趣味の交友関係の人たちと何かできたらと思っている人
時に2008年(たぶん)。私qbcがSNSを開発、運営する会社に入ったのはそれくらい。
当時はSNSという言葉はなくて、CGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)って呼んでました。Twitterはミニブログとか呼ばれていたのではと。
コミュニケーションについて考える会社で、人間てまずは血縁で繋がるよね、その後で地縁で繋がるよね、そういったものは、家族や近所といった半ば強制的な繋がりなわけだ。物理的に切り離しにくい関係性。
でも、インターネットの登場によって、価値観だけで繋がることのできる環境が作れるんじゃないのか? というテーマでSNSを作っていた。会社の関係者には大学の先生や、今ではメディアに出ているようなビジネスパーソンもいた。
ほとんど人類の歴史とイコールの血族、土地縁をブっちぎって価値観で繋がるというアクロバットに夢中になったわけだ、20代の私は。まあ、結果的には新しい世界を見たいという気持ちと体力が追いつかず、鬱になって退職してしまうんだけど。
人間が、産まれた家族や場所に囚われず、しがらみから離れて自分のやりたいことを自分の価値観に従って行う。ノマドや自由な働き方というのも、インターネットが可能にした世界の中で成り立っている。
それで、無名人インタビューというのも、たぶんこの経験がなかったら生まれなかっただろうなと思う。その人が限りなくその人らしい姿とはなんだろうというロマンチックは、インターネットの持つ自由さなければ、きっと実現しなかっただろうと。
昔話をしてしまった。ということで今日の無名人インタビューも楽しんでいってねー!!(主催:qbc)
今回ご参加いただいたのは 大塚一輝 さんです!
現在:趣味を共有できる人の繋がりの中に身を置きたい
ナカザワ:大塚さんは今何をされてる方ですか?
大塚:本業は新卒1年目の一般的な会社員で、営業をしています。
服とか、あとはコーヒー、カフェが好きなので、自己満に近いんですけど、趣味でそういうことをInstagramで発信しながらnoteで自分の思ってることを整理するために文章を書いたりしてますね。
ナカザワ:Instagramは趣味の発信用ですか?
大塚:そうですね。発信したいっていうのももちろんあったんですけど、服とか、コーヒーとか、音楽とか、自分と似たような趣味を持つ友達っていうのが自分の周りにすごく少なくて。そういうものを共有できる人の繋がりの中に身を置きたいなっていうのも、メインの理由ですね。
フォローをし合うとそういう人たちと会う機会も増えていくだろうなと思って、そういった活動を始めました。
ナカザワ:実際どのくらい人間関係が広がりましたか?
大塚:本当にガラッと変わりました。発信自体は一昨年の9月、10月ぐらいから始めたんですけど、何人とか数えられる人数じゃなくて、本当にいろんな人と関わりを持てるようになりました。お店の人とか、自分で自分の軸を持って頑張ってる人だったりとか。
ナカザワ:そういう方とはオンライン上のお付き合いですか? 実際に会う方もいらっしゃいますか?
大塚:実際に会う人もいますね。遠方の人でも、自分から行ったり、自分は名古屋に住んでるんですけど、逆にこっちに来てくださったときにちょっと声かけたり、かけてもらったりとか。
ナカザワ:そういう繋がりってInstagram関係の方が多いですかね。
大塚:そうですね。やっぱりInstagram関係で実際に会ったりとか、紹介してもらって、どんどん、連鎖的に人の繋がりが生まれているような感じですね。
ナカザワ:なるほど。人と会うのは好きな方ですか?
大塚:うーん、基本的には人と会うのは好きなんですけど、大人数のコミュニケーションが苦手で。少ない人数、一対一とか、多くても4人とかぐらいで、深い話をし合うというか、そういう関係性の方が好きなので。
広げていくのは好きなんですけど、いわゆるなんだろう、陽気な人というか、そういうのではなくて、内々でのんびりとするような感じですね。
ナカザワ:そういう方々とは、会ってどんなことをするんですか?
大塚:コーヒー関係の人が多いので、一緒にコーヒー飲んだり、飲んで喋って、いろんなお店について喋ったりとか。ときには深い話、人生観の話をしたり。そういうことが多いかなと思います。
ナカザワ:コーヒーはどんなところが好きですか?飲むのが好きってことでしょうか。
大塚:元々コーヒーが飲めなくて。
コーヒーも飲めない、ラテも飲めない、コーヒー牛乳も飲めない。紅茶もレモンティー、ミルクティー、ハーブティー、何も飲めなかったんですけど、学生時代のアルバイト先でカフェで働くようになって、そこから嫌でもコーヒーを飲まなきゃいけない時間があって。それで嫌々飲みながらでした。
ナカザワ:うんうん。
大塚:そんなとき、アルバイト先の先輩に、浅煎りのコーヒーが飲めるところに連れてってもらったんです。今まで自分のなかでは深煎りとか、コーヒー = 苦い、黒い、濃い、とかってイメージしかなくて。そのアルバイト先でもそういったコーヒーに近いようなものばっかり飲んでたんですけど。浅煎りのコーヒーって、色がまず全然違って、鮮度が高くって。苦くなくて。フルーティーで。
それで、香水とかワインとかみたいに、時間の移ろいと共に、味とか、香りが変わる。むしろ冷めていくにつれて、本来の香りが出てくるとか。長い時間、一杯のコーヒーを楽しむっていうのに出会って。そういう感覚がなかったんですけど。
実際にそのコーヒーもすごく美味しくて。美味しいというか、自分の概念をガラッと変えたんですよね。そこからコーヒーに対する幅とか概念みたいなのが変わって。そこから沼にハマっていったってな感じですね。
ナカザワ:そのコーヒーは美味しく飲めたっていうことですか?
大塚:そうですね。美味しかったですね。
ナカザワ:コーヒー飲めないけど、バイト先はカフェだったんですね。
大塚:アルバイト先を探してたら、友達に紹介してもらったんです。結構競争率が高いところで、受からないだろうと思って。顔採用とかって聞くし。記念受験みたいな感じで受けたら、通っちゃったので。
ナカザワ:なるほど。趣味として自分の興味が大きいのはどれですか?
大塚:そうですね、コーヒーが一番大きいかなと思うんですけど、結構趣味もたくさんあって。コーヒー、読書、サウナ、この3つが自分の中で大きいウエイト占めてるんですけど。ラジオもよく聴きますし。最近カメラを買ったので、写真を撮ったり。
あとはずっとジムに通ってるんで、トレーニングもしています。大学がスポーツ科だったので、体を動かすこととか、体を強くするっていうのも好きで。あとは文章を書くっていうのも趣味のひとつになるので。
趣味が多い、いいのか悪いのかっていうような感じですね。(笑)
ナカザワ:どういうきっかけで、趣味を始めるタイプですか?
大塚:なんか面白そうだなと思ってやったらハマったっていうのが大きいですね。あとはさっきも言ったコーヒーは、味の移ろいとか、時間の経過とともに味が変わっていくっていうものなので、同じようなワインとか、あとは最近よくあるクラフトビールとか。ああいうのも最近飲んだりとか、楽しんだりするので。今の趣味から派生していくっていうのも、あるんじゃないかなと思います。
ナカザワ:面白そうって思うのはどういう理由が多いですか?
大塚:あんまり友達派生っていうのがなくって。それこそ本で読んだりとか、Instagramのストーリーでちらっと見たりとか、町の広告でちらっと見たりとか。そういう、ぱっと目にしたっていうのが多いかなと思います。
ナカザワ:ありがとうございます。
ここまであんまりお仕事の話は出なかったんですけど、生活の中で、ウエイトは趣味の方が大きいですか?
大塚:仕事も仕事で、 始めて今、4月からだから、7ヶ月か。7ヶ月ぐらい経つんですけど、仕事は仕事として割り切ってるので。今自分のやってることに夢中で、できるようになりたいとかあんまり何か他の事を考える余裕がない。
もう目の前のことを、来てはやって、来てはやって、っていうような状態なので、深く考えきれてないんですよね、仕事に対して。
ナカザワ:なるほどなるほど。
大塚:それでずっと一日中集中してやる分、休日ぐらいは開放感持ってやりたいなっていうのが大きいです。
最近、好きを仕事にするとか、得意を仕事にするとか、仕事と趣味の境界線をなくすとか、そういうような働き方の提唱がよくされてると思うんですよね。自分も元々はそういう働き方をしたいなと思ってたんですけど、就職活動とかがなかなかうまくいかなかったり、自分がやりたいと思っているような産業が、この愛知県では活発ではなかったり。そういうことがありました。
趣味と仕事の境界線を曖昧にする前に、一旦きちんと、会社、普通の会社で働いたうえで、趣味の方で、本業とは別で、副業まではいかないですけど、派生していけばいいかなと思ってます。
ナカザワ:なるほど。仕事を始めて趣味の考え方って変わりましたか?
大塚:考え方自体はあんまり変わってないと思うんですけど、より深く没頭できるようにはなりましたね。さっきも言ったように、仕事と趣味っていう明確な線引きをしている分、今日は楽しむ。今日は頑張る。今日はダラダラする。っていう、メリハリっていうのがすごくついたような感じがします。
年末にさしかかるにあたって、結構繁忙期で。自分が入ったのは本当にちっちゃい会社で、全然ブラックとかじゃなくて、むしろ気持ちよく働かせてもらってるんですけど。
まあ、社会って大変なのかなっていう、半歩目というか。そりゃ楽しいことだけじゃないし、達成感が常にあるわけでもないし。ちょうど今、なにを目的として働けばいいんだろう、っていうところが悩みですかね。
過去:あんまり自己主張しないけど、本当は目立ちたい
ナカザワ:どんな子どもでしたか? 記憶があるところでいいんですけど。
大塚:結構内気で、本当は目立ちたいけど、学校という、一個の社会の中のヒエラルキーをちょっと気にしすぎるところがありました。自分はあの子よりも下だ、っていう劣等感のラベルが常に貼ってあるような。表現が難しいんですけど、上の人たちと繋がりたい、仲良くしてもらいたい。その中でもちょっと目立ちたい、でもヒエラルキー的なものになかなか抗えない。
元々の性格も内気な方なので、それをうまく主張ができなかったり、それが原因でちょっとしたいじめもあったり。そういう状況が小学校、中学校ぐらいですね。高校からはそれぞれ違う学校に行くので変わったんですけど、小中は持ち上がりの学校だったので。
ナカザワ:なるほど。
大塚:自分は転校してその学校に入って、そういう境遇で持ち上がりだったんですが、高校でバラバラになって、自分の中で高校デビューというか。
同じ中学から同じ高校に行く人の中に自分のことをぞんざいに扱う人はいなかったので、本来の自分の色を出しながらやれればなと思ってたんですよね。
ただ、いかんせん学校が市内で、しかもSNSが出てきはじめた時代だったんですよね。友達の友達とかがどんどん増えていくので、大塚調子にのってるらしいな、みたいなことを地元に帰って最寄りの駅に着くと言われたりとかしたんですよ。
いつまでたってもそういうものに抗えないのかなと思いながらも、でも、中学校みたいに同じ学校とか同じところで生活してるわけではないので、いつか本当に完全に分離する日が来るのかなと。
ナカザワ:はい。
大塚:大学になって、自分がコーヒーとか服とか突っ走っていくようになってからは、もうどこ見ても、そういう、昔自分のことを揶揄してきた人がもういないし。会ったとしても、会ってなにか言われたとしても、本当に何も気にならなくなった。
地元の子に、お前カフェ行きすぎだろうみたいなことを言われたんです。どういう意図を持ってそういうことを言ったのかがわかんないんですけど、本当に何も思わなかったというか。何も思わなかったし、逆に自分が今その子が何してるのかがわかんなくって。何してるの?って聞いちゃったんですよ。あとから思うと嫌味だったなと思うんですけど、逆に何してんの?って。
向こうは多分自分のことを見てるから知ってるけど、自分はそもそも気にならないから、気にならないし、復讐というかそういうのも全然何も思ってないから。何をしてるの?っていうふうに聞いちゃったのがすごい嫌味だったなと。(笑)
ナカザワ:あー、なるほど。
大塚:あとですごい反省したんですけど。(笑)
昔は内気だったんですよね。野球もやってたんですけど、監督、コーチの様子とかに気を配りながら野球やってたので。自分中心でっていうよりは周りの環境とか、学校もそうですけど、周りの人の様子とか心情とかっていうのを気にしながら、人の顔色を伺いながら、周りを気にして生きてたなとは思います。
ナカザワ:なるほど。ちなみに高校デビューって話が出てきたんですけど、中学校のときと変わったのって人間関係だけですか?何かそれとも他にも変わったり、変えたりとかしたことってあったんですか?
大塚:自然と明るくなったんですよね。
あんまり自己主張しないけど、本当は目立ちたい。ちやほやされたいっていうのを表現できてなくて。高校になると逆に、人に迷惑かけちゃうぐらいというか、うるさすぎるぐらい、表現するようになって。本当に、人前で、お笑いのものまねとか、一発ギャグとか、全然躊躇せずにやるようになりました。
ナカザワ:それはずいぶん変わったんですね。
大塚:でも今はもうできないんですけど。(笑)
ナカザワ:大学とかでちょっと落ち着いたってことですか?
大塚:そうですね。明確なのがやっぱり20歳になって、ちょうどコロナ禍になって。それが就活の時期とも重なって。
高校までは視点が外に向いてたんですけど、どんどん視点を内側に向けていったような感覚。就活するにあたって自己分析とか、過去を振り返ったりするので。
コーヒーっていうのも舌で味わいを感じたりとか、五感を使って感じたりとか。なんかどんどん内々になっていったので。戻ってはないんですけど、でも元々の内気な部分っていうのが徐々に戻ってきたような感じです。
ナカザワ:内省感が強まったんですかね?
大塚:もうかなり強くなったと思います。
ナカザワ:なるほどなるほど。そこからちょっとずつ、今の方に繋がってくるんですね。
運動はずっと続けてるんですか?
大塚:運動は今もやってて。ジムに行くのもそうですけど。たまに地元のソフトボール、リーグ戦が年中あるんですけど、今でも運動というか、ソフトボールなんですけど、続けてますね。
ナカザワ:そういうのは昔からの人間関係の方々と一緒にやるんですか?
大塚:本当に地元の町内ソフトボール会があって。おじいちゃんとかと一緒にやったりするんですけど。誘ってもらったのは、小中高の、小学校とかの先輩。ずっとかわいがってもらってる先輩に、誘ってもらって。その先輩には回答の選択肢が「はい」か「イエス」なので。(笑)なのでそれで、誘ってもらって参加しました。
ナカザワ:なるほど。
ちなみに大学は名古屋近辺だったんですか?
大塚:名古屋というか愛知県の端っこなんですけど、同じ県内です。
ナカザワ:愛知の人の進学、通常の感覚がちょっとわかんないのでこれは合っているのかわかんないんですけど、例えばさらに大都市に行きたいとか、遠いところに行きたい、みたいな思いはあったんですか?
大塚:大学は元々、第一志望だったところは県外でしたね。でも、自分の周りの話になっちゃうんですけど、あんまり出たいって言う人はいないですね。他の近隣の県に比べて大学数が多いので。
自分もいわゆる、自称進学校というところだったんですけど、そういう学校は国公立に行きなさいっていうような方針だったので、県外の国立、県内の公立とかに行く子も自分の高校では多かったです。ただ、基本地元が多いですね。
ナカザワ:なるほど。ありがとうございます。
今、多趣味でいろいろされてると思うんですけど、趣味を楽しむようになったのっていつぐらいからですか?
大塚:あんまり自分で広げようと思ってなかったんですけど、20歳の頃くらいから一気に増えたような。元々の趣味はもちろんあったんですけど。20歳ぐらいからが大きいかなと思います。
ナカザワ:なるほど。ちなみに、お仕事、今営業をされていると思うんですけど、学生の時点ではどういう仕事に就きたいと思っていたんですか?
大塚:元々エンジニアになりたくって。今思えばエンジニアの働き方が自由だったりとか、そういうのにあこがれてたっていうのは思うんですけど。当時はエンジニアになりたいなと思ってました。
ナカザワ:大学の専門、スポーツでしたっけ?
大塚:そうなんですよね。全然逆。身体を使うか頭を使うか、本当に真逆なんですけど、それもあってかやっぱり専門的な知識を大学かけて勉強してないので。独学だったので。なかなかうまくいかなかったですね。
ナカザワ:そういう働き方をしたいと思ってたけど、今の仕事を、最後は選択したことにはなる?
大塚:まあ割り切れたって感じでしょうか。もう一旦、本当に働けるだけでありがたいというか。今の仕事が決まったのは4月に入ってからで、いわゆる4月1日からの入社式のときは、まだ家にいたんですよね。4月1日に内定通知をもらったので。
4月1日の夜に内定通知をもらって。実際は新卒扱いですけど、中途の枠で。未経験OKの中途の枠で受けてるので、応募ページの上では中途採用。本当に、時期が遅い分、働けるだけありがたいなあっていう。
あとは自分が絞りすぎてたってのもあったんですよね。もうこの業界のこういう仕事で、こういうところで、こういうのがいいとかっていうのを絞りすぎていたので、もうちょっと広い視野で見てみようかなと思ったときに、3歩4歩ぐらい離れたときに今の会社が入ってたので。縁があって内定をいただいた。とりあえずそこで頑張ってみようと今の会社に決めました。
入る前に100%理解するなんて無理だし。入ったら入っただけの別の楽しさ、大変さとか。どの仕事でも多分あるだろうなと思ったんです。
まずは入ったところで、自分なりの大変さ、苦悩とか、中にあるわずかな楽しさを見出せればいいかなと思って今のところに決めました。
ナカザワ:ご縁ですね。
大塚:本当に拾ってもらったっていう感覚がすごく強いので。その分、頑張ろうっていう気持ちではあります。
ナカザワ:やりたいことが愛知には少なくて、みたいな話もちょっと出てたんですけど。場合によっては愛知じゃなくてもよかったんですか?
大塚:愛知というか東海近辺で探してたんです。彼女の地元での就職が決まってたので。もうそこで終わるわけじゃなく、今後も長いお付き合いになるというのは、お互いに思ってるので、県内、近いところがいいなと。むしろそれが選択肢を狭めているということにもなったと思います。
未来:自分の魅力が出せるのかはもっと後な気がする
ナカザワ:ちょっと未来の話もしていきたいなと思っていて。ご自身では、未来についてどういったイメージをお持ちですか?
大塚:難しいですね。ニュースでは批判的な報道がされていて。老後に対するお金のことだったりとか税制度の話とか、出生率とか、いろんな問題が取り沙汰されてると思うんですけど、ちょっとそれは正直もう、自分ではどうしようもできない。それは現実問題としてそういう問題を受け止めて、今から対策できるお金のことだったりとか、生活の仕方っていうのを考えつつ。
そんなに華やかな暮らしがしたいとか、華やかにっていうのはないので。質素に、でも、ほんのちょっといいもの。毎日の150円のビールよりも、週末の800円のクラフトビールを飲みたい、みたいな。車も別にいらないし、大きい家に住みたいと思わないけど、いわゆる丁寧な暮らしというか。暮らしはそれぐらいでいいかな。
あと、何かわかんないんですけど、自分の魅力が出せるのかはもっと後な気がするんですよね。転換点がもっとあとに来る気がするので。
ナカザワ:なるほど。
大塚:何か理由があるわけでなく感覚的な問題なんですけど、どっかのタイミングでぐっと広がるようなときが、仕事も、交友関係も。そんな気がしてるので。
割と悲観的ではなく、かつ、華やかなイメージも持ってるわけじゃなく。現実に即してちょっと斜め上を見ているような感じです。なんだろう、ちょっと期待感があるというか。特段未来が、今と大きくガラッと変わるわけではない。今の、今日の、明日の、1週間後の…の繋がりで未来って言う点があって、そういう線の中の点でしかないので。人生の転換点がどこかできそうだなと思いつつも、結構、現実的に見ているかなと思います。
ナカザワ:これからの転換点として想像しているものに近いものって今までにありましたか?
大塚:ありましたね。去年の10月31日なんですけど。
ナカザワ:はっきりしてますね。
大塚:さっきも言った、SNSの投稿を始めて、知り合った人と初めて会うことになったときです。その方が岡山の方なんですけど。自分よりも三つか四つ、五つぐらい年上の方で。その方との出会いが、新しい人間関係への扉を開いてくれたっていうか、一歩目になったんですね。
カメラとかいろんなことをやってる人なので、人生の経験値がすごく高くて、今の自分の悩みもすごく優しく聞いてくださった。肯定も否定もせずに、聞いてくれて、かつちょっとアドバイスもらうときはやっぱり自分の思ってる二つぐらい上を行ってる。この人すごいなっていう人に出会えたんですね。
しかも、コーヒーとかカメラとかっていう似た趣味を持ってる人。オンラインで会った人と初めてオフラインで出会ったので。
その日が結構大きい1日ですね。
ナカザワ:それを経て、ご自身で変わったことって何だと思いますか?
大塚:人には人の魅力があるんだなっていう。その人にしかない魅力があるし、結構深い話をしたので、結構そういうことを考えている人は、やっぱり出てくる言葉にすごく重みがあるし。人を見る目が変わったかなと思います。
ナカザワ:なるほど。自分以外の人を、評価するポイントみたいな感じなんですかね。評価っていうとあんまり良い表現じゃないですけど。
大塚:人には人の良さがあって。多様性というとちょっとまたこれも雑な表現になっちゃうんですけど、いいところがあって。考えてることも育ってきた背景も違うので。
割と、これはいい、これは駄目っていう、今まではそういうふうに二分化してたところはあったんですけど、それはその人の個性だよねっていう視点でなんでも、よく捉えられるというか。それはその人だよね、っていう捉え方ができるようになりました。
ナカザワ:確かに、結構違いますね。そうすると。
大塚:そうですね。その後も何回か、直接お会いする機会もあったんですが、またその人が新しい人を紹介してくださったりとか。
今年の1月に一人旅で岡山に行ったんですけど、素敵な場所で、瀬戸内海で見る夕焼けはもうちょっと忘れられないです。
小豆島とか、直島とかも近いので。まぁ、近いっていってもバスで30分40分ぐらい、そこからフェリーに乗るのでちょっとかかるんですけど。
ナカザワ:行ってみたくなりますね。
あ、一個聞き忘れた。趣味は趣味で、副業とは言わないけど楽しんでいきたいという話、されてたと思うんですけど、そのあたりは今後具体的なところってあるんでしょうか?
大塚:まだ全然告知はしてないんですけど、1個2月、コーヒーのイベントやることが決まってるので、まずはそのイベントに向けてちょっと準備しつつですね。
でも、そのうち、趣味の方で派生していった仕事、交友関係の人たちと一緒に何かできたらとは思っています。ちょっとした場所で文章とか書いたりしながら、コーヒーを出すっていう。お客さんが来て、一緒に楽しんで、またそのきっかけで、ちょっと仕事になったりとか。
ナカザワ:はいはい。
大塚:趣味は趣味のままで終わらせるっていうのもいいですけど、何かの形で出したいっていうのがあって。今回のこのイベントにも繋がったので。お金になるかとかっていうのは一旦置いておいて。そういうのを自分から生み出す側にはなりたいなと。本業だけではなくって、いろんな面で何かを生み出せるような人になりたいなというふうに考えてます。
ナカザワ:面白いですね。話してくださった趣味って全部、1人でもできるものですよね。
大塚:まさしく。誰かとやる趣味ってそれこそ、野球とかソフトボールくらいなので。
ナカザワ:ガラッと話変わるんですけど、もし、理想の仕事だと思っていたものに就けていたとしたら、どういう人生になってたと思いますか?
大塚:多分やりたかった仕事に就いたとしても、同じように、いきなり大きな仕事を任せてもらえないし、大変な時期、わからないことを覚える時期があって、ちょっとずつやらせてもらえるようになるっていうのは変わらないと思うので…
ただ仕事の種類が違うだけで、そんなに変わってないのかもしれないですね、結局。
その仕事でも、多分大変なことがあって、今のこの時間大変だと、ちょっとずつやらせてもらえるような時期になって、そういうところに楽しさを見いだして。でも未来について考えるってなったときは、今とは違うのかな。今、現実の、nowを見てるときは多分同じ心境だと思うんですけど、未来の見方が違うような気がしますね。どうなるんだろう。
ナカザワ:なるほど。23歳時点は一緒かもしれないけど、例えば33歳になったらどうかっていうことに対する思いが違う。
大塚:だと思いますね。
あんまり明確ではないんですけどそんな気がします。
ナカザワ:なるほど。内的な趣味をやりつつも、これからはイベントなど何かを生み出せるようにっていうふうにやっていく感じでしょうか。
大塚:そうですね。自分が本当にコーヒーを飲めなかったっていう経緯があって、浅煎りのスペシャリティっていう、ランクの高いコーヒーに出会ってから、コーヒー観ががらっと変わったので、むしろそういう人たちに、そういうコーヒーがあるんだよっていうのを低価格で伝えられたら。利益なんて度外視して大赤字の予定なんですけど。(笑)
手軽に、2、3種ぐらい出して、少量で飲み比べとかして。通常お店では基本的に1杯、注文して出す、っていうような形式がほとんどなんですけど。1杯分の値段で半分半分ぐらい。飲み比べとかしたり、あとはその生産背景、農家さんのことだったりとか。ここにたどり着く経緯っていうのをお伝えする。
それも少人数でやろうかなと思ってるので。ちょっとまずそれに向けて頑張ればなと思います。
ナカザワ:ありがとうございます。
最後に言い残したことはありますか?
大塚:まずお時間とってもらってありがとうございます。
ナカザワ:いや全然ですよ、むしろありがとうございます。
大塚:今日自分が喋っちゃったんですけど、むしろ聞きたいことの方がたくさんあって。自分の身近に、インタビューをしている人がいるので。どういうこと考えながらやってるのかなとか、すごく気になっていて。
ナカザワ:言い残したというか、聞き残したことですね(笑)
大塚:岸政彦さんっていう社会学者をご存知ですか? 『街の人生』とか『断片的なものの社会学』とか書かれてる社会学者なんですけど。一般人の生活史っていうのを切り取って、インタビュー形式で編集をするんですけど、えーとかあーとかそういう擬音語とかも使いながら、本当に人の生活ってところに焦点を当てているんですよね。あとは桃山商事さんの本も。
インタビューというものって、元々やっぱり実績のある人とかにフォーカスされがちですけど、一般の人にフォーカスを当てるっていうのもまた、むしろそっちの方が何か自分的には現実感があって、すごい好きだなと思います。無名人っていうタイトルもすごい素敵ですし。
一読者として、過去の記事も、味のある、人間味のある現実感のある文章がすごい好きで。これからも楽しみにしてます。
ナカザワ:なんてありがたいお言葉を。岸政彦さん、「東京の生活史」の方ですね。
大塚:そうですね。「東京の生活史」書いてます。すごい分厚かったと思います。
ナカザワ:そうなんですよね。結構値段とかもするんですよね。
大塚:6000円ぐらいだったかな、ちょっとそれは買えてなくって。そのうち買おうかなって。
ナカザワ:私もいつか読もうと思って。高いなって思ってました。ありがとうございます、まさか最後にそんな言葉をいただけるなんて。
大塚:これはもう言おうと思ってたので。これだけ唯一、と決めて。
ナカザワ:ありがとうございます。
あとがき
おっしゃる通りで、本当に、このインタビューって結構特殊ですよね。
編集でしっかり削りだしたり、この人の言いたいことはこうじゃないか、などと表現したい面を作ることはしないので。口語そのままだと文章で読んだ時に意味不明にならないように直しますけど、リアルな言葉で、その人にとって価値がある言葉みたいなものが残っていくといいなって思います。
無名人インタビュアーも、それぞれ経験はばらばらだし、いろんなタイプがいらっしゃいます。組み立ててちゃんと頭の中で編集しながらインタビューしている方もたくさんいるんですけど、わたし、インタビュー中にあんまり考えてないんですよね。
考えてるんですけど、純粋に聞きたいな、って感じたことの方が面白くて、わたしの今の力では、考えた質問はそれに勝てない。あたま良くないなぁっていつも思うんです。
上手に聞いてくれてありがとうございますって言ってもらえることもあるんですけど、申し訳ない、聞きたいことを聞いてるだけなんです。
いい質問ですね、というのは相手が話したかったことだったりするらしいです。無名人インタビューは答えがないもの、答えにくいものを参加者と作っていくことが魅力でもあるので、聞いてくれてありがとうは、なんとなく喜んでいいのか、複雑ですね。
そして、無名人インタビューでも何回も話題に出ている岸正彦さん。
東京の生活史は5千円くらいでした。ずっと私のアマゾンほしいものリストに入ってます。2023年は買おうかな。
インタビュー担当:ナカザワアヤミ
編集協力:あおい
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