「読まれるコンテンツ」のたったひとつの条件
「これからのビジネスには『書く力』を身につける必要がある」
ここ数年、潜在的にそう感じている人が増えている印象を受けます。これまで書く力が必要とされてきたのは、おもに出版や広告といったメディアに携わる人が中心でした。
ところがこれからは、今まで文章を書くこととは無縁と感じていた人も書く力を身につけておくことが求められるはず。
決して「文字もの」だけがコンテンツというわけではありませんが、これからはコンテンツマーケティングがビジネスの主流になっているからです。
「営業する」から「問い合せされる」時代へ
コンテンツマーケティングとはユーザーにとって価値あるコンテンツを提供し続けることで、最終的に利益に結びつけるという戦略的な方法のこと。
わかりやすくいえば、
1. 自分のコンテンツを見つけてもらい
2.「このコンテンツ、好きかも!」と興味を育てて
3. モノやサービスを買ってもらう
というイメージです。
従来のビジネスは、マス広告やバナー広告などを使った「売り込み型」のスタイルがあたりまえでした。
ユーザー側はテレビや雑誌からの情報を「受け取るだけ」だったのに対し、ネットやスマホの普及によって、ユーザー側が知りたいコトや好きなモノを「自分から積極的に取りにいく」スタイルへと変化しました。
有象無象の情報があふれている時代になったからこそ、ユーザーにフィットする価値あるコンテンツを提供できるかどうかが鍵になるのです。
自分のブランドを広めたい人も、自社製品を売りたい人も、思いついたアイデアを提案したい人も、みんな同じ。どんな業界や職種の人でも、書く力が必ず求められるようになっているのです。
ターゲットが「自分ごと化」できるかどうか
ところで、コンテンツマーケティングは、1800年代のアメリカでスタートしたという説を知っていますか?
当時のコンテンツはもちろん紙媒体。世界トップシェアを誇る農機具メーカーが発刊する、農家への情報提供をする雑誌「The Furrow」がそれでした。今もデジタルでの発刊が続いているこの雑誌の最大の特徴は、農機具のスペックを紹介するカタログではない、という点です。
創刊以来ずっと、新しい技術や成功する農家の秘訣といった、読み手となる農家の人たちが興味を持てるようなコンテンツがずらり。
たとえば、2021年の最新号では、「代々続く農家。あなたが最後のひとりになったら、どうする?」といった後継者問題を特集し、農家に共通する悩みや知識を共有しています。
ターゲットである農家の人たちが「自分ごと化」できるように、彼らの心に眠るインサイト(まだ顕在化していない意識や価値観)を見つけて、共感を呼ぶコンテンツを提供。ファンを増やす工夫を上手にしています。
もちろん雑誌のなかには農機具の紹介ページもあるので、それぞれのコンテンツ内に登場した農機具やサービスに興味を持った時でも、すぐに購入することができるようになっています。
……説明が長くなりましたが、要は「ユーザーが知りたいこと」と「自分が提供したいこと」を適切なコンテンツでつないであげることが重要な時代になった、ということです。
適切なコンテンツづくりをするためには、文章を書くことが欠かせません。だから、書く力を身につける必要がある、という結論になるのです。
SNSでも差がつく「短くても伝わる書き方」
実際、編集者として僕も「誰に、どんなコンテンツを提供すればうまくいきますか?」と、メディア関係以外の仕事に就いている方から相談される機会が圧倒的に増えています。
もちろん、書籍を編む時の文章の綴り方と雑誌の見出しを立てる時の言葉の選び方、広告のコピーをつくる時の文字の並べ方など、細かくいえばすべてがそれぞれまったく異なります。ですが、それにも共通している基本的なことが多く存在するのも事実。
そこで、次回からは自分の成功につながるためのコンテンツづくりを目標にした、書き方のコツをお伝えしてみようと思います。
これまでいろいろなライターの文章を見てきた編集者の僕だからいえる「ファンを生む文章の書き方」や「プロのライターはどんな点に気をつけて文章を書いているか?」など、読んだその日から実践できることをお伝えしていきます。
とくに、今はSNSでコンテンツを発信することがほとんど。そこに対応できるような「短くても伝わる書き方のコツ」を意識して、プロの秘訣をご紹介しますのでお楽しみに!