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無名人インタビュー:セクシャルマイノリティインタビュアーの人

ソラリスさんインタビュー。彼女はメンタル病んで今無職で、適応障害って診断されて、いわゆるひきこもりで、て思ってるんだけど、彼女の企画のセクシャルマイノリティインタビューっていうのが、とてもおもしろかったのでタイトルはそれにしました。
無名人インタビューに影響されて企画したっていうのもうれしいし、他人をインタビューすることで、ソラリスさん自身のことも語っていくというのも、ひじょうに良いと思った。
なんでかって、インタビューは、インタビュアーは、鏡だからですよ。インタビュアーはインタビュー参加者の鏡となり、参加者はインタビュアーの鏡になる。
合わせ鏡の乱反射の中で、自分の心というのは浮かびあがるのでございます。
それが乱歩の鏡地獄になるのか、近代的自我の発見になるかはあなた次第。
楽しんでいただけたならばもっけの幸い。


今回ご参加いただいたのは ソラリス さんです!
Twitter Essay

1、適応障害

qbc:どんなインタビューにしましょう。

ソラリス:前々から無名人インタビューは知っていたんですけど、受けるのは、就職して生活が安定してからのほうが良いかなと思ってたんです。
ただ、インタビュー受けている方にはひきこもりの方とかもいらっしゃって、すごい興味深かったんです。私自身、半ひきこもりみたいな状態で、仕事を辞めて無職の状態ではあるので。
そういう人は他にもいると思うので、そういう人の役に立つというか、ちょっと励みになればうれしいかなと思って、出ることにしました。

qbc:ありがとうございます。
なるほどね。今、どういう状況なのですか?

ソラリス:新卒で2年間IT企業の正社員で働いていて、コロナになってから辞めて、その後去年の8月ぐらいに派遣をしたんですが、あんまり合わなくって結局1ヶ月くらいで辞めました。
そのときに初診で「適応障害」みたいな診断を受けまして。「適応障害」って要するに適応しようとし過ぎて鬱っぽくなるというか、精神的に適応しようとし過ぎる人がなるらしいんですけど。
本当は、精神科行ったときに、薬をもらってがんばろうと思ってたんですけど、医者の人に休職したほうが良いとか、1ヶ月ぐらい休んだほうが良いとか言われて。派遣だから休んだらもう辞めるしかなくなっちゃうので、そう言ったんですが、お医者さんからは休んだほうが良いとしか言われなくて。じゃあ、もう辞めちゃおっかなあって心が折れて、結局辞めてしまったんです。
派遣を辞めたこととか、正社員辞めたこととか、けっこう後悔している部分もあるんですけど、一応、今は、前向きに考えて、また別のキャリアっていうか、やりたいことをやりたいなって考えてます。ライターとかそういう、モノを書く仕事がしたくて、そういう仕事を探したりしてますね。

qbc:今、気持ちの面はどうなんでしょう?

ソラリス:無職の期間が延びてきているので、そんなに明るくはないですけど。
「適応障害」の診断書があったので、今は「就労移行支援施設」っていうところに通っています。精神障害者とかだと障害者手帳をつくれる人が多いんですけど、「適応障害」だと手帳をつくれなくて。

qbc:職業訓練校みたいなところなんですかね。

ソラリス:あー、そうですね。職業訓練校よりも、わりと障害者の方が通うところなので、社会復帰するための勉強というか。
生活習慣を直すとか、マインドフルネス的なことを学ぶ感じです。

qbc:瞑想の時間があるってこと?

ソラリス:瞑想もありますね。はじまるときに3分ぐらい瞑想したりとか、体調をチェックしたりとか。知識とかスキルを身につけるっていうよりは、精神的に健康を保つっていうか。

qbc:なるほどね。

ソラリス:長く仕事を続けられるための勉強をするって感じですね。

qbc:なんか、今、ソラリスさんの話しぶりだけ聞いていると、楽しげな感じがするんですけども。

ソラリス:本当ですか? 不思議ですね。

qbc:すごい落ち着いて、なんていうか、暗い底に沈んでるって感じてはないかな。

ソラリス:あー。そうですね。声がわりと明るめだからかもしれないんですけど。まあでも、そんなに、すごい人生どん底っていう感じでもないんです。
ただ、経歴的にはわりとどん底っていうか、noteとかでフリーターの人とかけっこういるので、そういう人の記事とか読んだりしてるんですけど。わりと無職期間とか、けっこう私みたいに半年以上ある人は意外とすくなかったりして。
なんか絶望的というか、ブランクの間に何をしていたかとか、そういう話をしなきゃいけないってなると面接も億劫ですし。

qbc:子ども時代はどんな感じでしたか?

ソラリス:みんなと一緒みたいなのが苦手で。友人同士で群れるとか、一緒にやるとか、苦手だったかなと思うので。
学生時代は部活をがんばってたんですけど、結局、学校を卒業してからは全然連絡をとってなかったり。
学生時代の友人とまったく、今、連絡とっていなくて。

qbc:部活は何をやってたんですか?

ソラリス:高校時代にマーチングバンド部に入ったんですよ。関東大会とか出たりとか、賞を取ったりとかするような学校でした。
マーチングって動きながら演奏しないといけないので、ぶつかりそうになったりとか、けっこう大変なんですよね。上から見たときにきれいに見えるようにとか、円をつくったりとか、そういう競技みたいなところがあるので。

qbc:なるほどね。

ソラリス:歩幅とかもミリ単位で決められていて、ちゃんと歩幅を合わせるんです。タイミングとか、そういうの全部合わせてやらなきゃいけなかったので、体育会系でもあって。朝練とかもあるし、引退も秋頃で遅かったので、勉強も大変でした。高校時代、よくがんばったなと思うんですけど。
そのあとはなんか、大学でちょっとダラけたというか、もう少しがんばれたのになっていう感じで。正社員になったけども、また無職になって。
学生時代、もうちょっとなんかやれば良かったなって思ったりはしますね。

qbc:まあ、大丈夫ですよ。

ソラリス:まあ、なんとかなるかなあとは思うんですけど。

qbc:なるなる。今大丈夫だよって言っても、全然そんなリアリティないんだけど。なんていうのかな、失敗することに対する不安感ってあるものですよね。
不安なんだけど、それは失敗に慣れてないからで。それは慣れていくと平気になっていくものですよ。

ソラリス:あー。なるほど。

qbc:でもさ、普通に部活とかやってるし、全然人としゃべれないとかそういうことじゃないんだよね。

ソラリス:そうですね。苦手っていうか、できればライターとか、在宅とかで。
ゆくゆくはフリーランスとか、そういうのに憧れてますね。

qbc:人と話すことは?

ソラリス:人と話すことは、たぶん嫌いじゃないと思うんですよ。精神科とかで診断もらったときに、人と話したりすること自体が嫌いなわけじゃなくて、やっぱり鬱状態が強い、みたいな感じの診断。っていうか心理テストみたいなの受けて。私、べつに人と話すの嫌いなわけじゃないんだなとは思ったんですけど。

qbc:ITは、エンジニア職だったんですか?

ソラリス:エンジニアで採用されたんですけど、運用部署に所属することになったんです。もともと同僚が4人いて、私だけ東京のほうに行くことになってたので、不安もあって。

qbc:引っ越してってこと?

ソラリス:引っ越しはないですね。通える距離だったんです。
けど、私、エンジニアの研修とか受けて、あまりプログラミング向いてないなと思ってたので、けっこう不安があって。もともと研修とかを受けてた場所で同僚たちが一緒にいて、っていうほうが安心かなっていうのもあったんですけど。エンジニアになりたくて入ったので。

qbc:プログラミングしたかったの?

ソラリス:そうですね。普通は入社したら開発とかプログラミングとかしたくて入るもんなので、自信を失ってはいたんですけど。やっぱり運用よりもエンジニアとして仕事してる同僚とか、けっこううらやましくて。

qbc:そうなんですね。

ソラリス:本社のほうに行かされなければ、私もエンジニアとして普通の部署に配属されればがんばろうと思ってたんですけど。本社に行くのが心細かったっていうのが一番大きかったので。やっぱりうらやましいなと思っていて。結局、運用の仕事にやり甲斐を感じられなかったっていうのと、ストレスがけっこうあったので結局辞めちゃったんですけど。

qbc:何がダメだったんですか?

ソラリス:アラームが鳴ったら対応しなきゃいけないとか、受け身というか。鳴ったら対応してヘルプデスクも鳴ったりしてたら対応しなきゃいけないし。エンジニアにつないで間違えたら怒られるし、みたいな感じ。なんかそういうのがストレスになって辞めたっていう。

2、セクシャルマイノリティインタビュー

qbc:インタビューをやってらっしゃいますよね? そのことをぜひ聞きたいと思って。

ソラリス:そうですね、インタビューに興味を持ちはじめたきっかけが、無名人インタビューでして。

qbc:おお! ありがとうございます。

ソラリス:無名人のインタビューは、もうやられていたので。自分がインタビューするとしたら、誰が良いかなって考えたときに、セクシャルマイノリティの人とけっこう私、Twitterでつながってたので、そういう人たちにインタビューしたんです。
私自身もマイノリティ側の人間なので、記事にして自分のことも書いてます。
ちゃんと生活が安定したら、再開したいんです。原稿が若干まだ溜まってるんですけど。

qbc:これ、ものすごいおもしろいインタビューだと思います。

ソラリス:本当ですか? Twitter上でも思ったよりも評判が良いっていうか、読んでくださる方がけっこういて。

qbc:多いと思いますよこれは。良いと思う。

ソラリス:このインタビューで話すか迷ってたんですけど、私もアセクシャルっていうセクシャルマイノリティなんです。アセクシャルは、他人に対して性的欲求を抱かない人で。
恋愛感情も抱かないっていうふうに訳す人もいるというか、そういう意味合いも含める人が日本人は多いみたいなんですけど。一応、アロマンティックっていうのが他人に恋愛感情を抱かない人で。

qbc:性欲じたいはあるの?

ソラリス:そうですね、性欲がある場合もあるので、そこで分けてはいるんですよね。

qbc:じゃあ、冷たい男性って、恋愛感情はないけど性欲だけは強い、みたいなのはアセクシャル?

ソラリス:恋愛感情はないけど、性欲があるだったら、アロマンティックですかね。

qbc:ほうほう。

ソラリス:私もちょっと混ざっちゃうんですよ。恋愛感情はあるけど、性欲はないっていうのもありますし。っていう感じで、私の場合は両方ないので、普通に恋愛感情も性的欲求も抱かないと。だからわかりやすいんですけどね。

qbc:セックスってほんとおもしろいね。私は比較的セックスはマジョリティだと思うけど、ヘテロセクシャル同士でも、みんながみんな合うってわけでもないからさ。

ソラリス:あ、そうなんですか? 合わないって?

qbc:もー単純に、そんな性癖のセックスするの? って。

ソラリス:あー。

qbc:性欲に関しても、胸が大きい女の子じゃないとダメとか、背がちっちゃい子じゃないとダメとかいろいろいるし。
大枠は、ヘテロとホモとかで別れてるかもしれないけどさ、基本みんなバラバラだと思う。

ソラリス:あー、なるほど。

qbc:こういうのって、成長しながら、ちょっとずつズレてくるもんなのかな。

ソラリス:どうなんですかね。私の場合は、気づくっていうか、だんだん成長してっても恋愛とかに全然興味が持てないから。なんか周りと違うのかな、みたいな感じで気づいたんですけど。
他の人は、普通に付きあったりとかしたことがあって、そのときに「やっぱり無理だ」って気づいたりとかいう人も、けっこういますね。
私はなんかもう、本当に気持ち悪いなあって思っちゃったりとかしました。

qbc:恋愛できる人のほうが、実はすくないんじゃないかって気がするんだけどね。

ソラリス:あー、それはちょっと深いですね。でも、なんだかんだみんな結婚して、子ども産んで、とかやってるじゃないですか。

qbc:でもさ、セックスレスになる人が多いってことは、やっぱそうなんじゃないの? 好きなんじゃないんだよ。同じ人と20年間ずっと月に数回セックスし続けるって、子ども関係なしに、それができないなら好きじゃないんじゃないのかな。

ソラリス:そうなんですね。なんか、まあ親で想像したくないですし、セックスとかそういうのは、全然自分がやりたいとかは一切思わないんですけど。でも、性欲がある人とかはやりたいものなんだなあっていう認識があって。
私の場合は、なんか、子ども産んだら、セックスする必要ないんじゃない? みたいな。そのへんはドライなので。セックスって、そういうのって、子どもを産むためにやるんじゃないの? みたいに思っちゃうので。まあ、産んだらやらなくなるのは当たり前かなって思うんですけど。そういうのが好きな人もいるし、人によりけりだよなっていう。

qbc:異性に魅力を感じないってことを言ってた人もいたなあ。男に言い寄られると気持ち悪いって。

ソラリス:あー。女性のほうが多いんですよね、そういうタイプって。男性はホルモン的な理由なのかもしれないんですけど、性欲が強い人が多いですし。まあ、男性の場合はただそういうことをあんまり言わないだけじゃないかっていう説もあるんですけど。

3、適応障害

qbc:それでは、未来のことをおうかがいします。5年後どうしようとか、10年後こうなっていたい、みたいなイメージはありますか?

ソラリス:イメージ的には、副業でライターをやるか、ライターの仕事ができるようなとこに就職するか、で迷ってます。
書く仕事をやりたいっていう気持ちが強いので。書く仕事を、副業でもなんでもやりつつ、安定した生活を送るっていうのが、とりあえず目標です。
私、けっこうリセット癖みたいのがあるんですよ。人間関係とか、会社とか。社会というか。辞めて、スッパリ切って、新しいことをしたくなっちゃうっていう部分があるので。環境を変えようとしちゃうんですね、自分を変えるというよりは。

qbc:すごい行動力ですよね。

ソラリス:ただ、そのあとで不安になっちゃったりとか、後悔しちゃったりとか、そういうのがあるので。なんかやっぱり安定して自分が生活していけるっていうのを、noteとかで証明していって。自分はこんなだったけど、今ちゃんとやってるよ、みたいなことが言えたらいいなと思ってブログをやってます。
あと、エッセイの投稿したりとかもしていて。「かがみよかがみ」っていうサイトでエッセイ投稿して、それで一昨日ぐらいに掲載していただいて。もう一つ書いたので、それも掲載されるはずですね。

qbc:いいじゃん。

ソラリス:そう、地味に収入にもなるからいいなと思って。けっこう毎月なんかしらの賞があるんで、その賞で受賞すると5万円もらえるとか、けっこうやってるので。ちょっと挑戦したりとかしてます。

qbc:最後に、言い残したことはありますか?

ソラリス:個人的に、共感できそうだなと思った言葉があるんですけど。「誰もが世界を変えることを考えるが、誰も自分自身を変えることは考えない」って。トルストイっていうロシアの小説家の言葉らしいんですけど。
自分は環境を変えてリセットしてやり直したいって思っちゃうほうだったんですけど。環境とかを変えるよりも、自分自身を変えたほうが良いよ、みたいな感じの言葉で。

qbc:うん。

ソラリス:環境ってけっこう妥協しなきゃいけないところとか、いっぱいあると思うんですよね。仕事とかも全部が理想の仕事ってなかなかなくて。嫌な上司とか、嫌な同僚とかいる可能性のほうが高いので。そういう環境でも自分を変えて、精神力とかそういうのを身につけて続けて行けたら良いのかなっていう気持ちが、今はあります。今は職業選びとか会社選びとかで、けっこう考えてからやろうと思っています。面接も受けたいんですけど、就労移行のスタッフさんとかには、ちょっとまだ早いんじゃないって言われたりとかしていて。
私自身、まだ定まってないところがあるので。ライターとかになるにしても、覚悟を決めないといけないなあと思っているところですね。なので、おなじように悩んでいる人がいたら、やっぱり自分が強くなるというか、変われば、なんとかやっていけるよ、みたいなことを示せればいいなあって思ってます。

qbc:ありがとうございます。しっかり考えてらっしゃるんですね。

ソラリス:一応、考えてました。いろいろ。

qbc:ありがとうございました。

ソラリス:ありがとうございました。

あとがき

インタビュー楽しかったありがとう!
で、楽しさの勢いのまま、無名人グッズ企画に参加してもらって、いろいろごたごたが起こってしまって、企画チームは解散。なんか迷惑をかけてしまったかなって反省している。
彼女のインタビュー企画自体は、まえがきでも書いたけど、ほんと良くって、アップされるのを楽しみにしている。
見逃してたらごめん。
鏡のお話でした。

編集協力:有島緋ナさん 白原すみさん

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