
ちょっと病んでるときの方が綺麗な文章を書けるなっていう気がする人
むかしむかし、ある村に、闇華(やみか)という不思議な才能を持つ若者が住んでいました。闇華は心が病んでいるときにこそ、ひときわ美しい文章を紡ぎ出すことができました。
晴れやかな日には平凡な文章しか書けませんでしたが、
心が暗いとき、
寂しいとき、
苦しいとき、
筆から溢れ出る言葉は、まるで夜空の星のように輝きました。
村の賢者は闇華に言いました。
「深い闇があるからこそ、光は美しく見える。あなたの言葉は、闇を照らす星なのかもしれませんね」
闇華は気づきました。
自分の苦しみは、
深い感性となって、
美しい言葉となって、
人々の心に届いていくのだと。
後に闇華はこう語りました。
「心の痛みは、時として美しい言葉に生まれ変わる。それは、苦しみを光に変える魔法なのかもしれません」
そして「闇深き心に、美しき言の花咲く」ということわざが、この村から広まっていったとさ。
めでたし、めでたし。
と思う2025年1月27日10時28分に書く無名人インタビュー995回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】
今回ご参加いただいたのは 憧憬 さんです!
年齢:20代後半
性別:女性
職業:編集・ライター
現在:もう内側にあるもの全部表現してやるみたいな、そういう気持ちで書いてます。
qbc:
今何をしている人でしょうか。
憧憬:
普段はIT系のサービスでB向け/C向けのマーケティングやブランディング、あとその文脈でコンテンツの編集・制作みたいなこともしてます。
qbc:
その他していることはありますか。
憧憬:
創作活動としてnoteで日記や小説を書いたりとか、あと最近始めたポッドキャストの収録したりとか。
qbc:
他にはありますか。
憧憬:
それ以外は、本を読む、ポッドキャストを聞く、映画を見る。あたりですかね。
qbc:
どんなものですか。
憧憬:
本は小説と日記が多いです。小説は純文学系で、芥川賞作家が好きです。最近だったら、『おいしいごはんが食べられますように』で受賞した高瀬純子さんの新作・「新しい恋愛」という作品が好きでした。日記の本だったら、ZINEという商業出版でなくて個人で制作してるリトルプレスがあるんですけど、色んな方の日記を買って読んでますね。
ポッドキャストは、歌人の上坂あゆみさんの「私より先に丁寧に暮らすな」っていう番組が好きすぎて。それをずっと過去回とか含めて、ずっと聞き回しているって感じです。
qbc:
「私より先に丁寧に暮らすな」はどんなところが好きですか。
憧憬:
何だろう。テーマの選定も好きだし、上坂さんと鵜飼さん(京都のお坊さん)の掛け合いが楽しくて。例えば、「恋をするのではなく落ちたいからパートナーがいない人の話」とか、なんだろう、「優しすぎるという理由で振られてしまう人の話」とか、いろんな生活の中でモヤモヤや違和感を解像度高く喋ってくれるところが好きです。
qbc:
映画は何ですか。
憧憬:
映画はミニシアターでやってるようなニッチな作品を観ることが多いです。でも最近見た作品は結構有名で、「ロボットドリームズ」というスペイン・フランス合作のアニメーション映画です。セリフなし。孤独に耐えかねた犬が通販で買ったロボットの友達と仲良くなったり別れを体験したりという人間ドラマだったんですけど、この作品がめちゃくちゃ好きで今一番ハマってます。
qbc:
最近はどんな気分で生きていますか。
憧憬:
最近の生きている気分。創作でめっちゃやりたいことがいっぱいあるのに、時間が足りなすぎます。読みたい本も映画も発信もあるけど、わーみたいな感じになってます。
qbc:
毎日わーってなってるんですか。
憧憬:
平日は結構仕事が忙しめなのでほぼ仕事だけの感じなんですけど、土日になると時間が多少あるので、ここで何かやりたいことが大量にあるけど、どれからやっていこうみたいなのでわーってなります。
qbc:
ZINEはどこで買っていらっしゃいますか。
憧憬:
ZINEはイベントで買うことが多くて。それこそ昨日もZINEフェス東京っていう浅草の近くでやってた500組規模のイベントで買ったり、さっき話してた日記は毎年、下北沢でやっている日記祭という日記ZINEだけ集めたイベントで買ったりしてます。
qbc:
日記はいつからその面白さに気づいたんですか。
憧憬:
去年の10~11月頃に葉山莉子さんの『ティンダー・レモンケーキ・エフェクト』という本に出会ったのがきっかけでした。マッチングアプリのTinderでマッチした人に日記を送りつけた著者の葉山さんの日記で、もう送った日記をまとめた本ですね。
qbc:
メッセージに日記を毎日送るってことですか?
憧憬:
そうです、マッチした人に日記を毎日送っています。日記を送り始めた背景が、マッチングアプリってどうしても女性は、男性から性的な視線にさらされる、写真だけ見てやれる・やれないみたいな判断されることってあると思いますが、そういうのが嫌すぎて、その世界を変えてやるということで日記を送りつけるっていう行為を始めたみたいな、なんかそういう思想で始められた記憶です。
その思想も面白いし、文章も美しくて綺麗で。葉山さんも美術館・映画とかサブカルとかに詳しいんですけど、そういうのが色々と載っていたりして。中央線が好きで中央線に関わるポッドキャストやってるんですけど、葉山さんは当時、高円寺に住んでたので付近のカフェとか飲食店が出てくるところも楽しくてどハマりして。日記って面白いんだなと知り、書いたり買ったりするようになりました。
qbc:
他に日記の良さってどんなところですか。
憧憬:
日記は自分の生活や気持ちを大事にできるものと思っています。日記をつけないと本当に忙しい日々って本当に重要なことは覚えてるけど、それ以外の書かれなかったものや、思い出せなかったものはどんどん抜け落ちていくと思うんです。日記をつけることで、あのとき本当はこう思ってたとか、あのときのこれが嬉しかったとか、誰にも言うまでもないんだけど、大切にしたいことをしっかり認識できたり、形に残せたりするものだなと思っていて。それが好きだなって思います。自分で書くときはこういう良さがあると思いますし、人の日記となると、その人の誰にでも言うまでもないちょっとした面白いことや考えてること、些細な生活のあれこれとか知れて面白いですね。
qbc:
ご自身のnoteは日記、エッセイが中心ですか。
憧憬:
はい。
qbc:
いつからされていますか。
憧憬:
日記を書き始めたのは1年前ぐらいからですが、全然続かなくてやったりやめたりを繰り返してますね。シンプルに日記を毎日書き続けるっていうことが大変で、何回もくじけてるっていうのもあるし、それに日記を自己表現や良い文章書きたいっていうモチベーションでやってるんですけど、自分の生活を綺麗な文章にするってなかなか大変で。いいもの書きたいのに書けないみたいな理想と現実のギャップから、苦しんで筆が止まるみたいなことをよく繰り返しています。
qbc:
noteを続けてみて今どんな感じですか。
憧憬:
毎日書き続けたときは結構しんどくて、リアルタイムであったこと書こうとすると時系列であったことしか書けないとか、深い考察とか入れられなかったんですが、1週間ごとの日記をアップするっていうスタイルにしてからは内省したり考えたりする時間が生まれて、そこからはすごく楽しくなってきて、2ヶ月ぐらいそのペースで続いているのでこれからもやっていきたいなと思ってます。
qbc:
noteを書いてるときの感情は?
憧憬:
もう本当に無心。無心になって書いてます。何だろう、もう内側にあるもの全部表現してやるみたいな、そういう気持ちで書いてます。
qbc:
内側にあるものを書いてやるみたいなのはいかなる理由で、いつからですか。
憧憬:
いつからかはわからないですが、普段は自分の気持ちや感じたことを口頭で伝えるのが苦手だなと思ってて。だからか内側に言えなかったあれこれとか、すごく感じてるけど、誰にも言いたくない感情や考えがいっぱい溜まってる感覚があって。それをある種、昇華させる方法という感じで創作や日記を捉えてるところがあり、こういう気持ちが生まれたのかなって思います。
qbc:
ポッドキャストはどんな感じですか。
憧憬:
ポッドキャストは中央線にまつわるカルチャーを発信する感じですね。さっき言った「私より先に丁寧に暮らすな」が好きすぎて感化されて始めたんですけど、配信は楽しいし、反応もいただけるんですけど、音声編集も0から1人で勉強しながらやってるので、労力が高すぎて更新頻度が全然目標数を担保できてないと思っていて。本当は2週間に1回ぐらいアップしたいんですけど、1回目アップから2回目アップまでに5ヶ月も経ってました。
qbc:
話してる内容には満足できていますか。
憧憬:
内容は満足しきれてないかもしれないです。本当は中央線をテーマにしてるから中央線のカレーみたいな感じで、結構1テーマを深く喋りたいんですけど、よく考えたら中央線好きだけど中央線の何かっていう軸でいろいろ集めきれてない気がして。そうなるとこの映画館が良かったとか、最近日記で考えてることという感じでテーマが散らかってきて、どこに向かっていくんだろうという感じで。やりながら番組の方向性は悩んだりしてますね。
qbc:
ちなみに今一番お気に入りの中央線の駅はどこですか。
憧憬:
西荻はやっぱり好きですね。そもそも、めちゃくちゃ静かなところが好きなんですよ。うるさいって言うとあれですけど、ガヤガヤしてるところはあんま好きじゃなくって。西荻はすごく閑静で、文化的な人もいっぱい住んでて、喫茶店や本屋さんも色々あるし、すごい理想のものが全部詰まってるなって思います。
qbc:
あんまり行きたくはないけどよく行くところは?
憧憬:
立川(笑)。いや行きたくないっていうわけではないですが、文化的な街っていうイメージは強くないですね。でも行きやすいし、本屋さん・家電・生活に必要なものを買いに行けるからいいなと思ってて。
qbc:
新宿よりかっていうふうになりますね。
憧憬:
そうですね。立川自体は好きで、グリーンスプリングスという商業施設もお気に入りです。あとIKEAもあるし。
qbc:
人から性格はなんて言われますか。
憧憬:
性格は真面目、好奇心旺盛、行動力がある、素直。
qbc:
自分では?
憧憬:
ああでも、好奇心は一番強いかなと思ってて。私飲食店、ご飯も好きなので人とご飯行くときのお店選びに命をかけてるんですけど、初めて行くお店なら基本はネットにある情報をほぼ全部ぐらい見るようにしてて。Google、食べログのレビューもそうだし、Twitterでお店の名前検索かけて多分出てくるツイートをほとんど読んだりしています。色んな好きなものを色んな角度から調べたり、考えたりするのが好きです。
あとお酒のクラフトジンがすごく好きで。ビールのクラフトビール版みたいな、ジンの色々とこだわりがあるバージョン。少量生産のものを開拓するのが好きなんですけど、色んなバーに行って、珍しいジン出してくださいという感じで、面白いジンを掘り進めていくのが好きで。昨日もなんか昆布を使ったジン、桜餅の味のジンとかいろいろ飲んできて、色々開拓していますね、好奇心から。
qbc:
そのバーはどこにあるんですか?
憧憬:
昨日行ったバーは小岩ですが、普段よく行ってるのは中目黒のAntonicというジントニック専門のお店です。
qbc:
全部同じトニックウォーターで割るんですか?
憧憬:
そうですそうです、基本はジンはトニックで割って飲むのがポピュラー。そこのお店は芸能人、千原ジュニアもきたりするし、ジンの作り手も来たりして、ジン好きの中では結構有名な場所ですね。
qbc:
距離の近い身近な人から言われる性格はありますか。
憧憬:
距離の近い人、うーんなんだろうな。でもいちいち真に受けすぎる、とかは結構言われます。そんな相手がどう思うかを深く考えて喋る人なんてそんなにいないから、ちょっといなせるようにならないとねみたいな感じで言われます。
qbc:
好きな食べ物を教えてください。
憧憬:
スパイスカレー、ビリヤニ、明太子。カレーは食べに行くだけでなくて、自分で作ったりもしていて。1回下北沢の近くでシェアキッチンを貸し切って間借りのカレー屋をやったりとか、定期的に友人に振舞って食べてもらったりとか。
qbc:
ビリヤニは作るんですか?
憧憬:
ビリヤニは、あんまり作れてないです。けど食べに行くのが好きで、高円寺にエリックサウスっていうカレーの結構有名なお店があるんですけど、それもビリヤニに特化したビリヤニセンターっていうのがあって、そこで食べたビリヤニの味が忘れられずそこに通い詰めてます。
qbc:
ビリヤニ専門店ってあるんですね。
憧憬:
はい。毎月創作ビリヤニみたいな感じで、新しいビリヤニとか発表していて。
qbc:
ラーメン屋みたいな(笑)
憧憬:
そうです。海老使ったビリヤニとか、牡蠣を使ったビリヤニとかなんかいろんな。ビリヤニってこんなものも入れられるんだなと、そこで学びます。
qbc:
明太子は?
憧憬:
明太子はそこまで詳しくはないんですけど、普通に好きで買って食べてって感じですね。スーパーの明太子あんま好きじゃなくて、良い魚屋さんとかちょっといいお店で買うようにしてます。
qbc:
これは中央線とは関係はないですよね。
憧憬:
そうですね、明太子は中央線とあんまり関係はないかも。
過去:拾ってくれたのが文芸部の友達たちで、そこで初めて小説を書いて私もしかしたら文章書くの好きかもという感じで、今の創作の原点になっていると思います。
qbc:
子供の頃はどんな子でしたか。
憧憬:
めちゃくちゃ活発。大人の言うことを聞かない感じ?例えば、親と出かけていても、手繋いで歩いてるのに、興味あるものとか行きたいところに向けて、振りほどいて走ってどっか行っちゃうとか。あと友達と遊んでるときに野球のボールが社宅の3階のベランダみたいなところにのっかっちゃって。大人呼んで取ればいいものを、私取ってくるから待っててって感じで非常階段とか登って取ったら、その後、非常階段を頭から落ちてなんかすごい大騒ぎになった。
qbc:
何歳のときですか。
憧憬:
小学校1年とかそれぐらいですね。
qbc:
怪我が多いタイプの人ですか。
憧憬:
怪我、怪我まではしないけど、自分の興味に向かって突っ走るみたいな。で、ときに迷惑をかけるみたいな。
qbc:
幼稚園とかに好きだった遊びってなんですか。
憧憬:
友達と外で遊んでたりはしましたけど、その頃ファッションデザイナーになりたくって毎日幼稚園のノートに服のデザインを書いていて、それはすごく楽しかったです。
qbc:
服だけ書いてたんですか?
憧憬:
そうですね、その顔のない人と服みたいな感じで。
qbc:
小学校はどんな感じでしたか。
憧憬:
小学校は中学受験したので、ずっと勉強してましたね。3年生までは普通の小学生って感じで友達と外で遊んだりでしたけど、それ以降はずっと勉強って感じです。
qbc:
中学校はどんな感じですか。
憧憬:
中学受験が終わって燃え尽きではないですけど、勉強はそこそこって感じで部活一筋でしたね。軽音部に入ってボーカルを部活でやってたんですけど、やっぱギターかっこいいってなって、ギターを独学で家で弾いたりとかして。その思い出が強いですね。だから、ギターは軽音部にいたけど誰にも習わないゼロから自分で勉強して弾けるようになったので、そういうゼロから何かを掴むのは、その頃覚えたのかなと思いつつ。
qbc:
子供時代から続く趣味や興味の対象はありますか。
憧憬:
興味はなんだろうな。でも食はずっと好きですね、多分母親が美味しいもの、これはここの産地のこれでねとか、これはこういうお店が美味しいからこれで買ってきたから食べようとか、色々と教えてもらいながら育ってきました。あと何だろうな、あんまり一貫してこれっていうのがそんなにないなと思いました。結構色んなことに興味あって、色々やって色々と興味が移り変わってくるのはあるかなと思います。
qbc:
テーマはあんまりなく?
憧憬:
うーん。大学までは、ずっと軽音やってたし歌が好きでずっと歌ですが、大学以降からは文章にスイッチしてて、そうですね、根底にあるものは近いのかなとか思いますね。何か自分を言葉で表現するみたいな。言葉っていうか。
qbc:
音楽は何を聞いたんですか。
憧憬:
結構聴いてる音楽の変遷はあって。中学はYUIや東京事変が好きで色々聞いてて、大学からは周りの影響もあり構無名のインディーズのバンドを掘るのが好きで、そういうのばっかり聞いてますね。最近はインストばかり聞いてて、歌がないやつです。そんな感じでいろいろ聞いてます。
qbc:
高校時代は軽音?
憧憬:
高校時代は軽音ですね。軽音と、文芸部って小説書く部活に入ってて。軽音は中学と高校が繋がってたので5、6年やってるし部長になったんですけど、友達と色々とあって辞めて、それを拾ってくれたのが文芸部の友達たちで、そこで初めて小説を書いて私もしかしたら文章書くの好きかもという感じで、今の創作の原点になっていると思います。
初めて書いたのは、天才のピアニストがピアノを弾けなくなるけど、色々と考えてるうちに自分を取り戻してまたピアノを弾くようになるみたいな話です。それが完璧主義のあまりに現実が苦しくなってみたいなのって、結構今の生活でもあるんですけど、それを物語に落としたような作品だなと思って。昔から考えてること、あんまり変わらないと思いました。
qbc:
音楽と文章はどっちが自分にフィットしてると思いますか。
憧憬:
やっぱ文章ですね今は。歌は好きだけど、自分の全てを表現できたみたいな感覚はあんまりなくて。やっぱりその曲で表現したい何か、その自分で曲作ってなかったんで、コピーバンドが多いから人の言いたいことを代弁してる感覚はあったんですけど、文章は全部自分でゼロから作ってるので、自分の内側が表現できてるなって感じがします。
qbc:
高校の後の進路進学はどうなりましたか。
憧憬:
大学に入りました。
qbc:
大学はどうでしたか。
憧憬:
大学は今までの学生生活で一番楽しかったですね。フランス語やフランスにまつわる文化を専門に勉強したんですが、語学も得意だったんでそれも良かったし、あとは3、4年は好きだった哲学のゼミに入って色んな議論したのも楽しかったし。サークルも引き続き軽音サークルに入って、めちゃくちゃ色んなバンドを知ったりとか、すごくコミットしてたのでみんなとずっと遊んで飲んで、ときに真面目な話して。その2本立てで、すごく楽しかったですね。
qbc:
ご両親からどのように育てられたと思っていますか。
憧憬:
両親からは厳しく育てられたなあ。小学校のときは勉強を父親が見てくれてたんですけど、私復習、テストを受けた後の復習を溜めちゃう癖があって、復習も全部できてないのに夏季講習なんか行かせないと怒られて。みんな夏期講習を行ってるのに自分だけ夏期講習を行かせてもらえず、ずっと過去のテスト復習させられたりとか。そうですね。勉強勉強って感じで育てられたんですが、ちょっと抑圧されてる感覚がありましたね。
本当は私、小学生で芸能界に興味があって、同級生に子役の子がいたんですよ。その子の影響で何か芸能事務所のオーディションとか受けて、書類とか通って次の選考受けたかったんだけど、親に言ったらテストとかぶってるから駄目だみたいな感じで。本当はやりたかったこともあったのになと思うけど、全部親の言うこと聞かないと駄目だみたいな感じで育てられてたなみたいな。ちょっと愚痴みたいですね(笑)
qbc:
それを今みたいに説明できるようなったのはいつ頃ですか。
憧憬:
大学ぐらいの時ですかね。大学で似たような構造の作品や社会問題に触れる機会が増えてきて、なんかこれ、この構造を見たことあるぞとか考えたら、自分の幼少期に感じてたことだからそういうテーマに関心があるんだなと内省しているうちに気がつきました。
qbc:
大学卒業後はどういうふうにされますしたか。
憧憬:
卒業後は就職しまして、広告代理店に入りました。選択間違えたかもって思ってて、仕事内容は合ってたかもしれないんですが、あまり周囲に馴染めませんでした。2時ぐらいまで仕事して、5時まで飲んでそのまま仕事するのも余裕でできちゃう人とか結構いて。何かその楽しいことは好きだけど、そこまでのバイタリティはありませんでした。他にもまあ色々とあって転職しました。
qbc:
どんなところに転職したんですか。
憧憬:
ITベンチャーですね。代理店の時より仕事の幅が広がって、結構いろんな人を動かしてプロジェクトにしたりとか。色々と好きに動けて、こっちの方が合ってたなって感じはします。
qbc:
IT系は何年ぐらいですか。
憧憬:
今2年半ぐらいですね。
qbc:
自分の人生の割合として何を中心にしたいと思ってる人ですか。
憧憬:
文章を書いたり、創作活動を本当は8割にしたい。ですけど、現状15%ぐらい。
qbc:
創作なのか、それとも創作を職業としたいのかっていうとどちらですか。
憧憬:
そこはもう日々、どっちにしたいんだろうと悩んでるところですね。規模が大きくなりすぎると、自分の書きたいことだけ書いてられなくなるとか、何か売れるもの書かなきゃみたいに考えがちだなとか思うと。そこそこの規模で書きたいものを書いてられたら幸せだけど、そんなんで生活できるのかとか悩んでます。
qbc:
今どきのインターネットのビジネスのサイズ感で言うと、ファンとの距離っていうところでいくと1000人、1万人いたらいい生活ができるみたいな、自分の書きたいものが書けるみたいな世界観はあるわけですけど、それで満足するのかそれとも100万人単位で平成のCDみたいな売れ方をしたいのかというと今現時点ではどういう感じなんですか。
憧憬:
現時点だと夢が大きすぎるんですけど、芥川賞とか取りたいですよね(笑)。だからそうですね、日本人の方に読んでもらえたら嬉しいなとは思いますけど、そこまで小説書けるかとかはありますけど。
qbc:
ということは割とパーソナルなっていうよりも、日本にっていうような意識があると?
憧憬:
どうだろうな、日本の読者に読んでもらいたいというよりは、シンプルに世間に自分の創作を認めてほしいっていうそっちの方があるかもしれないですね。
qbc:
自分の人生の中に転換点を置くとしたらどんなところにありますか。
憧憬:
転換点は、2つぐらいですね。さっき高校で軽音部辞めて文芸部入ったって言ったと思うんですけど、そこで今の創作の原点みたいになってるから、そこで1個。もう1個は、間借りのカレー屋さんをやったとき。自分の好きなことで実際に人からお金をいただいて価値提供できるんだっていうのを肌で感じて、私が好きなことをどんな形にしていっても何かこういう形でやっていけるのかなみたいな感覚を掴めて、今後に繋がっていきそうなところ。その2つかなと思います。
未来:もう執筆とか文章に振り切って、むちゃくちゃ小説書いたり、本読んだりする人生にしたい
qbc:
5年後、10年後、死ぬまでをイメージしたときの自分の未来について教えてください。
憧憬:
未来は、そうですね。良いパートナーと巡り合えたら普通に結婚して子供を産みたいんですけど、そうじゃなかったらもう執筆とか文章に振り切って、むちゃくちゃ小説書いたり、本読んだりする人生にしたいんです。それ以外は何だろう、死ぬまで、そうですね、もう死ぬまでずっと文化的なものに触れ続けたりとかはあるので、本とか映画とかずっと添い遂げる感じはします。
qbc:
文化に触れてるときはどんな気持ちなんですか。
憧憬:
触れてるときは自分はこういうことをするために生きてるんだっていう気持ち。会社員の仕事もいろいろ任せてもらえたりとか、やりがあることもあるんですけど、あんまり自分がこのために生まれてきたっていう感じはしなくて、それ以外の活動に本読んで何でこの人はこれをこういうふうに表現したんだろうとか、もしくはなんでこう思ってるんだろうとか思考掘り下げてるときとかは、楽しい、楽しいっていうか、もっとそっちをやっていきたいなみたいな、という気持ちですね。
qbc:
なんでそっちに行けないんですかね。
憧憬:
なんですかね。多分微妙な世間体と闘ってるのかなって思いますね。それがなければ、結構見切り発車するタイプなんで飛び込むんですけど。じゃあ今ノープランでそっちに飛び込んだときにお金どうするのとか、ライフステージと変わるかもしれないけど不安定な方に飛び込みたいと言えるほどの熱意や計画があるのかとか、考えてるうちに、やっぱりそうやって本業やりながらそういうのスモールで試していって、軌道に乗ってきたらスイッチする方が安全とか思っちゃって、思い切りがいいはずなのに微妙に安定を取ろうとするという
ことはありますね。
qbc:
自分が今一番好きなものってなんですか。
憧憬:
一番好きなものは文章を書くこと。
qbc:
どれぐらい書き続けられるんですか。
憧憬:
休みの日はずっと書いたりできます。それを365日できるのかと言われると、わかんないなっていうのはありますが。
qbc:
一日中書いているときって何について書いてるんですか。
憧憬:
最近感じたモヤモヤとかを書いたりとか、あと小説書いたりとか。
qbc:
会社員を辞めると書けなくなるみたいな人がいるんですよね。
憧憬:
そうですよね。
qbc:
モヤモヤする事象が起きなくなるからっていう。
憧憬:
確かにそれはありそう。
qbc:
そう。だから昇華ってまでは言い辛いかもしれないけど日々の感じてることを昇華させるために文章を書いてる人なのか、それとも書くことしかできない人なのかっていうとどちらでしょう。
憧憬:
それでいうと多分日々の昇華ですね。創作のテーマが痛みとか苦しみからの何か救済みたいな感じで。大体すごくしんどい人か苦しい人が出てきて、その人が自分なりの道を見つけて、ちょっと楽になっていくみたいな筋書きになることが多い。そうですね、日々の苦しいこととかストレスとかがないと逆に書けないのかなって思いましたね。
qbc:
なんかもしも仮にパートナーが現れて、そのパートナーは割と裕福な人で働く必要は特にないそうです。憧憬さん自身も働く必要がなくなったっていうときに、その人の感覚自体は好き好きなことやった方がいい、世間の目なんか気にしなくていいよっていう、そういうふうな後押しもしてくれる人というふうなときに、自分は何を書くと思います。
憧憬:
そうしたら、多分働かなくてこんな執筆をしてていいんだろうかという葛藤とか、あとあまり働かなくなると人との繋がりも減っていくかなとか思うんで、何かそういうところの孤独感を多分書き続ける気はしますね。
qbc:
ネガティブなことを書くと?
憧憬:
そうですね。あんまり明るいことは書けないので、ネガティブ中心かもしれないです。
qbc:
いわゆる創作としてエンターテイメントみたいのはあまり興味がないですか?
憧憬:
あんまりないですね。自分でもたまに見ますけど、そんなに見ないかもしれないです。どっちらかというと、暗い人間みたいですけど、なんか重い苦しいみたいなものばかり見たり読んだりしてますね。
qbc:
もしも子供の頃の芸能界の道筋みたいなものが通って自分も子役デビューしましたと、その後どういう人生をしていると思いますか。
憧憬:
その後はなんだろうな、多分途中でやめて、元のルートに戻ってたかもしれないです。例えば、売れたとしても売れなかったとしても、悩み続けそう。売れたら売れたでやっぱいろんな人から叩かれる機会とかも増えて、真に受けすぎるんで悩んで苦しくなったりとか。売れなかったら売れなかったで、私なんでこんなことずっとやってんだろうとかで悩んでやめちゃいそう。そうですね、その後のルートは今と近しいかもなとか思いました。
qbc:
何か悩ましいというか悩みがちな源泉はどこから来るのか。
憧憬:
何だろう。でも結構繊細っていうか、多分何かからいろんなものを感じすぎてとか、自分が本当はどうしたいのかがわからないとかは結構ありそうですね。
qbc:
環境のノイズが強いって意味?
憧憬:
ノイズ、ノイズっていうよりかはもうこうしなさいああしなさいで育っていったからか、自分が本当はどうしたいのかがあんまりよくわかんないことが多くて。それがわかんないからいろんな選択肢があるけど、どれにしたらいいんだろうとか、どうしたらいいんだろうっていうので結構ぐるぐるしがちっていう感じ。
qbc:
それが見つかったらどうなるんですかね。
憧憬:
やりたいことが見つかったら、私見つかったら結構そこに向かって突っ走るタイプなので、全てを捨ててそこに向かうんじゃないでしょうか?
qbc:
書くってことはやっぱそれを探すための作業って感じなんすかね。
憧憬:
確かにそういう捉え方もあるかもしれないですね。何か余計なノイズ、ノイズとか邪念とかを全部文章で昇華させていって私に残るものを探してると思う、言えるかもしれないなと思います。
qbc:
なんか1年ぐらい書いてきて繰り返されるテーマってありましたか。
憧憬:
繰り返しはそうですね。でも、親との距離感とか?
qbc:
距離感が出てきてってこと?
憧憬:
結構。過保護・執着質でそれに悩んでるとか。あーでも孤独とかは書きがちですね。友達だと思ってる人はそこそこいるんですけど、自分から働きかけるのが苦手っていうか誘えないんで、基本1人で過ごしてることも多くて、休みの日とか。そうですね、本とか読書とか映画とか楽しいけどやっぱ孤独感を感じるみたいなのをいっぱい書いている気がします。明るいテーマだとやっぱ食やお酒が好きなので、新しいお店開拓しに行ったときのことがいっぱい書いてるんですけど、基本はそのさっきの重い話が多いから。
qbc:
人間関係以外に書いているものはありますか。物とか。
憧憬:
物系だと食の話とか多いですね。あと喫茶店とか。
qbc:
自分にとって書くこととは何なんですかね。
憧憬:
自分にとって書くことはさっきと重なるかもしれないんですが、何か日々のあれこれを昇華させるもの。痛みや苦しみ、モヤモヤを現実の世界で、人に直接言ったりとかすると嫌がられたりとか、自分自身もすごくネガティブな気持ちになりますが、ある種文章として綺麗な形にすることで、人に共感を呼んだりとか。何か自分もちょっと病んでるときの方が、綺麗な文章を書けるなっていう気がしますね。
qbc:
ありがとうございます。最後の質問は、言い残したことがあればお伺いしております。
憧憬:
はい。ポッドキャストも、読者メッセージで、ポッドキャストもうちょっと頑張っていこうかなと思うので、ぜひ聞いてください。お願いします。
あとがき
人生は出会い系だ!
【インタビュー・編集・あとがき:qbc】
【編集:haru】
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