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肉体のコントロールを失ってる状態を見ると「かわいい」って思う性癖の人

「最近セックスしたのはいつですか?」という質問が、AVの世界だけに終わらない世の中にしたいと思う私qbcです。
気持ちいいことをすると平和になる。
このパワーを、性犯罪や中傷などのネガティブな方向性へ向かわせずに、語りあうことは可能なんだろうか。
なんてなんてなんて、ちょっと小難しく考えてインタビューに臨んだのですが。どーもなにやら考えすぎだったみたい。
インタビューして見知らぬ誰かの性癖、性的関心、性に関する考え方を聞いているうちに、ああやっぱり良いセックスというのはあって、それは人生に良い効果をもたらすんだな、という思いを新たにした次第です。
教えてくれてありがとうございました。
読者の皆さまも、どうぞ他人のセックスを知ってみてくださいませ。
ということで無名人淫タビューgo!!!!!
まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)

過去の淫タビューはこちらのマガジンから!

今回ご参加いただいたのは 絵虎 さんです!


自分の肉体のコントロールを失っているところを見ると「かわいい」ってなる

qbc:この淫タビューではどんな話がしたいですか?

絵虎:自分が持っている語義としては間違ってるんですけど、俗に「性癖」と言うじゃないですか、性的嗜好とか趣味のことを。自分が多数派ではないなという思いはあるので、そういう多数派ではない人の話って興味あるんじゃないかな、自分だったら読みたいなと思って。

そういう、何か自分が性的に興奮しないものに対して興奮している人間って、ちょっと面白いじゃないですか。面白いなと思ってても、なんかおおっぴらにアクセスしにくいみたいなところがあったんで、コンテンツとしてそこそこ面白いんじゃないかなと思ってます。

qbc:ありがとうございます。そしたら早速ですけど、どんな性癖でいらっしゃるんですか?

絵虎:わかりやすく言うと「サド」なんです。
「BDSM」っていうまとめた言い方があって。「BDSM」っていわゆる「女王様」と「犬」とか「豚」とか「ご主人様の奴隷」とか上下関係があるものもいっぱいあるんですけど、個人的にそういうふうにあまり興味なくて、ただただ残酷なことをしてるとテンション上がるんですよ。

傷ついてる肉体を見ると性的に興奮する。
肉体を傷つけることに対して、興奮するんですよ。多分漫画とかアニメとかいわゆるSMものみたいなイメージで、SMに関わってきていない人が想像するSMとは違うところで興奮するタイプでして。
この「性癖」を知らない人にとっては、そういうのもあるんだっていうのって、面白いかなと思って。

※BDSM
BDSM(ビーディーエスエム)とは、人間の性的な嗜好の中で嗜虐的性向をひとまとめにして表現する言葉である。
「B」…Bondage(ボンデージ)
「D」…Discipline(ディシプリン)
「SM」…Sadism & Masochism(サディズム & マゾヒズム)
BDSMは上記の「B」「D」「SM」にとどまらず、力と支配を中心とした幅広い性的行動、遊び、関係を包括する用語。

https://ja.wikipedia.org/wiki/BDSM

qbc:その部分だけでもう完全に面白いです。
もうちょっと具体的に言うと、どういうところで興奮するんですか?

絵虎:自分の肉体のコントロールを失ってる状態を見ると「かわいい」ってなるんですよ。

失禁だとか、不随意運動、震えるとか、痙攣してるとか「かわいい」ってなるし。
あとは、血を流してるとか、本来は曲がらない方向に関節が曲がってるとか見ると、「あ〜もう自分のコントロール手放しちゃってかわいいな」ってなるんですよ。
事故とか他人によってそうなってる状態っていうのを見るのも、もちろんその時点でかわいいですし、愛おしいなって思うんですけど、これが自分の手で引き起こされてる、っていうのは、もうその上を行く良さですね。

単純に傷ついている肉体にテンション上がるっていうのは、一般的な「癖」で言うと、おっぱいが大きいとテンションが上がる、とか割れてる腹筋とか髭とかそういうものに性的な魅力を感じるように、青あざとか縄の拘束の跡とかそういうものにぐっとくるってことですよね。
私は上下関係とか精神的な支配とか個人的には興味ないので、そういう意味では女王様気質みたいなものはないのかもしれないなと思います。

qbc:興奮というのは、精神的高揚です? それとも、性的興奮?

絵虎:性的です。
重なってる部分はもちろんあると思うんですけど、性的がメインです。
例えば、多数派の感覚だと、引き締まった肉体の人を見て「エロい良い身体」って興奮と同時に「ストイックにやってるんだろうな」っていう尊敬を一緒に抱くみたいな。そういうのって同時に存在すると思うんですよ。「かっこいい」っていう気持ちと「うわっ色っぽい」っていう気持ちを一緒に抱きますよね。

qbc:なるほど。ちなみに、一般的な「かっこよさ」を受け入れる感受性もおありなんですか?

絵虎:俳優さんとか見てて、かっこいいねっていうのは思いますね。
胸が大きいとか背が高いとか、そういう個人的な趣味の域はあります。そこにさらに「怪我してたら尚良い」みたいな。かっこいい人やかわいらしい子を見た時に「この子を蹂躙出来たらな」っていう妄想はします。

qbc:見た目のタイプもあるんですね。

絵虎:見た目のタイプはあります。世の中大体見た目しかわからない人が多いので、普通に雑誌とかパラパラ読んでてかわいいモデルさんとか見ると「うわー殴りてえ」って思う時はあります。

qbc:それって、一般的にキスしたいとか抱きたいっていうのと同じ感覚なんでしょうかね。

絵虎:性行為をしたいという意味で「首絞めてえ」って思う時はあります。

qbc:あーなるほど。でもそうすると、絵虎さんのセックスって、どんなセックスなんですか?

絵虎:極めてノーマルなんですよ。
私は既婚者なんですけど、旦那がノーマルなんです。

普通の愛撫から始まって、挿入を伴って、肉体的に男女なので主に向こうのペースですね。こちらからちょっと焦らすぐらいの意地悪はするんですけど、痛めつけるみたいなことはしないですね。

自分の性癖に関しては、結婚前までは、風俗みたいな感覚で専門の店に行ってました。いわゆるSMをするみたいなところに行って、そこで遊ばせてもらって。

qbc:なるほどなるほど。

絵虎:愛情は、愛情として今の夫に対してあるので。
彼はノーマルなので、嫌なんですよ、痛いのが、当然。

その人の嫌がることをしようとは思ってなくて、単純に傷ついている肉体に興奮するだけで傷ついている人に興奮しているわけではない。性的な意味で悲しんでるとか怖がってる人に対して興奮しているわけではないので。

「いやそれは怖いから嫌だ」とか「それは痛いから嫌だ」って言われたら、そこから先に踏み込もうとは思わないですね。理想としては喜んで身を明け渡してくれたら、最高なんですけど。
そうもいかないので嫌がることは無理やりやらないかなっていう感じですね。

qbc:シンプルに、愛情と性癖が重なってくれたら嬉しいですか?

絵虎:そうですね、今は甘噛みとか、焦らしとか、そのぐらいのところで踏み留まっているので、それを喜んでくれたら嬉しいですね。利害が一致してほしいなっていう。
我慢して付き合ってくれなくていいので、痛くされて気持ち良いって思ってくれたら喜んで一番気持ちよくしてあげるのにな〜、っていう。

qbc:それは、いわゆる調教という形でプランされてますか?

絵虎:ちょっとずつ。
どのくらいの甘噛みならじゃれ合いとして認めてくれるかなっていうのは、探り探り、ちょっと強くしてます。あざが残るぐらいまではいいかな?とか。
あとはこっちが主導するタイプのセックスをする時、どのくらい労りがないセックスをしていいかと言うか、男性的に負担があるペースだったり、体位だったりをしても、どこまで男性が気持ち良いままで、「痛い」が勝たずにいてくれるかなっていうのを、試しています。
そういう許容範囲を押し広げて押し広げて、徐々にお互い楽しめたらなと思ってます。

qbc:ご結婚は、今何年目なんでしょう?

絵虎:1年8ヶ月ぐらいですかね。

qbc:その間、二人のセックスは変わりましたか?

絵虎:変わってるのかな。私の方は変わりましたね。

結婚前とか付き合ってた時のセックスは、好きな人と繋がってる嬉しさはあっても、肉体的な満足は他の人をシバいている時の方が気持ち良いなって感じだったんですけど。

私の方が、普通のエッチに満足できるように寄ってきてるかなっていう。
加虐願望は加虐願望、みたいな。
旦那にそこまで求めなくても、それこそ専門職の人とかお店とかに行けばそういう遊びは出来るから、不満は無いですね。
結婚前の方が不満でした。これやってほしいなこれさせてほしいなみたいな。

qbc:そういう遊びのお店に行くこと自体は、OKなんですか?

絵虎:付き合う前にそういう遊びをしていたって話はしてあって、めちゃくちゃびっくりされたんですけど、「そうなんだ」と。

逆に「それには応えられないからそういうとこ行ってね」って感じでしたね。「だから痛いことしないでよ」みたいな。「駄目?」って聞くと、「嫌だ」って言われますね。
「首絞めて良い?」「駄目」みたいな。

qbc:旦那さんに対しては、いつ頃性癖のカミングアウトをしたんですか?

絵虎:私、両性愛者で、今の夫の前に元カノもいたんです。
彼にその話をした時にまとめて「女の子もいけるんだよね、っていうかSM好きなんだよね」みたいなのを全部言ったって感じですね。

彼女の方も男性と結婚していて、その結婚式に招待されたタイミングで「元カノの結婚式行くのって気にする?嫌だ?」「今でも連絡とりあってるのをあなたが嫌だっていうんだったら、こういうのはちょっとやめるねって、向こうにも事情を説明するんだけどどうする?」っていう話をしたら、「まあ別にそれはいいよ」みたいな感じで「ついでに言うんだけど、昔緊縛バーでモデルやってたんだよね」って話をして「そうなんだ」って。

そういう趣味もあるんだよねっていう話をして。
多分、情報量が多すぎて向こうは理解が追いついてなかっただけだと思うんですが。
それをいいことに「こういう風な遊びもしてて、あなたが初めてじゃないし割と遊んできたけど、あなたに対して嫌なことする気はないし、病気とかもちゃんとスクリーニングしてて綺麗だから、それは安心していいよ」みたいな話をしたって感じですね。

qbc:旦那さんはどんな人でしょう?

絵虎:性の不一致含めて普通の人ですよ。私は、自分が逸脱してるっていう自覚もあるんで。
旦那は割とレールに乗ってきた真面目な良い人で、お母さんを助け妹を慈しみ、大学に行き、企業に勤め、みたいな。
自分からしたらすごく異文化の人ですし、向こうにとってもそれは同じだろうなって思うんですけどね。

qbc:絵虎さんって見た目的にも「そういう感じ」のビジュアルになってるわけじゃないんですか?

絵虎:ピアスがいっぱい開いているのと、スプリットタンっていう蛇の舌、『蛇にピアス』のあれです。
髪を下ろしてると、ピアスがジャラジャラしてるように見えないって言われるようなタイプですね。見た目としては、普通っぽいに寄るのかな。
にしおかすみこさんみたいな、ああいう感じじゃないです。

こちらがにしおかすみこさんです。

qbc:ちょっとそっちのファッションが好きかなぐらいっていう理解でいいですか?

絵虎:それもないですね。
多分ボンテージファッションみたいなピカピカの黒いエナメルとか革のファッションって、女王様のロールプレイをやりたい人が好きだと思うんですよ。私、別に女王様やりたいわけじゃないので。
ただただいじめたいだけなんですよ。そういう意味では、普通のそこらにいるアラサーのヲタクの女って感じだと思います。

qbc:女性もいじめるんですか?

絵虎:どちらかっていうと、女性の方がいじめ甲斐があるかな。
自分が女性なので、筋力が無いんですよ。そうすると、男性の身体って丈夫なので、私の求める傷をつける前に、体が疲れちゃうんですよね。

肌が柔らかい方がぐっと握ったり絞めたりするときにすぐ鬱血しますし、せっかく縄とかで拘束するんだったら、すね毛とか生えてない方が映えるなっていう気持ちがあって、女性の方がいじめ甲斐があるっていうのはあります。
ただそこに男女の差はあんまりないかな。同じぐらい痛めつけられる能力がこちらにあれば、平等にというか、等しく興奮はするんですけど。
どうしても協力してもらう必要があるんですよね、男性の方が。縛りたいから足上げてみたいな。そうなってくると、なかなかお互いに体力も気も遣う。こっちが先にばてちゃうので、女性の方が楽しめるなっていうのはあります。

大きなあざが出来ているのを見たときの感覚って、ちょっと下着が透けてたりする時の「おっ、ラッキー」じゃないけどそんな気持ちに近いと思います

qbc:なぜいじめるのが好きなんですかね?

絵虎:巨乳好きな人って、なんでおっぱい好きなんですかね?っていう感じなんですけど。

例えば貧乳好きな人もいるじゃないですか。
ロングヘアにテンションが上がる人もいれば、ショートカットフェチの人もいる、みたいな。あの人たちがなんで好きなのかって、結構それぞれだと思うんですけど。
例えば初恋の人がポニーテールでそれからポニーテールにぐっとくるようになったんだよね、みたいな。

セックスって、日常じゃないじゃないですか。
怪我とかも状態異常だと思うんですよ。普段見えなかったり、怪我であっても隠されたり、治すために異常から脱するようにコントロールされるべきもの。
そういった日常からは隠されるべき状態異常が晒されている状態って、見ちゃいけないものとか、やっちゃいけないことに対する興奮みたいなものに近いのかな、とは思いますね。
今、喋りながら考えてたんで、もしかしたら後でこれ違うなって思うかもしれないんですけどね。

でも、大きなあざが出来ているのを見たときの感覚って、ちょっと下着が透けてたりする時の「おっ、ラッキー」じゃないけどそんな気持ちに近いと思います。思わず目で追ってしまうみたいな。

qbc:具体的には、どういうことをされるんですかね?

絵虎:行動の制限です。縄も好きですし、荷物を運ぶ用のラップっていうのがあるんですけど、それを使ってお祈りするみたいな形で腕を揃えてぐるぐるぐるっと巻くと動けなくなったりとかするんです。

その状態とか見てると、ちょっときゅんとしますね。
自分でやるとなると緊縛ってすごく責任が伴う行為で難しいんですよ。神経を圧迫しすぎると、しびれが残ったりとか、鬱血しちゃったりとかして。エッチな気持ち以外の時の日常に響くような怪我を残せないので、すごく練習が要るんですよ。だからなかなか満足に楽しめないっていう。

明日の仕事に影響しない範囲でちゃんと帰してあげなきゃいけないってことを考えるとなかなか手が出せないっていうのが正直なところでして、緊縛はプロの人にやってもらうのを眺めて、お膳立てされた状態から鞭打ちとか、殴る、蹴るとかになってきますね。

qbc:なるほど。

絵虎:理想は、自分で縛りたいんですけどね。
ちょっと勉強したものの本当に難しくて。だから手軽って言い方するとあれですけど、手を出しやすいのは鞭ですね。

いじめられたい側で来てる人って、下僕になりたい人もそこそこいるので、そういう人にとっては、こちらがそこまで興味なくても女王様のロールをしてあげる必要があって。あなたがして欲しいように私もしてあげるし、私が言ったようにあなたも受けてね、みたいな関係性があるので。
そんなに興味がないなと思いながら女王様のロールもやるんですけど、その時にやはり喜んでもらいやすいっていうのは、鞭。
分かりやすく罰則のイメージがあるからでしょうか、鞭打ちをすることは多いかなって思います。

qbc:感覚値で大丈夫なんですけど「ロールプレイ派」と「痛いだけ派」って、どっちが多い感じですか?

絵虎:ハプニングバーとかフェチバーみたいなところに来る人は、ロールプレイしたい人が多い気がしますね。
今会ったばっかりの人なのに、もう奴隷にされてるみたいな。会ってすぐにもうこんなになってごめんなさいごめんなさいってやってるのを見て、楽しそうだなって思います。そういうシチュエーションにまで興奮するんじゃないかしらって思いますね。

qbc:一方、絵虎さんはどんな感じなんですか?そういうロールプレイ派の方々に対して。

絵虎:ノリはします。
お互い楽しくなった方が良いなって気持ちもあるし、そのお店全体が盛り上がった方が、また行きやすいので。
何となくそこにある無言の約束っていうか、この人は女王様やってほしい人なんだなって言うんだったら、そこは奉仕というか、サービスの気持ちでやってますね。

qbc:関連のお店に詳しくないんですが、なんというか、お店にあるステージみたいなところに行ってやる、みたいな感じなんですか?

絵虎:ステージがあるお店もあるんですけど。そういうところは女王様というか、縄師だったりM女さんにしても、ある程度ショービジネスでやっているタレントさんみたいなお店のキャストさんがいるところが多いですね。
客同士で盛り上がれるっていうのは、ステージみたいなところがあるお店じゃないですね。居酒屋みたいな座敷のところに、ちょっと丈夫な梁が渡してあって人が吊れるとか。キャストさんに女王様なりM嬢さんなりがいて遊ばせてくれるところもあります。あとは、キャバクラみたいにテーブルについて何して遊びます?こういうのできますけどって確認してくれるところもありますね。

qbc:なるほどね。

絵虎:あとはあんまりないけど、そういう趣味とか興味がある人同士が行って、手ほどきを受けながら、ここはこういう風にするといいよっていう、アドバイスを受けながらカップルとかそういうバディの人たちが、練習だけしに来るみたいな。
道具いっぱいあるんで、そういうお店の方が練習できるって感じですね。

qbc:自分が今の性癖だと気づいたのって、いつだったんですかね?

絵虎:今日この話をするにあたって、考えたんですけど。

気がついたら、普通に子供の頃のアニメ作品とか見てて主人公がピンチになったときとかに、ドキドキするじゃないですか。ハラハラするっていう方の意味で。どうなっちゃうんだろう大丈夫かなみたいな。
そこから割と地続きで、そのシーンに性的興奮してるなっていうふうになってるんですよね。なので、可哀想、健気でかわいいみたいなのとすごく近い位置に性的興奮がある感じです。

「可哀想」と「性的な興奮」って、SMに限らず、ちょっと関係あると思うんですよ。
例えばアイドルみたいなフリフリの衣装を着るのは苦手な人がフリフリな服を着せられてしまって、それで照れまくっている様子とかって、可愛いけど可哀想じゃないですか。
「もう見ないで止めて恥ずかしい」ってなってる状態って可哀想なんですけど、きゅんとするじゃないですか。
そういう感じで、気の毒、ハラハラする、痛そうっていう気持ちと、ニヤっとくるというか、ぐっとくる感じが、同時に来てるんだなと思って。
だから目覚めたきっかけとかはないですね。ずっと好きだったな。

感情付きの満足度で言う最高のセックスは、おそらく今の旦那との初めてセックス

qbc:初めていたぶってしまった時っていつですかね、意図的に。

絵虎:割とマジの喧嘩をしてる最中に、興奮してしまったっていう感じですかね。
女友達と当時、なんで喧嘩したかも覚えてないんですけど、髪の毛引っ張るとか引っ掻くとか、肉体的な喧嘩をしたんですよ。

小学校5年生ぐらいかな。多分高学年だと思うんですけど、4〜5年生ぐらいの頃に口喧嘩じゃなくて取っ組み合いの喧嘩をした時に、その子に対してムラってきたんですよ。引っ掻き傷ができたり髪引っ張られてボサボサになったりとかしてるのを見て。

その時が、アニメを見て興奮するとかじゃない、自分の手で傷つけた人に興奮した多分最初で。

qbc:なるほど。その、初めてムラっとした子のビジュアルについて、できれば教えていただきたいです。
思い出せますかね、どんな感じでしたか?その子がやられている時のビジュアル。

絵虎:小学生だったんで、私服で、その子はちょっと良い服を着たんですよ。ギャルっぽい。装飾のある服を着てて、それが台無しになってたんですよ。
ちゃんとおしゃれをしてというか、何だろうな。ギャルっぽい派手な格好してる子だったんですけど、服がしわくちゃになってて。髪も割としっかり結ってることが多かった子なんですけど、乱れてて。

qbc:髪の毛は、どれぐらいの長さの方でしたか?

絵虎:肩ぐらいの長さでしたね。その時はスカートだったかな。袖が片方だけ捲り上がってたんですよね。自分で両袖捲って片方が落ちてきたのか、片方だけずり上がってきたのか分かんないんですけど。
捲り上がって素肌になってる方に、自分がぐっと掴んだ手の跡が残ってて。そこがすごく鮮やかに覚えてて。

qbc:赤くなってました?

絵虎:赤くなってました。
頬のところには、自分が引っ掻いた傷ができてて。

あとは、顔は割と守られていて、引っ掻き傷以外は。頬に引っかけた傷以外は手首のところのあざと、あとは着衣の乱れっていうんですか。だから肉体的に完全に傷つけてやったぜみたいな流血騒ぎとかじゃなかったんです。

qbc:表情は?

絵虎:表情は、怒ってました。向こうも完全にキレてるしこっちも怒ってるみたいな感じで。「やられた」よりは「何やってくれとんじゃ」みたいな感じでしたね。

qbc:表情とか精神状況に対しても、性欲を催すものなんですか?

絵虎:あんまり辛くなさそう方がいいですね。性的興奮の度合は変わらないんですけど、相手が嫌がってるのって、萎えるので。同意はしていて欲しいかなっていう気持ちはありますね。
だからその時、喧嘩で興奮した後は、ちょっと罪悪感もあったし、いけないことをしてしまったなっていう気持ちはあるので、うん。

qbc:あー、なるほど。無理強いしているかどうかっていうのは、ポイントなんですね。

絵虎:それから先は、運動部に所属していたので、トレーニングでヘロヘロになっている子を見て抜いてましたね。おかずって言い方するんですか?

qbc:え、友達でオナニーしてたんですか?

絵虎:そうです。「普通」の嗜好だって美人のクラスメイトで妄想しませんか?
私は部活の筋トレで、限界超えてハアハア言ってる同級生とかを思い出して。中学生ぐらいから、高校生ぐらいまで。
本人たちが分かってやってるので、すごく良いです。罪悪感が少ないというか。
いや、罪悪感はあるんですけど。彼女たちはエッチな格好してるっていうつもりがないっていうのを、私が勝手にエッチな目で見てるっていう罪悪感はあるんですけど。
可哀想っていう気持ちがあんまりないので。
自分たちが望んで筋トレや走り込みをしてる子たちだったので、使いやすかったです。

qbc:「トレーニングを見る」っていうのは、どっちかと言うと受身だったと思うんですけど。
「自分の望む関係性のセックスができた」っていうか、相手のOKをもらった上で相手をいじめることのできた性癖満足セックスって、いつが初めてでしたか?

絵虎:性癖満足セックスは、ないんですよ。未だに。
パートナーとして一緒にしばらくやってた、緊縛を一緒にするしされるしで一緒に練習してた人っていたんですけど、その人とはセックスしてないんです。あくまで「そういう感情を満たす相手」だったので。

緊縛にもちょっと種類があって、本当に体を拘束することだけ、無理な体勢にする、責め苦みたいなことをしていく人と、胸だとか体つきとかを強調するような「エロ縄」みたいなのをやっていく人がいて。
そのパートナーは、エッチな縄を打ちたい人だったんですね。
股間に結び目が来るようにわざと縄を持ってくるとか、そうするとちょっと動くと女性だったらクリトリスとか、男性だったらペニスが刺激されるから気持ちよくなるみたいな、そういうことをやっている人だったので。私がそれによって快楽を受けなかったかっていうと、皆無ではないんですけど。

あくまで本命の人は別にそれぞれいて。本命の人?っていうか目指す所?そのときのパートナーは緊縛師になりたくて、練習のパートナーを固定でつけたいっていう話で。
自分も受けることは我慢できるし代わりにやらせてくれるんだったら、フィードバックもするし、お互いちょっと練習しませんか?みたいな。それぞれそこに恋愛感情はなかったんですよ。お互い練習会行こうって言ってて縄やってたんですけど。

qbc:うんうん。

絵虎:逆にセックスしてる人は、セックス以外で仲良くなってからセックスに至っている人が多いので、普通そうかもしれないんですけど。普通にセックスに至る、普通に恋人関係になってる。
年がら年中SMの話をしているわけではないですし、SM以外の関係で付き合っていた元カノとか元彼とかはいるので、その人たちは、その人たちの方に合わせるっていうか、そっちで満足してたって感じですね。

qbc:別なんですねえ。

絵虎:別ですね。SM的な行為もやらせてくれればいいなとは思うんですけど、そうやって怖い思いをするとか、自分のために我慢しなきゃと思って、辛いけど飲み込んでやるっていう方が、申し訳ないし嫌だなっていう感じなので。
無理は言わないし、セックスはセックスで気持ち良いし、みたいな。

qbc:なるほど。
実は、淫タビューで毎回固定で聞こうと思ってる質問があるんですけど。
「今までで最高のセックスは?」っていう質問なんですが。そうすると、この場合、痛いのとは関係ないセックスなんですかね?

絵虎:感情付きの満足度で言う最高のセックスは、おそらく今の旦那との初めてのセックスなんですけど。失敗したんですよ。

向こうが暴発しちゃって。セックスというか、ピストンに至らなかったんですよ。本当に挿入してすぐイッちゃって。めちゃくちゃ緊張して無理って言ってて。
その時に、すごくきゅんとしたんですね。肉体的な快楽に関しては全然物足りないんですけど、精神的な満足度だと可愛いなみたいな。緊張しちゃって、一生懸命頑張ってもたなかったんだって思ったら、なんか、愛おしいなって思って。だからもしかしたら最高のセックスはそれかもしれないですね。

qbc:その「きゅん」は、痛いところを見るのとどう違うんですか?

絵虎:同じです。性的興奮としては一緒ですね。肉体的な感覚で言うと、最高のセックスとして旦那との最初のセックスをあげるには、あまりに満足度が低いんですけど。

肉体的な話で言うと、大学生ぐらいの頃、それしか娯楽を知らないのかみたいな、当時の彼氏と無茶苦茶したセックスとかはあるんです。ただそれは「肉体的」に振り切ってるだけ、みたいな。
朝起きてセックスして、デリバリーのピザ食べてセックスして、風呂入ってセックスして、みたいな。本当にそれしかしないみたいな。肉体的な満足度で言えば、もう本当にそれなんですけど、でも最高のセックスは何ですかって言われてその大学生の時のセックスをあげるかというと「これかあ?」みたいな疑問が残るんですよね。

qbc:ちなみにその肉体的に最高なセックスは、一日で何回ぐらいしたんですか?

絵虎:その時、私は大学生で彼氏は働いてたので、途中で中抜けして朝起きてセックスして、ご飯食べて3限だけ出るわ、みたいなことをしてたんで。
挿入と射精の回数で言ったら、4回とか5回ぐらいだと思うんですけど。もう一日中ダラダラ触り合ってるみたいなことをしてましたね。

qbc:それは、いわゆる付き合いたてみたいな時期?

絵虎:付き合いたてではなくって、元彼なんですけど、一回向こうが別の人と付き合って、別れたタイミングっていうか、別れ話がこじれてるんだから多分二股だったんですね、今思えば。
向こうが別れたがってるんだけど、なんかうまくいってなくって、話が進まないみたいな感じで。愚痴がてらワンチャン狙いみたいな感じでこっちに言ってきて、もうその人とヨリを戻すっていう気持ちはなかったんですけど、ズルズル。
嫌いにもなってないので「まあ、じゃあうち来る?」「仕事あるならノートパソコン持ってくれば良いじゃん」みたいな感じで。うちに転がり込む形で大学の時の下宿に来て「ちゃんと今の彼女と話さなきゃいけないんだよな、仕事も溜まってるしな」という話をしながら2泊3日ぐらいいたのかな。

qbc:それが1ヶ月続きました、とかそういうわけじゃないんですね。

絵虎:大学の下宿だったんで、さすがに帰らせないとヤバいって感じで。そんじゃね、ちゃんと彼女と話せよと。
でも、セフレじゃないですけど、良くない関係だってお互い分かってる状態のセックスだったんで、やりたいことやるって感じでしたね。お互いの世間体とか幸せとか別に気にしてないので、二人とも。
「したい」「あっそ?する?」「3限だけ出ないとヤバい、3限だけ出る」「ああ、いってらっしゃい」みたいな。
その後まただらだらセックスして、アニメでも見るかみたいな感じで配信してるアニメとかちっちゃいノートパソコンで二人で見て、見終わったしまたセックスするかぁというような。

日常を一緒に暮らせるんだったらセックスはなくてもいい

qbc:今後どういうセックスをしていきたいなっていう夢はありますか?

絵虎:いじめさせてくれたらいいなっていう気持ちと、自分自身がそういう欲求がないぐらいセックスで満足できればいいなっていう気持ちが、半々ぐらいですね。

ノーマルセックスに100%満足できるようになりたいなっていうのはあって。
SMのセックスって危ないんですよ、当然。意図せぬところで怪我とかしたりされたりしたくないので、すごくストレッチしたり道具のメンテナンスをしたりとか、一線を超えないように約束を決めたりとかはしてるんですけど。
SMセックスの事故、SMプレイの事故を防ぐには、やらないのが一番いいので。
ただ我慢はしたくないから、というか我慢はできないし、我慢してイライラしたりモヤモヤしたりしないで、ノーマルセックスでいいって思えるようになりたいな、っていうのがありますね。

qbc:なるほど。セックスの仕方の話なんですが。絵虎さんは、相手をいじめたいと思っているわけじゃないですか。でも、女性としては挿入されるじゃないですか。
男だったら激しく挿入することで相手をいじめるみたいなイメージは想像できるんですが、女性側ではどういうセックスを組み立てていくんですかね?

絵虎:ある程度膣内を力んだりとかはできるので、「絞りとったるで」じゃないけど、そっちの面で可愛がってあげるっていう感じですかね。
ペニスが挿入されてるけど、こちらから愛撫したりで、優位に立って主導で動きます。

qbc:良いセックスをした後の気持ちって、どんな気持ちですか?

絵虎:幸せですね。満足感とか、幸せだなって気持ちです。言葉にするんだったら、満足が多分一番近いんじゃないかな。

qbc:セックスがなかったら、どう思いますか?

絵虎:日常を一緒に暮らせるんだったら、セックスはなくてもいい。自慰行為が許されるのであれば。お互いしたいのに我慢してる状態は嫌ですけど、向こうに全く欲求がないよって言うのであれば。
ただ今のところ、向こうもセックスはしたいと思っていて、私もしたいと思っているので、じゃあエッチしよっかってなる感じかな。

qbc:絵虎さんにとって、セックスってどんな存在ですか?

絵虎:なくてもいいんですけど、ないと性的欲求を満たすものが暴力になってしまうので、自分の場合は。
社会性のためにセックスは許してほしいですね。「ちょっとムラって来たから、パートナー殴るわ」ってやってると、生活が立ち行かなくなるので。じゃあヴァギナにペニス挿れてた方が平和じゃない? って。

旦那を殴ったことないんで予想ではありますが、私は暴力でも同じ満足を得られるんですよ。でも殴られて気持ちよくならない人をパートナーに選んだので、お互い気持ちよくなる方で満足しようねって感じですね。

qbc:性癖の性的満足よりも、パートナーという人のほうが重要なんですね。

絵虎:そうですね。物の見方とか内面的な性格も好きですし。

そもそもペニスって、2m弱ある人間の体のうちの、たかだか10cmちょっとで、そこにそんなこだわる必要ないかな?みたいな感じですかね。
じゃあなくていいの?って言われたら、あった方がいいけど。それはさ、みたいな感じで。

だって、知り合った時はそもそもセックスじゃない時に知り合ってるわけで、初めましての時にお互い洋服着てたし。だんだん近づいた結果というか、その先に性行為があっただけで、それより前の段階から惹かれているんだから。

qbc:もしも、Mだったら人生どうなっていたと思いますか?

絵虎:先程お話した縄の練習をお互いにしていた時の私は打たれる側で、M側の経験もあるんですけど。

その時、心はMっ気というよりは、相手に感情移入して自分で燃えてるっていうか、S側の方に感情移入しながら攻められてるっていう楽しみ方でしたね。
自分が緊縛されている時、自分に縄を打ってSが気持ち良くなっていくのを見ていると、楽しくなってくるっていうか、共鳴する、同調するっていうか。

一生懸命やってるSを見て、確かに思いっきりこんなに蹂躙できたら気持ち良いだろうな、気持ち良いよな、分かる、みたいな感じで。
実際縄を打たれてるのは自分なんですけど、自分が自分を攻めたらっていう妄想というか、この状態にしているっていう妄想をして、自分が今やられてる体勢とか、緊縛をする側で、もし自分の大好きな子がこうなっていたらとか、それは興奮するだろうなって思うと、自分も興奮してくる、みたいな感じでした。

qbc:なるほど、S側の視点のままだったと。
そうしたら、BDSMの性癖があって良かったですか?

絵虎:無かった場合の人生が想像できなすぎるんですが。ただ、性の不一致でパートナーに不満を抱かずにいられるので良かった、と思うことはあります。

こんだけ尖っていると、不一致で当然なので。これがノーマルだけどちょっと嗜好が違うとなると、例えばもうちょっと甘々ラブラブエッチしたいなって人と、もうちょっとゴリゴリ攻めたい人とか。
こういうノーマルの範疇だけどお互いに不満だって思うよりは、「ここまでズレてりゃそりゃ合わねえよ」って感じで割り切って、そういうお店行けば?みたいな話になれば、こっちも罪悪感はないっていうか。じゃあそういうお店行くねって言えるので、良かったのかなって思います。

qbc:ありがとうございます。
それでは、最後に言い残したことがあれば、お伺いしております。

絵虎:絵虎っていう名前は、私がそういうお店で遊ぶ時に使ってる名前そのままなんです。
このインタビューを見ている中に、絵虎と遊んだことがある人がいたら「あなたたちのこと大好きだからね」って。

ああいう界隈って人の流れが激しいので、本名も知らない、連絡先も知らないままそれっきりって方もいっぱいいるんです。それで別れちゃった人もいるんですけど、みんな大好きだったからね、って。
ご縁がなくなっちゃった人もいるけど、嫌いな人一人もいなかったし、ずっと満足してたよ、っていうのを伝えさせていただけたらなって思います。
……私信のために場所借りちゃってごめんなさい。ありがとうございます。

あとがき(編集)

「友達の性癖」の話を聞くってウズウズしませんか?
私はこんな性癖を持っていてこんなセックスをしてきてこんな性生活を送りたい。そんな話を顔も性格も知っている友達からされたら、私なら生々しくて卒倒しかけるかも。
でも「顔も性格も知らない他人の性癖」の話なら?案外真剣に聞けちゃう。
インタビューを聞いていてそんな風に思いました、編集のさめこです。
自分の性癖、性生活の話をパートナー以外にするのは難しい。
でも同じ性癖を持つ人がこの性癖とどう向き合って生きているのか、パートナーとの性生活の現状に不満を持っているとして、自分はこれからどうしていきたいのか。このインタビューでそんなリアルな自分の「性」について考える機会になった人もいるんではないでしょうか。
知らない人の性の話にとても共感できたり、自分にはないものだと発見になったり、性の話をすることがポジティブなパワーになる場所、淫タビューがそんな場所になれるといいな。

編集・あとがき:さめこ(大学生)

制作:qbc(無名人インタビュー主催・作家)


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無名人インタビュー@12/1文学フリマR-04 (西3・4ホール)
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