというか。その経験を、なんていうんですか、自分の経験則の一つに加えるみたいな。それを自分の中で統合することで、あの、自分の経験値って、実は広がってくんじゃないかなってずっと思ってて。

qbc:うんうん。

にわたつみ:だから、インタビューしてる人って実は経験値めちゃめちゃ高いんじゃないかなって。

qbc:インタビューはすごく楽しいよ。

にわたつみ:経験値高いっていうか、その、人として、人としてっていう言い方、ちょっとおこがましいですけど、なんかその、なんですか、こういった考え方もあるよ、それとは違う見方もあるよって、その。一つのリンゴを見る時も、上から見てもいいし、下から見てもいいし。

qbc:そうだね。

にわたつみ:ね。どんな見方をしてもいい。
人から話を引きだすことに、興味はもともともないわけではなくて、だからちょっと、インタビューする人と話してみたいってのもありました。やっぱり、インタビューを受けてみたら、きっとインタビューすることに通じてくるだろうなと思ったし。
カウンセリングみたいなことも、できればいいなってちょっと思ったりもしましたし。

qbc:うん。

にわたつみ:カウンセリングって、そこまであらたまったものじゃなくて、ただ、聞いてほしいという気持ちを受けとめてあげるような。
私が聞き手としてふさわしいかどうかは別にして、なんとなく、見知らぬ、何の責任もない誰かに聞いてほしい話が誰かにあるんだとしたら、聞いてあげられたらいいな。自分に余裕があるのであれば、聞いてあげられたらいいなって。
なんかちょっと、そういったことも考えてみたとか、考えてみましたかね。なんか。

qbc:ちょっとやってみますか? じゃあ。

にわたつみ:え、どういうことですか?

qbc:インタビュアー。今にわたつみさんが言ったとおりのこと。

にわたつみ:あっ、言われたら、やりたい。

qbc:まずは文字起こしからだけど。

にわたつみ:文字起こしとかすごく好きです。

qbc:やったことありますか?

にわたつみ:趣味でやるのが好きなんです。インタビューはやったことがないんですが、例えば映画とか、声優さんのラジオとか。
昨日もちょうどnoteに書こうかなと思ってたんですが、ディスカバリーチャンネルの予告編で、車の整備士さんとディーラーさんの1分とかそれくらいのやり取りがあって。その英語の部分をちょっと一生懸命聞いて、これこう言ってるのかな、この単語を使ってる、みたいなのを……やっていました。ただ、英語がすごくしっかり聞き取れるわけじゃないので、多分できないんですけど。できないんですけど。

qbc:そういうの得意そうだもんね。

にわたつみ:すごい好きですよ。いや、もう、すごい私、「え! 誤字脱字とかの確認するのめっちゃ好きなんですけど!」みたいな、そんな。自己アピールしたい。

qbc:じゃあとりあえず、自分のこのインタビューをやってみますか?

にわたつみ:あっはっはっは。いいですね。私の能力チェックに丁度いいかもしれない。
今後、使っていただけるかというと変ですけど。

qbc:じゃインタビュー的には、これで仕事が見つかったっていうことで終わりにしましょうか。文字起こしの細かい打ち合わせはこの後にすることにして。

にわたつみ:あっはっはっは! 仕事あるとは思わなかった。

qbc:とりあえずこれで終わり。ありがとうございました!

にわたつみ:ありがとうございました!

(編集協力:にわたつみ)

▷アウトロ

で、このあとどうなったかというと、色々あって「文字起こし」はこの1回だけになっちゃったんだよね。いや正直、文章を書くという点においては優秀な力を誇っていただけに残念。。てまあ、また今度お願いしたいな。
てかほんとね、こないだの「共同で小説を書こう」という企画と言い、なんか人とコラボすると上手くいかない気がする。。まあ他の文字起こしの方とは順調だからそんな気にすることないか。。
また自分の話をしてしまった。

あらためていかがでしたでしょうか”にわたつみ”さん回。他人の悪意にふれると疲れるというのは非常に私もよく分かります。ただ、年を取るにつれて、それに鈍感になっていったので耐えられるだけ。あるいはその環境自体をねじまげるように変えていく力を備えたからか。
まあ分らんよね。
ただひとつ、インタビュー後半、ほんとにもう一人の無名人インタビュアーが生まれるんじゃないのか、と思ったのは覚えてます。てか3か月前にこんな感動的な(自分的にはね、みなさんにそれが伝わったかは分からないのですがね)インタビューやっていたとは忘れていた。

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