迷わずにまっすぐ向いて走るっていうのが大事かなと思う人
むかしむかし、ある村に一直(いっちょく)という名の若者がいました。一直は、何かを決めると迷わずにまっすぐ前を向いて走る性格でした。
村人たちは一直のことを「単純すぎる」と思っていました。「もっと慎重に考えるべきだ」とよく言っていたものです。
ある日、村に大きな問題が起こりました。遠くの山から流れてくる川が突然枯れてしまったのです。村人たちは途方に暮れ、どうすべきか悩みました。
そのとき、一直が立ち上がりました。「私が山に登って、原因を突き止めてきます」と言うや否や、すぐに出発の準備を始めました。
村人たちは「待て、もっと計画を立てるべきだ」「危険すぎる」と止めようとしましたが、一直は聞く耳を持ちませんでした。
「迷わずにまっすぐ向いて走るっていうのが大事なんです」と一直は言い、颯爽と村を出ていきました。
山道は険しく、危険も多かったですが、一直はまっすぐ前を見て進み続けました。途中で道に迷いそうになっても、自分の直感を信じて進みました。
ついに山頂に着いた一直は、川の源流が大きな岩で塞がれているのを発見しました。ためらうことなく、一直はその岩を動かす方法を考え、実行に移しました。
何日も奮闘した末、ついに岩を動かすことに成功。水は再び流れ始め、一直は村に帰る道を急ぎました。
村に戻った一直を、村人たちは英雄のように迎えました。一直の「迷わずまっすぐ走る」姿勢が、村を救ったのです。
それからというもの、村人たちの一直に対する見方が変わりました。時には「迷わずにまっすぐ向いて走る」ことの大切さを理解したのです。
後に一直は村の指導者となり、こう語りました。「人生には様々な選択肢があります。でも、一度決めたら迷わず前を向いて進むこと。それが困難を乗り越え、目標を達成する力になるのです」
そして「迷わぬ者に、道は開く」ということわざが、この村から広まっていったとさ。
めでたし、めでたし。
と思う2024年10月7日13時15分に書く無名人インタビュー907回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】
今回ご参加いただいたのは 所在ない さんです!
年齢:30代前半
性別:男
職業:カメラマン
現在:できる限りやっぱり人生を楽しもうとはしてるんで。
くじら:
今何をしている人でしょうか?
所在ない:
今は大手メディアのカメラマンを辞めてフリーランスになったところです。まあ辞めさせられて、か。
その前は芸能人などのパパラッチをしておりました。すべての会社を辞めさせられている、フラフラしてるカメラマンですね。
くじら:
大手メディアを辞めたのはいつ頃なんですか?
所在ない:
7月の末です、こないだの。
くじら:
じゃあ、2ヶ月3ヶ月?
所在ない:
そうですね。ちょうど2ヶ月前ですね
くじら:
なるほど、フリーっていうのはどういう内容のお仕事なんですか。
所在ない:
例えば学校の卒業アルバムや学校の遠足など行事とか、一般の企業さんの、例えば上場になった会社さんのセレモニーの撮影など企業さんの撮影など。あとは、他にはイベントの記録、会社の社長さんのインタビューとか、メディアの取材撮影とかをしたりとかですね。
ちょっと東京に戻ってきたばっかりでして、まだ前のクライアントさんに戻ってきたって話をしてちょっとずつ復帰してるところではあるんですが、まだそこまで仕事を増やしてないところですね。
くじら:
このフリーっていう活動するってなるとお仕事はどうやってもらってくるんですか。
所在ない:
写真を教えてくれた師匠がいて、昔からの付き合いがあるのですが、昨今の学校カメラマン不足の例に漏れず、人が足りてないから戻ってきてほしいっていうのがあって。
小学校の写真屋さんなんですけれど、そこのレギュラーのカメラマンに戻っております。他には同じような学校の写真屋さんやってるところに出入りして撮影しているっていうのと、あとやっぱりさっきの出張撮影ですよね。
イベントとかその記録企業さんの撮影とかも昔のクライアントから依頼があって、それでを受けているって感じですね。
くじら:
なるほど。東京に来る前はどちらにいらっしゃったんですか。
所在ない:
地方出身で大学進学とともに上京しました。
昨年1年間だけ関西に行きましたが、大学1年生から東京に出てきてって感じです。大学1年から去年の8月まで東京にいて、そっから1年間だけ関西にいて、また会社辞めさせられちゃったので東京に戻ってきたって感じです。
くじら:
会社辞めさせられたっていうのはどういう経緯?
所在ない:
全部の会社を辞めさせられたっていう話なんですけれど、最初の会社から言った方がいいですか。
くじら:
そうですね。
所在ない:
大学卒業して、就職活動でどこにも就職できなかったんです。そのときにハローワークで見つけた求人のところで応募したら採用されたんですよね。
卒業アルバムの会社で、営業学校の先生とやり取りする営業担当でカメラマンっていうところで入ったんですけど、卒業アルバムの印刷が忙しくなってくるシーズンは、営業部の人がオフセット印刷の工場に回るんです。
オフセット印刷、CMYKの版をオフセット印刷機に貼り付けて、でっかい紙に空気を入れて包んで判を貼り付けて卒業アルバムを刷っていくって仕事があるんですね。そこの仕事に慣れなくて、当時まだ働き方改革前でっていうのもあったんですけれど、でもちょっと鬱状態にはなったんです。本来の印刷の人が他の印刷部の一番偉い人のパワハラに負けて、やめちゃって僕は印刷部に異動するっていう話になっちゃいそうだったんですね。それで、会社都合退職というか。
当時はブラック企業がまだ多く存在する時代で、手取り15万円で残業代一切出ない会社だったんです。さすがに手取り15万で残業代出ないで貯金が減るような会社っていうのは貯金が減っていく一方で生活が出来なくて、危機感を感じました、東京でね。
最低賃金も下回ってたんで、会社都合退職で辞めさせてもらって、あとで残業代請求してから労働基準監督署を動かして行政指導を入れてもらい、残業代をもらえました。
くじら:
はい。
所在ない:
2社目は内容はぼかしますが、親会社の一番大事な取引先を怒らせてしまい、出入り禁止になってしまって、子会社として責任を取る形で4ヶ月で辞めさせられちゃったっていうのが2社目になります。
くじら:
なるほど。
所在ない:
3社目なのですが、週刊誌で一番読まれる記事って何だと思いますか。
やっぱり、芸能スクープなんです。
ちなみに、芸能人を追っかけてる途中に、追っかけてるのが相手にバレてしまう週刊誌の記者ってどう思います?
くじら:
まあよくない?
所在ない:
なのでやめさせらちゃいれました、以上です。
芸能スクープで有名な文春さんで言うところの、文春砲の武器として欠陥があったんです。
くじら:
苦手だったんですか。
所在ない:
車で追っかけたのもすぐにバレてしまいますし、外で見張ってるときもすぐ通報されるっていう感じですね。
くじら:
はい、わかりました。ありがとうございます。最近楽しかったことって何かありますか。
所在ない:
楽しかったこととかは、できる限りやっぱり人生を楽しもうとはしてるんで。
この1年は大阪にいたから、例えば阪神タイガースの日本一をテレビで見ることができてよかったとか、その時の優勝セールでカメラも家電も安く買えてよかったとか。
くじら:
人からどんな性格って言われますか。
所在ない:
性格はもう何て言うんですか、どうしても嘘はつけないんで、絶対に良い奴ではあるんだろうなって言われます。自覚しているのは敵に回したら面倒くさいとかでしょうか。
発達障害を抱えていて、ADHDの特性がかなり強いので、暴走したら止められないとか。
周りの友人に落ち着けとか言われますけれど。でも変な話、僕は良い友達に恵まれてて、僕の友達として残ってくれる人はもれなく良い人しかいないんですよね。
冷静な友達から「余計なこと言う人」って評価ではあると思います。
でも雑学だったり何かといろんな知識や興味の幅が無駄に広いので、何かあったら「Hey Siri」みたいな感じ聞かれたりとか、車を持っているので「旅行に連れて行って欲しい」って言われてみんなで温泉行けたりとか、「アッシー君」として思われてる部分もあるんでしょうけれど。
他には悪い人ではないけれど、うるさいとは言われます。
カラオケでマイク使わないほど声量が出るのですが、
パリピ、今で言う陽キャの人に「君ってカラオケでマイクを離さない人でしょ?」って尋ねられて、「マイク使わないで歌う人です」って返したら、ドン引きされたことがあるっていう感じです。
くじら:
声量が大きいんですか。
所在ない:
そうですね、職業柄、声量が大きくしないといけなくて。
集合写真とかをどうしても写真で撮るので、声量を出さないと650人の集合写真なんか撮れないんですよ。
そういうので声と喉が鍛えられちゃって、カラオケでマイク使ったらすごいうるさいので普段マイク使わないっすね。
くじら:
ご自身ではどういう性格だと思いますか。
所在ない:
恩を仇で返す人は嫌いだけど、自分のことをちゃんと大事にしてくれる人のためにはもう損得勘定抜きに助けなきゃとか思ったりとか手伝えるよって言っちゃったりとか、多分普通に優しいのかなと。
あんまり後先考えずに優しくしすぎても駄目なんでしょうけど、多分優しい方ではないかなと。やっぱり裏切られたり、期待してたこととか、あと何でしょうね人使いが荒い人とか、そういう自分に対して礼儀がないなと思った人に対しては、やられたらやり返すじゃないですけど、被害を被ったときはちゃんと戦うって感じですね。人情と人と人との関係性を大切にしているというか。
くじら:
お友達は何か自分と似た人が多いですか。結構いろんなバリエーションがありますか。
所在ない:
いろんな友達がいて、ちゃんと自分のことを「それは違う」って否定してくれる友達ばかりです。「駄目なときは駄目、それは違う」って言ってくれる人しかいないです。だから本当に純粋にいい友達しかいないですね。
いろんな友達見てても、絶対犯罪どころが悪いことしなさそうな人ばっかり。裏表がない人ばっかりが友達になるし、年下の後輩も年上の人だからといって、遠慮なく「先輩それは違います」ってきちんと指摘してくれる人ばかりです。ありがたいことに。
やっぱり年齢重ねると、本音でちゃんと注意してくれる人が周りからいなくなるよって話がよくありますけど、自分は割とちゃんと言ってくれる友達に恵まれてますね。
くじら:
所在ないさんの友達の定義って何ですか。
所在ない:
出会って仲良くなってからずっと縁が続く人は、本当に仲いい友達だと思ってます。
僕のちょっと特殊なところなんですけど、全方位外交っていうか、例えば大学卒業してもう10年ぐらい経つんですけれど、普通はだんだん友達とかって減るじゃないですか、結婚したりとか。
僕の場合できる限りその友達の縁を切らないようにしようと思って、普段連絡取る友達とか20人から40人、50人ぐらいにしといて。
例えば、明けましておめでとうとかぐらいになってくると多分2,300人に多分LINEしてみたいな感じで、絶対相手と縁は切らさないようにするとか。友達がそういえば最近別の友達と連絡していなけど、あの人最近元気かな?みたいな話を聞くと、自分が「こないだ連絡取ったけど、こうこうしてるよ」みたいな感じで伝えたりなど、みんなの情報を仕入れて知りたい人に広めるみたいな感じで、できる限り縁を残そうとする感じですね。
でもやっぱり縁は薄くなっていく人がいるので、それはしょうがないかなと思いつつ。
いつもの仲間というか、ふわっとした自分のコミュニティは20人ぐらいですね。
全員遅刻することが当たり前な人たち。例えば、友達みんなで代々木公園でピクニックとか飲み会行こうって言ったら、平均45分ぐらい全員遅刻してくるような人たちです。最大遅刻時間8時間です。
くじら:
怒らないんですか。
所在ない:
その場を楽しむっていうか怒ってもしょうがない、寝ちゃったんでしょうがないんで。出入り自由っていうか、例えばピクニックは、何時からスタートするので自由に来てくださいって言って、用事ある人は先に帰っちゃって大丈夫ですみたいな感じにしといて、もうみんなが遅刻することを前提に場が成り立つようにしてるんで怒る必要がないというか、10人ぐらい勝手に集まってくるでしょ?みたいな感じですね。
みんな社会人なので、仕事だったらしっかりしてるはずですが、プライベートはみんな自分の友達やってくれるぐらいには緩くて心の広い友達なので、基本的にみんなマイペースに気持ちよく生きてる人たちだから逆に成り立ってんだと思いますね。
過去:やっぱ一番人生でやっぱりいい出会いだったのは写真ですかね。
くじら:
所在ないさんが子供のときはどんなお子さんでしたか。
所在ない:
今と変わらない、落ち着きがない子供でしたね。何歳ぐらいを想定されてます?
くじら:
5歳前後とかですか。
所在ない:
5歳前後のときは幼稚園を脱走してました。2回ほど脱走してて、幼稚園が嫌で脱走したんじゃなくて、いや抜け道から自分で家に帰れそうだなと思って脱走しただけなんですけど。
でもやっぱり小学校とかでも落ち着きなかったですし、小学6年生の修学旅行でも、先生にユニバーサルスタジオからちょっと離れたところまで歩いて1人で行っていいかとお願いしようとしてたりとか。
中学も落ち着けなくて10円玉とリコーダーで野球やったら蛍光灯を割ったりとか、隣のクラスの壁に向かってボール投げてたら、ボールがそれてガラス割ったりとかがつきない中学生活を送って。変なやつだったのでバカにされがちでした。
人として認められたのは高校時代ですね。高校時代に一眼レフカメラ持って、写真部入って写真始めたら、写真のコンテストにいっぱい入選したんですよね。今考えると、人生のピークはそこなんですけれど、写真雑誌だったりとか新聞社の高校生向けの写真コンテストに入りまくっちゃって、そこで割と全国的に一番注目されてた時期、17歳か18歳ぐらいのときですね。
くじら:
なんで写真始めたんですか。
所在ない:
元々鉄道写真家になりたくて、撮り鉄なんですよね。
最近はあんまり撮らなくなっちゃったんですけれど。それで鉄道写真を撮るために写真を始めて学校に写真カメラ持ってってたら、遠足行った動物園とかで動物撮ったりとか、友達撮ったりとかしてたりすると、それ見た先輩からライブの写真、バンドのライブやるからその写真撮ってくれって言われてそれを撮ったりとかしてたら、いろんな写真撮り始めちゃって。それで鉄道以外の写真もどんどん撮るようになってって感じですね。
くじら:
大学では何をやられてたんですか。
所在ない:
大学も写真ですね。写真の大学にそのまま進みました。
これは中学校の頃から行きたいと思ってたんですけれど。でも高校のとき理系クラスだったんですけど、理系科目一切使わずに受験しましたね。
くじら:
昔から鉄道写真家になりたい?
所在ない:
なりたかったですね。今はたまに鉄道写真の仕事があるときはあるので、たまにやってなくはないんですけど、それ専門でやってるわけじゃないんで。
くじら:
写真学科ってどういう学生生活なんですか。
所在ない:
フィルムもデジタルも関係なく、ひたすら写真撮ってましたね。鉄道写真も僕はがっつり撮ってましたし、人物も撮ってたし、ずっと写真漬け。
グループ展とかに展示したりとか出したりとか、そんな学生生活でしたね。
美大生だけど写真に集中してたっていうか。残念ながら、才能がそのときには枯渇してましたね。
くじら:
何でですか。
所在ない:
西日本から東京に来る人とか結構多いんですけれど。僕も東京の人との距離感とかがわかんなくて合わなかったっていうので、最初の3ヶ月でまずちょっとメンタルがやられて。
他には学生時代にアルバイトで仕事としての写真を始めたりとかすると、接客業として何を求められているかを考えすぎちゃって、クリエイティブ精神が無くなっていって、お客さんのための写真っていう風に考えちゃったりとかして、独創性のある写真がだんだん撮れなくなっちゃったりとか。
周りの同級生たちがどんどん才能開花したりとかすると、特に焦ってしまって撮れなくなったり。
上手い写真を撮れても、いい写真が撮れないっていうんですかね。だんだん「型にはまっていく」感じがしちゃって、クリエイターとして独自性を出せないのはちょっとまずいっていうか。
くじら:
いい写真ってどういう写真ですか。
所在ない:
上手い写真は技術的なもので、いい写真っていうのは下手でも、例えば何か気持ちが伝わってくるとか。面白い写真とかもあるんですけれど、下手な写真でもiPhoneでも何でもいいんですけれど、感動する写真ってやっぱあるじゃないですか、奇跡的な。
なのでいい写真とは何かっていうのをこれだみたいなのは、どうしても芸術なのでぱっとは言えないんです。説明できるもんじゃないかなとは思うんです。
仕事の上でのいい写真ってなると、この写真撮って自分の仕事間違ってなかった、よかったなとかって思える仕事とかは、技術的にはちょっと下手かもしんないけど、いい写真かなと思ったりしますね。一生物の仕事とか、この写真をこの仕事を越えられる自分の仕事はもう2度と多分来ないんじゃないかなみたいなことはやっぱありますし。それはもう一生物の宝物。
他のカメラマンだったら撮れないであろう写真だって言われると、カメラマン冥利に尽きるっていうか、そういうのはいい写真かなと思ったりします。
くじら:
ありがとうございます。
所在ない:
著作権の関係でここで掲載することは不可能なのですが、某お笑い芸人さんを撮影したら、半年後にお亡くなりになられたんですよ。
彼の誰もが知っているギャグのポーズの写真は世の中にいっぱいあっても、優しい写真とかかっこいい写真っていうのは残ってなくて、他の商業カメラマンの方々は撮ってこなかったんですよね。そのインタビューがメディアに掲載されたんですが。
そしたら半年後にお亡くなりになられて、テレビとかいろいろな媒体で使われたんです。
すごい悲しかったんですが、その時僕が取材した写真を、ご家族の方が仏前に飾ってるっていう話を耳にしたときには、「あの仕事はこれで間違ってなかった、これで良かったのかな」と思ったりとか、そういう話ですね。
くじら:
なるほど。ちょっと今のストーリーで、何となくわかりました。
所在ない:
あとは他にいい写真って何だろうなっていうのは難しいですけれど、あんまり感情論で伝えたくないんですが、その時その時をきちんと伝えて、見る人が喜んでくれる写真。純粋に「いいね!」と思ってくれる写真、もう本当にそれが純粋にいい写真ってシンプルにそれだと思うんですよね。かっこいいとかかわいいとか、それだけでもいいと思うんですよね。面白いとかでもそう。
くじら:
ちょっと話が変わりますが、家族関係とかはどんな感じでしたか。
家族仲はどんな感じですか?
所在ない:
てんでバラバラ。仲はいいんでしょうけれど、みんなで一緒に行動することはできないっていうか、みんなで旅行行こうとかっていうのは全然なかったです。
各自が好きなこと好き勝手やるって感じで、集まるって感じはあんまりない。家族でみんなで映画見るとか、一緒にテレビ見るとかっていうのは全くないですね。
くじら:
昔からですか。
所在ない:
昔から。興味の範囲がみんな異なるという。僕と母親は趣味近いし、妹も音楽の趣味とか近いし、とかはあるんですけど。でも行動力とか違ったりとか、友達が多い少ないとかも違ったりとかはあるので、あんまりうちの家族は社交的じゃなかったりとか。
くじら:
所在ないさんは社交的な方?
所在ない:
社交的なのか冒険的なのか、コミュニケーションが一方通行なのかわかんないですけど、社交的じゃなかったら、多分こういうインタビューとかに出たいとかって思わないはずなので(笑)。
うちの家族とか人前に絶対出たくないっていうタイプなので。
僕も、人前に出たくないっていうか裏方気質ではあるんですけど、裏方の中ではちゃんと目立ちたいというか、面白そうなことには首を突っ込みたいというか。
でも、自分自身の人生において主人公力はないと思ってて。ひねくれてますけれど主人公にはなりたくないですし。
その一方で主人公力の高い人たちから疎外されるのは、ちょっと嫌だなと思ったりとかする感じですね。何か陽キャにも陰キャにもなれないっていうか。
なんだろう、スクールカーストとかのヒエラルキーの外にいるとか、自分の居場所がどこにもないじゃないですけど、上とか下じゃなくて外なんだみたいなのはありますね。
3月に自分のnoteに記事を書いたところ、45万PVいったんです。
そのあとにnote創作大賞に何となく出したんですよね、タグ付けて。
note創作大賞の応募作品のうち、いいね数が多い記事のトップ10でかつ1年以内に書かれた作品の中で、唯一、中間審査通らなかったのは僕の記事でした。
それで、なるほどと思って。
くじら:
なるほど、というのは?
所在ない:
読まれた数や社会的な反響があったり、いいね数とかが一番トップ10に入ってるのに、この1年に書かれた中で、僕のだけnoteっぽくない記事というか、明らかに異質なものをぶっこんだっていうのもあって、応募作品の中でいいね数だけでいうと自分の記事は上から3番目なんですよ。いいね数が6500とかいっちゃったんですよね。
だけど、全然中間審査で選ばれなかったりとかして、内容が内容だけに想定してたんで全然いいんですけれど。
友達にはライターさんに言われたのは、
「麦わらの海賊団の中に太宰治がいるような感じ。お前の乗る船はこの船じゃない。」「太宰治じゃなくて小林多喜二の蟹工船じゃない?」みたいな、っていうツッコミをもらいました(笑)。
くじら:
世界が違う?
所在ない:
世界が違うみたいで、どうやらノリとか世界観とかが多分他人と異なるというか。
くじら:
過去に何か印象的だったり、すごい大事な出会いとかありましたか。
所在ない:
大事な出会いですか。どういうニュアンスでしょう?
くじら:
もう何か自分にとって出会えて良かったなとか。
所在ない:
出会えて良かったな、、、というのは、趣味とか写真は出会えて良かったでしょうし、いろんなことに趣味を持ったので、それがきっかけでいろんな知り合いができた、友達ができたっていうのもあるんですよね。
音楽とかもそうかもしれないですね。聞くミュージシャンとかもそうかもしれないですけど。うーん、難しい質問ですね。
くじら:
そんな出てこなければ、大丈夫です。
所在ない:
温泉の趣味とかジーンズの趣味とかそういうのしかない。趣味の話になっちゃうのでちょっと違うのかなと思ったり。人生で出会ったってのはやはり、写真・カメラになってきますね。
くじら:
わかりました。
所在ない:
逆に言うと、修羅場経験が豊富っていう意味では、良い出来事っていうより悪い経験をいっぱいしてきたっていうのは、すごい自分の人生の糧になってるのかなとは思いますね。
くじら:
それを前におっしゃっていた、会社を辞めさせられたとか?
所在ない:
最初の会社辞めさせられたときの残業代請求とか。
あとはそれこそ、さっき軽くお話しましたが自分は発達障害を持ってるって話なんですけれど、そこで発達障害の専門家とかと出会って、意見交換し合ったりとか。
そういう出会いはすごい大事だったかなと。
また、写真やってたから、それで出会いもあったっていうのもあったし、やっぱ一番人生でやっぱりいい出会いだったのは写真ですかね。写真がなかったら、こんなに自分の人生の可能性はなかったなっていうのと、写真以外の仕事は多分もうできないなと思ってますね。
未来:「今時の若者は」って老害になりたくはないけれど、古い人の価値観も忘れずに、まだまだ若いもんには負けないぞ、時代に逆らって生き延びていきたいなと図太くは思いますね。
くじら:
では5年後、10年後、あるいは死ぬときまでを想像していただいて、未来についてどういったイメージをお持ちですか。
所在ない:
将来は、自分の職種的に業界全体がお先真っ暗になるしか見えないというか。
そこら辺はちょっと自分のnoteにも書いたんですけれど、写真業界が結局斜陽産業すぎて、自分の仕事なくなっちゃうんじゃないかなっていうのがものすごい心配なので。
10年後もやっぱり雑誌やメディアっていうものがどうしても減ってくるでしょうし、そうじゃなくても他の仕事とかも変わってきます。
10年たてば、やっぱり常識も変わってくる。10年前はコンプライアンスなんて言葉はそんなに使われなかったですし、働き方改革とかって概念なかったですし、10年後自分がちゃんと写真の仕事できてるかどうかって言ってあんまり自信がないけれど、自分には写真しかないから、それで何とかして食らいついていかなきゃいけないんだろうなと思ってますね。
くじら:
はい。
所在ない:
でも、働きすぎたりとか無理に稼ぐっていうのよりは趣味に走りたくて。健康的で文化的な最低限度の生活は忘れずに、生活における文化的な部分の底上げはしたいですね。
写真以外にいろんな趣味があるんですけど、そこをやっぱり楽しみたいなと思ってますね、10年後も5年後も。
のんびり趣味、温泉に行けたりとか、友達とドライブ行ったりとか、そういうのに明け暮れたらいいかなって思ってます。ずっとのんびりと。危機感を感じすぎず、努力ももちろんそれなりにはするけど。
あとは、ちょっとでも時代の流れに逆らいたいな。
例えばAIだったりとか自動運転だったりとか、自動になって便利になったねとかっていうところがあったりとかあると思うんですけど、そういうのにちょっと逆らって全部便利な世の中にするのはよくないんじゃないかというか。
全部便利にするとか違うというか、ちょっと振り返ってみても、古きを訪ねて新しきを知るっていうことも大切だし。話にまとまりがなくなってきちゃったんですけど、時代に逆らって今時の若者はって老害になりたくはないけれど、古い人の価値観も忘れずに、まだまだ若いもんには負けないぞみたいな流れで、年の功で逆らって生き延びていきたいなと図太くは思いますね、死ぬまでね。
一方で無理に生きなくてもいいかなとも思ってて。変な話、安楽死制度とかあったらまたそういうのも合法化されるんだったら、それはそれでいいことだと思いますし、そこは人の自由だなとは思ったりはしますけれど。
変な話、「死ぬまで生きれる」んですよ。死ぬまで生きれるってことは、無理して生きたくはないけど、生きるんなら楽しく生きようかなと思ってますね。楽しく生き延びるっていう感じですかね。
くじら:
死ぬまでにこれやりたいなとかありますか。
所在ない:
死ぬまでにやりたいことは、もうちょっと海外行きたいとかはありますけれど、台湾しか海外行ったことなくて。
今年、人生で初めて海外に行ったんです。32歳の歳で。
台湾到着した初日に骨折しまして。肋骨を折りまして。
くじら:
何でですか?
所在ない:
九份ってあるじゃないすか、千と千尋みたいな雰囲気のエリアなんですが、路線バスバスで降りようとしたら、急ブレーキがかかって前に倒れて、すぐに急発進で後ろ側に倒れて、それで胸と腰をめちゃくちゃ打って、結果肋骨が折れてました(笑)。
日本に帰っても痛みが取れなくて痛い痛いと思って、レントゲン撮ったら骨折でした。
人生初の海外旅行初日で骨を折るって、日本人で初めてレベルだと思うんですけどね(笑)。
くじら:
(笑)
所在ない:
やっぱりちゃんと仕事してちゃんと休みの日は休んでいい仕事はして、承認欲求はすごい強いので、この仕事してよかった、所在ないさんに写真頼んでよかったって言われる仕事をずっと続けられたらいいかなと思ってます。生涯現役で。あとはやっぱり真っ当に生きたいですね、人生はね。
後ろめたいことはしたくないなって思ってますね、最後まで。
くじら:
もしも質問というのをさせていただいてるんですけど、所在ないさんがもしも写真がない人生だったら、どういう人生だったと思いますか?
所在ない:
写真がない人生、、僕は勉強できなくて落ちこぼれだったんで、写真がなかったら、もっと社会性がなくて、どこにも就職できなくて雇われなくて、大学にも入れてないと思います。人間の基礎的な能力とか学ぶ力とかが多分他の人より劣っていて、そのかわり興味のある範囲には極端に知識量があって。
写真やってなかったら、承認欲求はあんまり強くなってなかったのかなって感じです。惰性で生きていたのかもしれないです。
写真やってるから「すごい」「これいいね」って言われ続けて、それで仕事してるっていうところもあったので、写真やってなかったら本当に何してたんだろうって感じですよね。
物心ついた頃の写真撮ってたので全然想像もつかないし、多分社会人になれてないんではないかなと思います。僕を雇ってくれる人なんかいないかなと。
ただ、団体行動が元々すごい苦手で、組織に属するということは、会社の看板を背負うってことだとおもうのですが、出る杭は打たれるじゃないですか。
僕の場合、「出る杭打たれると飛び出ちゃって抜かれる」んですよね、あの子使えないって、そういうタイプなので、写真やっててもそれぐらいの社会性なので、多分写真やってなかったら多分ろくに就職できずもう大変なことになってたんじゃないかなと思いますね。
それこそ、発達障害持っててADHDって話軽くしてたんですけど、落ち着きがないっていう部分を薬を上限飲んでても落ち着きがないので、それをカメラのファインダー覗くことで物理的に抑えるんですよね。右手と左手がカメラとレンズで持ってる状態で目はファインダーの中覗いてたら、もうそれで体が固定されるのでそれで落ち着けを強引に減らして、衝動性と多動性を抑えるっていう役目が、補装具としての役割がカメラにあると勝手に思ってるので、何かある意味天職だなと思ってますね。あとだからそこの部分の技術と、信頼性積み重ねていけば、仕事は何とかできてるのかなと思いつつ。
くじら:
ADHDとかちょっと鬱になったとかおっしゃってましたが、そういう部分が写真に影響してるのって思うことはありますか。
所在ない:
写真の仕事、まあパワハラで鬱に最初になったので、写真撮ったら回復するというか。印刷のときに印刷しかできなくて、使いものならないって言われてたんですけど、そのときに撮影の仕事を与えられたら、水を得た魚のようにすごく生き生きとしたんです。
ADHDの特性が悪影響を及ぼすときもあります。
鉄道写真を撮るときに「この構図で」って決めてたっていうのを、やっぱりああしようかな、こうしようかなみたいな感じで優柔不断になっちゃったりとかするときはありますね。
くじら:
最後に言い残したこととして、読者さんに向けてとか、ご自身に対してとか感想でも何でもあれば。
所在ない:
こんなまとまりのない話してよかったのかなっていう話なんですけれど(苦笑)。
代わりがきかない人間っているじゃないですか。
「世の中にお前の代わりなんて誰でもいるんだぞ」って言う人は結構いるし、実際その人がいなくても世の中は回ってる、だから何とでもなるって思ってるかもしれないけど、そんなことはなくて。
「絶対お前じゃなきゃ駄目なんだ」っていう、その人の代わりは絶対誰もいないっていうところで、みんなプライドを持って生きた方が、人生は有意義になるんじゃないかなって思いますね。
でもこの結論にしても何か今日喋った話と関連性がなくてアレですけど。
くじら:
いや、全然大丈夫です。
所在ない:
例えば、ダウンタウンの松ちゃんがいなくても、世の中やテレビ業界とか回ってるみたいな話ですけど、世の中はみんな何とかして回してんだよみたいな。
それに本当の松ちゃんの代わりはいないんだぞってところはやっぱあるんで、何かそういう話に近いと思います。
なので、絶対唯一無二の存在になるとやっぱり人生楽しいぞって言いたいですね。
くじら:
それはご自身が写真を通して感じることなんですか。
所在ない:
写真を経験して特に思ったと思います。自分だからできる写真、自分じゃなきゃ撮れない写真とかってのはやっぱりありますし。
歌手で言うとV6の年長のメンバーの構成された「20th Century」ってユニットのヒット曲で、「オレじゃなきゃ、キミじゃなきゃ」っていう曲があるんですけど、その歌詞みたいな感じで、その人じゃないけど駄目っていう部分をちゃんとやっぱね伝えたいことですかね。
迷ってることがあっても、迷わずにまっすぐ向いて走るっていうのが大事かなと思ってますね。あとは、やっぱり人として間違ってるなって「ん?」って疑問に思ったことはやっぱりその直感は正しいと思った方がいいかなと思っています。流されるなっていう意味でちゃんと疑えっていう部分は必要かなと思ってますね。
くじら:
はい、ありがとうございます。
所在ない:
本当にまとまりがなくて申し訳ないです。
本当はもっと、公では話せない話題がたくさんあるので、多分人生経験はかなり豊富で面白いタイプの人だと思うんですけど、守秘義務やらコンプライアンスに反することばっかりなので言えないんです。いいたくてたまらないんですけどね。
でも多分、普通に生活してたら、僕みたいな経歴を持つ人になかなか会わないと思うんですよね。
そのレベルで他に代えが利かないとか、この人ちょっと特殊だなって思われるのがやっぱり良いのかなと思ってます。
あとがき
🐳くじらは写真を撮る習慣がほとんどなく、撮っても見返さないというほんとにフォトジェニックとかとは無縁の日々を送っています。
Instagramなどでたくさんの人が写真を撮ってアップしてますが、これって思い出が「この写真を撮った」思い出になっちゃうじゃん、今この瞬間を楽しまないでどうするの、と思って避けていたんです。
でもプロの方ってやっぱり違いますね。その瞬間しか撮れない、その時にのみ訪れる空気、思い、雰囲気、表情や感情、それらを一瞬で捉えて写真として保存する、芸術そのものだなぁと思いました。
【インタビュー・編集・あとがき:くじら】
【編集:komima】
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