毎度のことだが、どの棚で売ろう? どんな状況の人に届けよう? #2
こんにちは、アンノーンブックス編集部です。
今回、僕らのUNKNOWNBOOKSのレーベルから初の書籍を出すことになった、RYUREXさん。「これまでのRYUREX」を知らない人にひと言で説明するなら、レゲエ・ユニット「MEGARYU」のボーカリストとして「オリコン1位獲得」という輝かしいレコードを持つ、日本のトップミュージシャン、ということになるだろう。
では、「今のRYUREX」は何をしているの? という疑問を持った人に対して、今度はひと言で説明するのがとても難しい。なにしろ今のRYUさんは、誰も歩いたことのない道を進み、誰も見たことのない景色を見ているのだから。
ただ、間違いなく言えるのは、今のRYUさんは、エンターテインメントの世界の知識と経験を活かしたビジネスモデルをつくっている途中、ということだろう。それは、てっぺんを取ったRYUさんにしかできないことでもある。
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ところで、編集者は本をつくるとき、「この本を書店のどの棚に並べたいか?」をイメージする。ダイエットの本なら健康本の棚、鉄道写真の本なら趣味の棚、というように。
どの棚に並ぶかによっても、本の売り上げは変わる。「棚のカテゴリー」×「ターゲット層となる読者の興味や関心」×「本のテーマや内容」の組み合わせがうまくいく場合とそうでない場合があるからだ。
興味のある棚に並んでいる本に読者の目が留まり、すんなり手に取ってもらえることが理想だが、せっかくタイムリーなテーマの本でも、ターゲット層の読者が足を運ばない棚に並んでいては、本の存在すら知ってもらえる機会は減ってしまうことになる。
前回もお伝えしたとおり、RYUさんの本は生き方エッセイの棚に並ぶことになるだろう。“今のRYUさん”の活動が、多くの人に共感してもらえることであり、今という時代に知っておく意味があることだと僕らが思ったからだった。RYUさんの本を読んで、アクションを起こそうと思う読者がひとりでも増えてくれればいい──そういう思いもある。
だから今度のRYUさんの本のターゲットとなる読者は「何らかしらコロナの影響を受けた人」。男性も女性も、20代も30代も40代も。東京勤務も地方勤務も。会社員もフリーランスも。コロナの影響を受けた人なら誰もがメインターゲットの読者になるのだ。
アンノーンブックス代表の安達からの生き方エッセイという提案に、RYUさんは「いいね!」と笑顔で即答。「そもそもミュージシャンとして活動したことが、自分の人生のゴールではないと思っているから」と。
そして、RYUさんはこう続けた。
「あらためて自分の可能性を探り、自分なりの考えや基準となるものを持つ機会なんて、自分以外の人の人生でそうそうあるわけじゃないと思っていた。でも今、コロナの影響で社会が変わり、スタンダードといわれていたものが変わったことで、すべての人にそれを考える必要が出てきたんだと思う。そんな今だからこそ、自分が本を出す意味があるのかもしれない」
それは、編集者と著者の目指す方向が合致した瞬間でもあった。